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財務省広報誌「ビットコイン先物が2017年仮想通貨バブル崩壊をもたらしたのか」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコイン先物は価格の下落を導いたか?
財務省は23日、財務総合政策研究所による研究レポートを公開した。不正・規制に係る学術研究のほか、ビットコイン先物と市場との相関性についても分析を進めた貴重な内容となる。

ビットコイン先物は価格の下落を導いたか?

財務省は23日、財務総合政策研究所による研究レポート「暗号資産(仮想通貨)研究への誘い―先物、不正・規制、ICO を中心に」を財務省広報誌「ファイナンス」に掲載した。

財務総研の石田良氏、服部孝洋氏との共同研究で、米国によるビットコインETFの申請の却下や中国によるICOの禁止を含め、不正・規制に係る学術研究のほか、ビットコイン先物と市場との相関性についても分析を進めたものだ。

仮想通貨(暗号資産)に関しては、「運用開始当初は一部エンジニアなどにしか知られていなかった暗号資産も、今や時価総額にして約20兆円にまで至っている。」「価格変動が大きいだけでなく、国際通貨基金(IMF)を始めとする国際機関や主要国の中央銀行までもが関心を示すほか、個人マネーの参入などの社会現象を引き起こしていることから、昨今様々な方面から注目を浴びている。」などと評価。

暗号資産についての学術的な研究については、「これまでは、情報工学系の取組みが先行していた」と指摘した上で、「ここ1~2年で経済学及びファイナンスのトップジャーナルに論文が掲載されてきたことに加え、2019年の米経済学会やアメリカ・ファイナンス学会などでも独立したテーマとして取り扱われ、足下でも、中央銀行や規制当局などを中心に学術研究に関してセミナー等を通じ、活発に議論がなされている。」と言及した。

ビットコイン先物は価格の下落を導いたか?

今回のレポートでは、機関投資家の参入や先物のショート(空売り)のしやすさ等をを踏まえて、「先物市場の解禁が仮想通貨バブルを終わらせた」という説についても研究を行い、異議を唱えている。

米国金融機関CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、CBOE(シカゴ・オプション取引所)は2017年12月、相次いでビットコインの先物取引を導入している。

レポート内で指摘している前提として、「ビットコイン先物は、価格の透明性や業者のリスク管理を向上させること等を企図しており、株式や国債など幅広いアセットクラスで先物市場があることに鑑み、号資産市場の成熟のため先物の導入が求められたと」いう背景がある。

ビットコインの価格推移(図を参照)を見れば分かる通り、価格のトレンドが下がり始めた時期と、ビットコイン先物導入時期は時期を同じくしている。

出典:財務総研

ビットコイン先物は、基本的に日経平均先物と同様の性質を持つが、毎月存在する限月には「約定した先物価格と決済価格」との差額を受け渡すことにより差金決済が行われるため、BTCFXトレーダーの間でも意識されるなど、少なからず市場に影響を与えている側面もある。

しかし今回、財務省の研究レポート(Hattori and Ishida 2019)では、先物の導入とビットコイン価格の下落の間の相関関係を否定する分析結果を提示した。

ビットコイン現物の価格に加え、ビットコイン先物の価格および取引高のデータを用い、先物の導入と現物価格の関係について、初めての実証研究を行ったという。

両氏が注目した点は、もしビットコイン先物が投資家による空売りを可能ならしめたことなどにより現物価格が低下したのであれば、ビットコイン先物の売買が大きいタイミングで現物の価格が下落しているはずであるという点である。

日中の先物の売買と現物の価格をマッチさせて、実際に売買と価格の間に一定の関連性があるか検証した結果、先物取引が増加すると、その直後の数十分間程度は価格に負の影響を与える可能性があるものの、その後については統計的に有意な影響をもたらさないことが示された。

また、先物の導入が現物の下落につながったのであれば、先物と現物の間で十分な裁定行動がみられるはずという点にも注目。2017年末に先物と現物の間に強い裁定が働いていたのではないかという仮定で調査している。

詳細は、財務省広報誌ファイナンスに記載されている。

研究レポートの最後に、以下のように結んでいる。

暗号資産は、顧客の暗号資産の流出事案が複数発生したり、価格が乱高下し、暗号資産が投機の対象になったりするなど、現在も様々な問題を有する。今後の暗号資産のあり方について様々な議論が行われているところ、アカデミックな観点からも暗号資産についてより一層の理解が深められる必要があろう。

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