
投資目的で仮想通貨を保有
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは9日、ビットコイン(BTC)を財務資産として採用する戦略について過去に検討したことがあると明かした。
アームストロング氏は、過去12年間のうちで「バランスシートの80%を仮想通貨、特にビットコインに投資すべきかと考えた瞬間があった」と述べている。だが最終的には、スタートアップ企業としての資金繰りに悪影響を与えるリスクなどを考慮して断念したと続けた。
また、同社のアレシア・ハース最高財務責任者(CFO)は、仮想通貨に投資する顧客と競争しているように見られたくなかったともコメントしている。
ただ、コインベースは投資目的で仮想通貨をバランスシート上に保有しており、この大半がビットコインとされる。2025年3月末時点で、この額は約13億ドル(約1,900億円)に達している。ハース氏は、こうした投資を今後増やしていくことを示唆する発言を行った。
コインベースは8日に、1~3月期の決算を報告したところだ。また、仮想通貨大手デリバティブ取引所デリビット(Deribit)を買収することで合意したことも公表している。
ストラテジー社はビットコイン戦略にAI活用
ビットコインをバランスシート上に保有することで最も有名な企業は米ストラテジー社である。
同社は、ビットコインを購入することで、株式をBTCへの間接投資手段として株価を上げてきた。5日にも、1,895 BTCを追加購入。同社のビットコイン保有数は555,450 BTC(8兆円相当)に達している。
2日には、ビットコイン購入計画を強化するために、資金調達目標を840億ドル(約12.6兆円)に倍増すると発表していた。
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創業者兼取締役会長のマイケル・セイラー氏は6日、同社主催のイベントStrategyWorldに登壇。マイクロストラテジーの資金調達構造、特に「Strife」と「Strike」という転換優先株商品は人工知能(AI)を活用して設計されたと明かしている。
ストラテジー社は転換社債を発行することにより、ビットコイン購入などに宛てる資金を調達してきた。
Strike(STRK)は、現金またはストラテジー株(MSTR)で支払われる8%の配当金を提供するものであり、普通株(MSTR)に転換可能である。また、Strife(STRF)は転換不可能で、債券投資家にとっての安定性を重視する商品だ。
セイラー氏は、新しい金融商品を開発する際には、AIを活用して情報源を分析し、意思決定を行うとも述べている。例えば、次のようにコメントした。
AIチャットをディープリサーチモードにして、50の情報源を15分ほど調査してもらったりする。すぐに行動に移せるような答えが常に得られるわけではないが、求めている情報の80%から95%は得られる。