- ユーロ建てステーブルコインの活用拡大に期待感
- ドル建てが市場の75%占め、ユーロ圏に脅威
デジタル資産規制の方針文書を採択
欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会は7日、「デジタル資産――EU金融システムの競争力と健全性への課題」と題した方針文書を採択した。
EUにおける包括的な暗号資産(仮想通貨)市場規制「MiCA」の枠組みを基礎としつつ、DeFi(分散型金融)やレンディングなどをMiCAの対象とすることについて評価を求める内容も盛り込んでいる。
なお、この文書は政策方針となるが、MiCA自体を改正したり、新たな法的拘束力のある義務を課したりするものではない。まず、現在はMiCAの範囲外である分野について、以下のように述べている。
仮想通貨のレンディングやステーキング、NFT(非代替性トークン)、DeFiをMiCAの下で規制することの必要性および実現可能性を評価するよう、欧州委員会に求める。
DeFiやレンディングなどの活動は、ユーザーの本人確認が不十分で監督を欠いている傾向があるため、マネーロンダリングやテロ資金供与のリスクに対して脆弱であると懸念する記述も続く。
欧州委員会は5月に、MiCA規制をDeFi、ステーキング、レンディング、NFT、トークン化資産にも拡大すべきか、また、利回り付きステーブルコインに対する現行の禁止措置を見直すべきかについて、意見公募を開始している。
8月31日まで実施され、その後、欧州委員会によって調査結果をまとめた報告書が作成される予定だ。また、欧州中央銀行(ECB)も3月に職員によるレポートで、DeFiガバナンスの問題点を指摘し提言を行っている。
EUが今後、DeFiを始めとする分野の統一的な規制を打ち出すのか注目される。
関連記事:欧州中銀、DeFiガバナンスは「分散化されていない」と問題指摘 規制方法を提言
ECBがDeFi運営の集中化を分析した論文を発表した。代表的プロジェクトで上位100名が80%超のガバナンストークンを保有していると分析。透明性向上など具体的な規制を提案している。
ユーロ建てステーブルコインに前向き姿勢
方針文書は、トークン化やユーロ建てステーブルコインに対して好意的な姿勢も示した。
ステーブルコインについては、適切に規制されればクロスボーダー決済の高速化・低コスト化や、トークン化された金融市場におけるアトミック決済(資金の支払いと受け取りを同時に行う決済)の資産としての活用が期待されると述べている。
また、ユーロ圏で米ドル建てなどの外貨ステーブルコインが広く普及すると、ユーロの役割が弱まり、欧州中央銀行の金融政策の伝達に悪影響を及ぼす恐れがあるとも懸念を示した。
欧州議会シンクタンク(EGOV)によると、2025年後半時点でステーブルコインの時価総額の約75%、および1日の取引高の95%が米ドル建てステーブルコインであるUSDTとUSDCに集中しているとも指摘している。
関連記事:BIS年次報告、ステーブルコインは「貨幣の要件を満たさず」
BISが2026年版年次経済報告書でステーブルコインの構造的課題を指摘。貨幣の等価交換性の欠如や金融安定リスクを分析し、中央銀行主導の統合台帳構想を次世代通貨システムの道筋として提言した。
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