ビットコイン現物ETFの禁止解除案も
韓国の与党「国民の力」は、今年4月の総選挙に向けた選挙公約の一環として、ビットコイン現物ETFの認可を含む、暗号資産(仮想通貨)投資に関連した法律の制定を検討すると発表した。19日に地元メディア「News1」が報じた。
現在、韓国では国内金融機関による独自の仮想通貨ETFの提供は禁じられている。
さらに、韓国金融委員会(FSC:規制当局)は先月、米国におけるビットコイン現物ETFの承認後、国内の証券会社に対し外国上場のビットコイン現物ETFの提供が、仮想通貨に関する政府の見解に違反する可能性があると警告。この発表を受け、サムソン証券や未来アセット証券を含む大手証券会社は先行措置として、海外発行のビットコイン現物ETFの仲介サービスを停止した。
報道によると、国民の力党は、ビットコイン現物ETFをはじめとする、米国等で既に承認されているものと同様の仮想通貨投資商品の認可を可能にする、法的枠組みの見直しを検討している。
また同党は、機関投資家による仮想通貨投資の禁止と、仮想通貨の資金調達法であるIEO(新規取引所公開)の段階的な緩和を検討。前者については、ユーザー資金保護の必要性を考慮し、銀行や保険会社に先んじて、投資会社などの資産運用を目的とする機関に仮想通貨の購入を、優先的に許可する方向のようだ。
このような仮想通貨振興策の実現に向けた具体的な手段として、与党は、仮想通貨関連法案を提案し、規制の執行権限を付与された「デジタル資産振興委員会」の設立を公約とすることを決定した。
IEOとは
IEO(Initial Exchange Offering) の略称、プロジェクトが開発・発行するトークンの資金調達を仮想通貨取引所が支援する仕組み。IEOは、仮想通貨取引所がトークンの販売業務、多くの場合で上場までサポートする、資金調達を望むプロジェクトに対する一括パッケージのようなもの。仮想通貨やブロックチェーンに関連した新プロジェクトの資金調達が目的であり、取引所を通してトークンを売るため、買う側にとっても信頼性が高いといえる。
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仮想通貨税の延期を検討
国民の力党はさらに、2025年1月から開始が予定されている仮想通貨課税の延期を選挙公約とすることを検討している。
仮想通貨取引で発生した利益に対する課税法案は、2021年に提案され、当初は2022年に施行される予定だったが、大統領官邸の公式サイトに投資家からの抗議が殺到し、2023年まで延期された。2022年7月には、仮想通貨市場の停滞を理由に、さらに2年延期され、現在は2025年1月に開始予定となっている。
与党は、課税措置の導入前に仮想通貨に対する包括的な規制の枠組みの確立を優先する意向を表明している。同党は、仮想通貨取引を監督する規制当局も定まっておらず、規制整備には少なくとも2年が必要だとの考えを示した。
この延期が承認された場合、仮想通貨課税の開始は2027年1月となる。
仮想通貨投資家は無視できない存在に
国民の力党による一連の仮想通貨振興策の発表は、特に20代と30代といった若年層の有権者へのアピールを意識していると見られる。韓国国税庁のデータによると、2023年9月時点における仮想通貨保有者の80%以上が、この年齢層に属しているという。
また、韓国金融情報局(KoFIU)が実施した昨年10月の調査によると、韓国における仮想通貨投資家の数は、2024年上半期に同国の総人口の10%以上に相当する約600万人に達すると予測されている。
国民の力党の関係者は、「政府が仮想通貨市場をこれまで放置してきた側面がある」と語り、党としては仮想通貨を資産として正式に認め、早期に法律の制定・施行を可能にするためにも、選挙公約として発表することが重要だとの立場を明らかにした。
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