- クラーケンは「業界の信用を落とす試みか」とコメント
- HTXはEUなどの対ロシア制裁対象
「ダスト攻撃」で複数アカウント凍結
暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンは、制裁対象である取引所HTX(旧称フォビ)のウォレットから少額資金の送金を受けとったことにより、複数の顧客アカウントが凍結されたと発表した。ブルームバーグなどが25日に報じた。
クラーケンは、影響を受けた顧客アカウントへのアクセスを復旧させつつ、規定通りに制裁対象の資金を凍結していると述べた。
クラーケンは、これは「ダスト攻撃」と呼ばれるものだったとしている。これは通常、多数のウォレットアドレスに少量の仮想通貨を送りつけ、それらを受け手が気付かずに使用してしまうのを待ち、資金の流れを追跡して身元を特定するなどを行う攻撃のことだ。
今回の場合は、制裁対象の資金を送りつけることで、クラーケンのコンプライアンスシステムが自動的に発動し、資金を受け取ったユーザーアカウントを凍結、結果的に業務が混乱することを狙ったものだとされる。クラーケンは次のようにコメントした。
今回のダスト攻撃は、英国やEUの制裁対象となっている資金を仮想通貨プラットフォームに拡散させ、業界全体の信用を失墜させようとする試みのように見受けられる。
誰がこの攻撃の背後にいるのかは不明だが、彼らは、制裁対象の資金が顧客の口座に入れば、アカウントの完全凍結が引き起こされることを見越していたのだろう。
また、アーカム・インテリジェンスによると、今月、当該ウォレットからクラーケンに関連するアドレスへ計12,000件の送付が行われていたとされる。また、HTXが準備金証明の一環として公開しているアドレスの情報と一致するウォレットだったと報告された。
一方で、HTXは同社が送金を行ったことを否定。現在調査中だが、送金元の特定ミスや第三者による悪意ある行為などが原因として考えられるとコメントした。
対ロシア制裁の状況
HTXは7月、ロシア関連で欧州連合(EU)の制裁リストに加えられた仮想通貨取引所だ。英国政府は、HTXがロシア政府の戦略的重要分野で事業を営んでいる「A7」などの企業にサービスを提供しており、ロシア政府を支援していると疑う「合理的な根拠がある」と述べていた。
バイナンスも今月、HTXを取引制限対象となる相手方の一覧に組み入れている。
関連記事:バイナンス、HTXなど16社と取引制限へ
仮想通貨取引所バイナンスが、規制動向を理由にHTXやEXMOなど計16の事業者・プラットフォームとの取引処理を段階的に制限すると発表した。23日には新たに11社が対象となる。
7月にEU理事会で採択された、対ロシア制裁の第21次パッケージにより、EU内の個人および企業は今月23日から、HTX、EXMO、BitPapa、Rapira、その他の制裁対象プラットフォームと一切取引を行うことができなくなった。
入出金、取引、当該アカウントへの送金などが原則として禁止される格好だ。個人の場合、制裁による取引禁止が発効する前であれば、出金や口座解約は問題なく行うことができる。発効後に資産が凍結された場合も、所定の当局に例外的な解除を申請できる制度はあるが、実際に認められるかどうかは個別の事情による。意図的な制裁違反には懲役刑や罰金刑が科される可能性がある。
関連記事:ロシア最大手銀スベルバンク、仮想通貨取引インフラ構築へ デジタル通貨法の可決受けて
ロシア最大手銀スベルバンクが2026年12月までに仮想通貨取引インフラの整備を目指す方針だ。下院で可決された一般投資家の市場参入を認める新法案を背景とした動きである。



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