「デジタル資産パリティ法案」を起草
米国のマックス・ミラー下院議員(共和党)とスティーブン・ホースフォード下院議員(民主党)は20日、超党派で暗号資産(仮想通貨)に対する税法の改正に向けた法案の草稿を発表した。
この「デジタル資産パリティ法案」は200ドル(約3万円)未満のステーブルコイン取引に対するキャピタルゲイン税を免除することや、ステーキングとマイニングに対する課税についての枠組みを盛り込んでいる。ミラー氏は次のように述べた。
米国の税法は、現代の金融テクノロジーの進化に追いついていない。
この超党派法案は、デジタル資産への課税に明確性、公平性、平等性、良識をもたらすものだ。日常の買い物をする消費者を守り、イノベーターや投資家に明確なルールを保証し、誰もが同じルールに従うようコンプライアンスを強化する。
ホースフォード氏も、法案の目的を次のように説明している。
今日では、ごく少額の仮想通貨取引でさえも課税対象となる可能性があり、一方で、法律の他の分野は明確性に欠け、濫用を招いている。
「デジタル資産パリティ法案」の草案は、消費者と企業がデジタル資産という新しい決済手段の恩恵を受けられるよう公平な競争条件を提供するアプローチを採用している。
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法案内容
まず、ステーブルコインについては各取引に200ドルの最低基準額を設定し、この額未満には税金を課さないとする。議員らは、投資利益の隠匿ではなく行政簡素化に役立つようにするため、年間総額制限を設けることについても、現在検討中だとしている。
こうした免除の対象とするのは、「ジーニアス法」に基づいて認可された発行者によって提供され、米ドルのみにペッグされ、過去12か月間の取引日数の少なくとも95%において価格が1ドルとの相違1%以内で維持されているステーブルコインとしている。ブローカーとディーラーはこの免除の対象外だ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
2024年10月のIRS(米内国歳入庁)のガイダンスによると、ステーキングやマイニングで受け取った報酬は受領時に所得として課税されることになっている。
これに対して、シンシア・ルミス上院議員(共和党)は7月、こうした報酬が売却されるまでは課税を延期する法案を提出した。
今回の「デジタル資産パリティ法案」は、この二つの方法の中間を取るような提案を行っている。納税者は報酬に対する課税を5年間繰り延べることが可能で、その後は、所得として認識した時点の公正市場価格で通常の所得として課税されるという内容だ。
法案はその他、仮想通貨にもウォッシュセール規制などのルールを適用し、納税者が人為的に損失を回収したり、利益を繰り延べたりすることを可能にする抜け穴を塞ぐ条項なども設けている。
ウォッシュセールは価格が下がった資産を売却して損失を確定し、すぐに同じ資産を買い戻すことで税金を減らす行為のことだ。
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