
新機能搭載のATM導入へ
暗号資産交換業者ガイアは4日、事前登録不要の暗号資産自動両替機「BTM」サービスの開始を発表した。
このサービスは訪日外国人観光客をメインターゲットとし、パスポートのみでビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)を日本円に両替できる新サービスとして注目されている。
利用可能な仮想通貨はビットコインとイーサリアムの2銘柄で、いずれも日本円へのリアルタイム両替が可能となっている。
利用方法は外国人観光客と国内居住者で異なる仕組みとなっており、外国人観光客の場合はICチップ搭載パスポート(ICAO規格)のみで手続きが完了する。
一方、国内居住者はマイナンバーカードが必要となる。手数料は10%に設定されており、利用上限は1日1回で10万円まで、1,000円単位での取引となる。為替レートは利用者が取引開始ボタンを押下した時点で確定する仕組みだという。
日本の暗号資産ATM事情
日本の暗号資産ATMは2014年頃に初めて登場したものの、2018年のコインチェックハッキング事件で約500億円相当のNEMが流出したことを機に規制が大幅に強化され、暗号資産ATMはほぼ全廃状態となった。
この事件によりホットウォレットの脆弱性が問題視され、金融庁による法規制が厳格化されたためだ。
現在、日本では金融庁が暗号資産交換業者を監督し、AML(マネーロンダリング防止)やKYC(顧客確認)の遵守が必須となっている。ビットコインATMの運営には交換業者としての登録と厳格な規制対応が求められるため、参入障壁は依然として高い状況が続いている。
その点において、ガイアのサービスは訪日外国人の暗号資産保有率上昇と旅行時の利便性向上という二つのトレンドを的確に捉えた戦略的取り組みといえる。従来の煩雑な登録プロセスを排除し、パスポートのみでの即座両替を実現したことは、インバウンド市場における画期的なアプローチだ。
今後は実際の利用実績とユーザーフィードバックを基に、設置場所の拡大や機能改善が進むことが予想される。
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