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米マイニング企業Core Scientific、AIデータセンター事業拡大で評価額4兆円を目指す

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

AIデータセンターの拡大

米大手暗号資産(仮想通貨)マイニング企業コア・サイエンティフィック(Core Scientific)のアダム・サリバン最高経営責任者は、AIデータセンターサービスの大規模な拡大を通して、今後数年で同社の評価額が250億〜300億ドル(3.5〜4.2兆円)に引き上げられる可能性があると述べた。

大手証券会社バーンスタインのアナリストとのインタビューでサリバン氏は、AIデータセンター契約が同社に飛躍的な成長の機会をもたらす可能性があると強調した。

今後数年間で、さらに500MWまたは1GWの契約を結ぶことで、当社は25億ドルの企業ではなく、250億ドルから300億ドルの企業になる可能性がある

コア・サイエンティフィックは6月に、GPUクラウドプロバイダーのCoreWeaveと12年にわたる契約を締結。この契約はCoreWeaveの高性能コンピューティング(HPC)運用のために、200MG相当のインフラを貸し出すものだ。

この契約により、同社の累計総収益は12年間で35億ドル(約4,960億円)を超える見込みで、平均年間収益は約2億9,000万ドル(約410億円)になると推定されている。

さらに後日、両社が70MWと112MWの追加契約を結んだことにより、現在、三つの契約の合計は382MWとなった。

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既存のマイニング施設を転換

コア・サイエンティフィックは、既存のビットコインマイニング施設をGPU対応データセンターに転換することで、2025年~2026年を通してCoreWeaveの契約に対応する。

サリバン氏は、データセンター業界の競合他社よりも迅速なサービス提供開始を可能にすることで、AIサービス分野でニッチを切り開いたと強調する。同氏によると、Digital Reality、Equinix、Switch、Cyrus Oneなどの事業者が同規模のインフラを提供するには、3年から5年かかるという。

同社と契約を結んだCoreWeaveは、AIに特化したクラウドプロバイダーで2017年に設立された。

CoreWeaveは昨年、データセンターを3拠点から14拠点に増設し、従業員数は4倍に成長。5月の資金調達ラウンドでは、数ヶ月前の70億ドル(約1兆円)から、ほぼ3倍となる190億ドル(約2.7兆円)と評価され、AI関連リソースに対する需要の高まりを反映している。

バーンスタインは、「AI拡張競争において、CoreWeaveにとっては実行速度と市場投入までの時間が最も重要だ」と指摘。コア・サイエンティフィックの「すぐに利用可能な敷地と電力、1~3年という時間枠のデータセンター市場における競争の少なさ、強力なデータセンターの人材層を構築して雇用する能力」を高く評価し、目標株価を17ドルとした。(執筆時現在の同社株価は約10ドル)

破産申請からの復活

コア・サイエンティフィックは、2022年12月に米連邦破産法11条にもとづいた破産申請を行った。サリバン氏は2023年4月から同社を率いており、今年の第1四半期(Q1)には純利益2億1,070万ドル(約298億円)を計上。大幅な業績回復と再建を果たし、ナスダックに再上場した経緯がある。

米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは

日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。

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しかし今年8月、ビットコインマイニング全般の収益は、11ヶ月ぶりの低水準に落ち込み、7月からは10%、3月のピークからは57%減少した。

このような状況で、マイニング企業では、仮想通貨マイニングとAIデータセンターの運用を組み合わせたハイブリッド戦略を採用するケースが増えているとバーンスタインは報告している。

サリバン氏は、AIのトレーニングに関して、Chat GPTなどの大企業とは差別化された、医療や法律などの専門分野に特化した中小企業が台頭してきていることに着目。AIインフラの提供は今後も拡大する成長分野だとの認識を示した。

一方、HPCサービスの需要が高まっているのにも関わらず、他のマイニング企業とAIインフラの提供で競合したことはないと同氏は語る。データセンター関連の経験不足が一因ではないかと推察し、事業の多角化のためには専門性を備えた人材の導入が不可欠だと述べた。

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