ステーブルコインは決済インフラになるか、決済大手3社が語る
WebX2026のBinanceステージでは、マスターカード・Binance Japan・Ellipticの実務責任者が登壇し、決済大手企業がステーブルコインで小売業をどのように再構築しているかを議論した。加盟店の決済現場で起きた変化から、AIエージェント時代の決済インフラ、そして各国で断片化する規制対応まで、40分間の議論を論点ごとに再構成する。
登壇者プロフィール
マスターカードでブロックチェーン・デジタル資産部門シニアバイスプレジデントを務める。デジタル資産・フィンテック企業とのグローバルパートナーシップを統括し、決済ソリューションの展開を主導する。2015〜2019年には中欧地域のプロダクト責任者としてデビットマスターカードの導入を手掛けた。
Binanceのアジア太平洋地域責任者(Head of APAC)として、APAC全域の戦略・事業運営・規制当局対応を統括する。法律・金融サービス・フィンテック・デジタル資産の分野で20年以上のキャリアを持ち、官民双方で要職を歴任してきた。
Ellipticのシニア暗号資産脅威アナリストであり、香港城市大学で暗号資産・次世代犯罪学の助教授も務める。研究テーマは詐欺・資金洗浄・テロ資金供与・ダークウェブ上の違法行為など、暗号資産や新興技術に関連する犯罪。各国の公的機関・民間企業に対し新たな犯罪動向や対策について助言してきた。
Wachsmanのエグゼクティブディレクター 兼 シンガポール拠点責任者。アジア太平洋地域の戦略コミュニケーション部門を統括し、大手デジタル資産・フィンテック・AI企業に対して企業広報や経営層のポジショニング戦略を助言している。
なぜ今、決済の主戦場にステーブルコインが躍り出たのか
加盟店の決済現場で何が変わったか
マスターカードが描く「水面下の進化」
AIエージェント時代の決済認証とKYA
コンプライアンスと金融犯罪リスクにどう向き合うか
断片化する規制とAPACの現在地
セッション総括
モデレーターのプラナブ・ラストギ氏は最後に、3年後の2029年に同じステージへ戻ってきたとして、ステーブルコインが主流になった最も明確な兆候は何かを、各登壇者にひと言で尋ねた。
「多様なマルチアセット・プラットフォームが増え、一つのプラットフォーム上でWeb2とWeb3の区分がなくなり、その基盤をステーブルコインが完全に支えるようになるだろう。もしその頃までにエージェントがこのカンファレンスの全パスを購入していたら、それは良い指標だ」(Christian Rau氏)
「その過程で詐欺師や北朝鮮のハッカーが入り込んでいなければ、それは望ましいことだ。マスアダプションが『いつ来るのか』と問われ続けている限り、まだそこには到達していない」(SB Seker氏)
「自分の母がステーブルコインを知り、取引に使えるようになったときだ。母は2029年に70歳になる。彼女がステーブルコインとは何かを理解し、実際に使えるようになったとき、大規模な普及が実現したと確信できる」(Arda Akartuna氏)
3人が語ったのは、消費者の目に見える体験そのものよりも「水面下」のインフラ刷新であり、その普及速度を左右するのは規制の追いつき方とコンプライアンスの自動化だという点で、見解は一致していた。
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