はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

懸念強まる仮想通貨業界へのSEC執行範囲、民主党と共和党議員が激論交わす

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SECの執行は妥当か

米国下院金融サービス委員会の資本市場小委員会は7日、米証券取引委員会(SEC)の執行活動に関する公聴会を開催し、専門家の意見を交えて同委員会の執行機能の改善方法について話し合った。

「SECの執行:抑止力と適正手続きのバランス」と題した公聴会では、暗号資産(仮想通貨)のテーマを中心に、SECの執行措置のあり方について議論が展開されたが、共和党と民主党の議員で大きく意見が食い違う結果となった。

共和党のアン・ワーグナー委員長は開会の挨拶で、「我が国の資本市場は、不正行為を検知し、処罰し、防止するルールを備えた執行部門の恩恵を受けている」とSECを評価した一方で、SECの最近の傾向については次のように懸念を示した。

SEC執行部門の現在の傾向である“執行による規制”は、行政手続法の通知およびコメント要件の対象とならない政策変更を実施しており、市場参加者に害を与えかねないものだ。

ワーグナー議員は、米仮想通貨企業Debt Boxに対する訴訟で、SECの弁護士二人が「重大な職権乱用」で制裁を受け、辞任を余儀なくされたことに言及。SECに対する国民の信頼が低下していると批判した。

この件について、同委員会民主党のブラッド・シャーマン議員は即座に反論し、SECは職員の不祥事に適切に対応したと主張。問題の職員が解雇されたことで、他のSEC弁護士による同様な行動を取らないよう保証する前例となるだろうと述べた。

関連:SEC弁護士2名が辞任、仮想通貨関連訴訟で「重大な権力乱用」と非難受け 

法の適用

仮想通貨懐疑派のマキシン・ウォーターズ氏(民主党)は、党派的な立場を取り、民主党は常にコンプライアンス、投資家保護、市場の健全性を求めていると主張。「規制を望んでいると公言する仮想通貨業界は、裁判所による法適用に同意しているにもかかわらず、規制に異を唱えSECを訴えている。」と批判した。

シャーマン氏も「仮想通貨業界は、実際には(悪意や危険が潜む場所を比喩する)“蛇の園”であるにもかかわらず、(不正を犯したFTX創業者の)サム・バンクマン・フリードは、仮想通貨の楽園の中の一匹の蛇であると言うだろう」と皮肉った。

専門家として証言した元SEC執行部職員のジョン・リード・スターク氏は、「仮想通貨業界は、SECの“執行による規制”と呼ぶが、私は単に執行と呼んでいる」というゲンスラー委員長の発言を引用し、業界は適用される法律に適応する必要があると主張した。

結果は気に入らないかもしれないが、それは適正な手続きと公正な通知の欠如に相当するものではなく、SECの不正な執行による規制を意味するものではない。

明確な規制は

一方、SECが明確な規制を示しているかどうかに疑問を呈した民主党議員もいる。

ウィリー・ニッケル議員は、株式取引アプリを運営する米ロビンフッド・マーケッツが、6年以上も仮想通貨事業を運営していながら、いまさらながら執行措置を取る計画を正式に通知する「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取った件について、「まさに今、SECが“執行による規制”を行っていることを目の当たりにしている。」と指摘。

「残念ながら、現在米国に拠点を置く仮想通貨企業にとって、それがビジネスを運営する足枷(コスト)になってしまっているようだ」と述べた。

ニッケル氏は、「ロビンフッドにとって、米国脱出以外に何か良い解決法はないのか」と証人の一人である元SEC副法務顧問のアンドリュー・ヴォルマー氏に質問した。

ヴォルマー氏は、SECがこの領域の規制に関する法的権限の管轄について、「非常に曖昧な理論に基づいて、先取りしてしまった」ことが難しい状況を生んでしまっていると述べた。

その上で最も有効な解決策は、「仮想通貨業界に関する適切な権限について、米議会が正しいと考える政策をきちんと定めることだ」と指摘した。そして、それがロビンフッドを助けることにもなるだろうと付け加えた。

SECは現在、仮想通貨に関して明確な規制を示していると考えるかとニッケル氏がさらに質問すると、ヴォルマー氏は「全くそうは思わない」と述べた。

古くからある慣習のハウイーテストによって、証券と分類できる仮想通貨もあるが、証券に分別しきれない仮想通貨も多く存在すると同氏。国として、どのように仮想通貨を扱いたいのか、その場合、どのように規制したいのかについて深く考察することが必要だと主張した。

今、この“新しい資産クラス”全般に対して、証券の規制システムを一方的に押し付けようとしているが、SECがこの領域全ての管轄を主張する必要は全くないと強調。「SECの執行プロセスは行政上の裁量ではなく、あくまで法の支配に基づくべき」としている。

関連:米SEC、ロビンフッドに証券法違反を警告 仮想通貨事業を提訴する可能性が浮上 

関連2024年注目の仮想通貨10選 各セクターの主要銘柄と関心を集める理由を解説

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/02 木曜日
13:55
PUMPトークン30%急騰、アークインベストが「新クリエーター経済」と評価
米アークインベストがミームコイン発行プラットフォームPump.funを高く評価した。再導入されたストリーミング機能が「新たなクリエーター経済を構築」と指摘し、PUMPトークンは24時間で30%以上急騰した。
13:35
トークン化ポケモンカードが次のビッグトレンドとなる可能性=バイナンス
仮想通貨取引所バイナンスがポケモンなどトレーディングカードのトークン化市場のポテンシャルを指摘する記事を公開した。新市場として注目を集める背景を解説している。
13:18
SBIホールディングス子会社のマイニング企業「SBI Crypto」から仮想通貨が不正流出
SBIホールディングス傘下のマイニング事業である「SBIクリプト」から約2100万ドル相当の仮想通貨が不正流出した。ブロックチェーン調査員が9月24日に疑わしい資金移動を報告し、北朝鮮による攻撃との類似点を指摘。SBIは連結業績への影響は軽微とコメント。
13:10
スウェーデン野党議員、ビットコイン準備金創設の動議を議会に提出
2名のスウェーデン民主党議員が国家によるビットコイン準備金創設を求める動議を議会に提出した。押収したビットコインを中央銀行に移管する予算中立的なアプローチを提案し、10月15日から財務委員会で審議される予定だ。
12:01
ビットコイン上昇で12万ドル台回復も視野、政府閉鎖の影響でETF承認プロセスは一時凍結へ
暗号資産(仮想通貨)ビットコインが12万ドル台回復を目指す中、米政府閉鎖でSECが仮想通貨ETF承認を一時凍結している。100件超の申請が停止し、10月の承認ラッシュは延期へ。一方でゴールドマン・サックスは世界株式に強気の見通しを示している。
11:10
今年最後の3ヶ月間、仮想通貨市場の好材料とリスクは? グレースケール分析
グレースケールは、これからビットコインなどの仮想通貨相場は最高値を更新する可能性があるとの見方を示した。25年4Qの展望を述べ、投資家が注意すべきリスクも指摘している。
11:03
SBIがグループ総合力で切り拓く金融新時代──ステーブルコインを武器に先陣を担うSBI VCトレードの戦略とは
SBI VCトレード代表取締役社長の近藤智彦氏への独占インタビュー。国内唯一のステーブルコイン取扱業者として、USDC、RLUSDの展開戦略や円建てステーブルコイン、ビットコイン・トレジャリー支援など、SBIグループの総合力を活かした取り組みを語る。
10:35
ステーブルコイン配ったら生活は変わるのか? コインベースが低所得者に180万円相当USDCを給付開始
ニューヨーク市で、18歳から30歳の低所得者160人にステーブルコインUSDCで5カ月間合計1万2000ドルを配布するコインベースの支援プログラムが始まった。
09:45
ビットコイン、価格上昇に有利な状況で16万ドルから20万ドルへ向かう可能性=CryptoQuant
CryptoQuantが最新レポートで、仮想通貨ビットコインが16万〜20万ドルに向かう可能性があると分析した。クジラとETFの需要拡大など、価格上昇を支える要因を解説している。
08:50
米共和党議員「政府による強力なビットコイン投資も必要」
ベギッチ下院議員がワシントンD.C.のカンファレンスで、国家バランスシートの多様化にビットコインが必要だと述べた。ルミス上院議員と共同提出した法案では、5年間で100万BTCを取得する計画が示されている。
08:10
サムザップ、ドージハッシュに250万ドル融資 Dogecoinマイニング能力拡大へ
米上場のサムザップ・メディアがドージハッシュ・テクノロジーズに250万ドルの融資を実行した。買収完了前の資金提供で500台以上のASICマイナー追加を支援し、年内に総数4000台超の稼働を目指す。
07:50
英当局、1兆円相当のビットコインを押収
ロンドン警視庁は、仮想通貨ビットコインに関連する大規模な詐欺を巡り、中国籍の被告に有罪判決が言い渡されたことを発表。今回の捜査では1兆円相当のビットコインが押収されている。
07:15
トランプ一族の不動産資産トークン化、WLFIが計画明かす=報道
ワールド・リバティの創設者はトランプ一族の不動産ポートフォリオをブロックチェーン上でトークン化する構想を明らかにした。ドバイのトランプタワーなどを例に挙げ、幅広い投資家層への開放を目指すとしている。
06:30
米財務省とIRS、仮想通貨含み益への法人代替最低税を除外 トレジャリー企業に恩恵
米財務省とIRSが今週、企業が仮想通貨の未実現利益を15%法人代替最低税の計算から除外できる暫定指針を発表した。ストラテジーなど大口保有企業に恩恵をもたらす方針転換と見られる。
06:02
米政府閉鎖で仮想通貨ETF承認手続きが停滞、再開時期は不透明=報道
米国政府が予算案の合意に至らず閉鎖に入り、SECによる数十種類の仮想通貨ETF承認プロセスが停止している。政府再開の見通しは立っていないようだ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧