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メタ、最新モデル「Muse Spark」発表 AI戦略刷新で巻き返しなるか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 医療ベンチマークでGPT・Geminiを上回る成績
  • マルチモーダル・推論特化、Meta AIアプリで公開中

ゼロから再構築されたAIモデル

米テック大手のメタ(Meta)は8日、最新AIモデル「Muse Spark」を発表した。これは昨年設立された同社の新たなAI研究部門「メタ超知能ラボ」(Meta Superintelligence Labs)が開発した最初のモデルとなる。

Muse Sparkは、テキストや音声、画像を統合処理する「ネイティブ・マルチモーダル」設計に加え、外部ツールの活用や視覚的思考プロセス、さらに複数エージェントの連携といった機能を備えた推論特化型モデルだ。

中でも注目されるのが、独自の推論手法である「熟考モード(contemplating mode)」の導入だ。これは複数のAIエージェントを並行稼働させ、難易度の高いタスクを多角的に推論する仕組みだ。

メタによれば、本モードの実装により、難関ベンチマークとして知られる「Humanity’s Last Exam」で58%、「FrontierScience Research」で38%の正答率を達成。この大幅な性能向上により、Googleの「Gemini Deep Think」やOpenAIの「GPT Pro」といった最先端モデルの高度な推論能力に匹敵する、最高水準の知能を実現したとしている。

公式声明によると、Metaは過去9か月間でAIスタックをゼロから再構築し、モデルアーキテクチャ・最適化・データキュレーションを刷新したという。同社はこれにより、前モデルであるLlama 4 Maverickと比較して「1桁以上少ない計算資源」で同等の性能を達成できると主張している。

また、メタはMuse Sparkの開発を通じ、AIの強化学習における「安定して予測可能な性能向上」を確立した。これを各世代のモデルが前段階の成果を検証しつつ、次世代へと知能を積み上げる「スケーリングの階段」の第一歩と位置づけている。

医療・科学分野のパフォーマンス

メタはMuse Sparkを、「ユーザーの世界を理解するパーソナライズされたスーパー・インテリジェンス」の実現に向けた第一歩であると強調。その応用例の一つとして、人々の健康に関する知識の理解向上と状態の改善を後押しする役割をあげている。マルチモーダル認識機能により、ユーザーからの画像やグラフを含む質問にも回答できるようになるという。

同社はMuse Sparkの医学的推論能力を向上させるため、1,000人以上の医師と協力してトレーニングデータを厳選し訓練を行った。その結果、難関の医療ベンチマークにおいて、GPT 5.4の40.1点、Gemini 3.1 Proの20.6点を、大きく上回る42.8点を記録した。

エージェント型検索(DeepSearchQA)においても、Muse Sparkは74.8を記録し、Gemini 3.1Pro(69.7)やGPT 5.4(73.6)を抑えて首位に立った。また、科学論文の図表理解を評価する「CharXiv Reasoning」では86.4をマークし、比較対象となった全モデルの中で最高スコアを記録した。

しかし、総合力では、Gemini 3.1 Proが依然として優位にある。特に抽象的推論(ARC AGI 2)ではMuse Sparkは大差をつけられており、コーディングやマルチモーダル理解でも一歩及ばない結果となった。メタ側も、長期的な推論を要する複雑なエージェント処理や、コード開発のワークフローにおいては、性能不足を自ら認める形となっている。

メタのAI戦略転換

メタは、新たなAI戦略を支えるため、AIインフラへの大規模投資を進めている。

同社はオープンソースモデル「Llama4」が市場の期待を下回る評価に終わったことを受け、AI戦略を根本から見直し、開発体制を強化した。昨年6月にはScale AIの株式49%(議決権なし)を約143億ドルで取得し、同社の創業者であるアレクサンダー・ワン氏を最高AI 責任者として迎えるとともに、AI研究部門「メタ超知能ラボ」(MSL)を立ち上げた。

さらにその後も、人材確保のために、競合であるOpenAIやAnthropic、Googleの研究者に数億ドル規模の報酬パッケージ(株式報酬を含む)を提示し、採用を進めた経緯がある。

Muse Sparkは現在、Meta AIアプリとMeta.aiウェブサイトで利用可能となっており、Facebook、Instagram、WhatsAppへの展開も計画されている。なお、現時点ではクローズドモデルのため、利用にはFacebookやInstagramなど既存のメタアカウントが必要だ。

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