CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の税金逃れは即バレる!?"億り人"は特に注意!

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨の税金逃れは非常にバレやすい?
仮想通貨専門税理士・公認会計士の齋藤雄史による寄稿記事です。仮想通貨の脱税がバレやすい点と、ペナルティの詳細についてまとめていただきました。

仮想通貨専門税理士・公認会計士

齋藤雄史

東北大学大学院経済学研究科会計専門職課程修了、慶應義塾大学大学院法務研究科法務専攻履修。

新日本有限責任監査法人を経て、公認会計士・税理士事務所を開業し、自らも経営者、投資家として、経営者や投資家の財務・税務をサポートする。

2017年より、仮想通貨専門税理士として、税金の仕組みの基礎から、仮想通貨の税金対策セミナーを各地で開催している。

これまで500人以上の税務申告の相談にのり、要望の大きさから仮想通貨専門の税務相談サービス(Coin Tax Service)を設立、監修を務める。

目次
  1. ビットコインは脱税がしにくい!
  2. 確定申告していないことがバレる理由
  3. ばれていないと思っていても・・・?
  4. よくある勘違い
  5. 無申告がばれるとペナルティがある
  6. 2000万円の仮想通貨の利益を脱税した場合
  7. まとめ

ビットコインは脱税がしにくい!

確定申告の期限が迫っていますが、皆さん確定申告は順調に進んでいるでしょうか。

まだという方も、必ず確定申告をしていただきたいと思います。

仮想通貨取引はデータ上のやり取りに過ぎないため、「脱税ができるのでは?」「もう間に合わないしいっか」などと考えて放置することは避けた方が良いです。

実は、ビットコインを含む仮想通貨ほど、税金逃れがしにくいものはほとんどと言っていいほどないのです。

脱税をしても、仮想通貨取引はデータとして記録されていますし、仮想通貨取引業者は税務当局に情報公開を求められたら基本的に断ることができませんので、まず調べられればバレます。

特に利益金額の大きい「億り人」となった方々は確実に足がつくと思ってください。

国税庁も億り人には目を光らせているようです。

2018年1月に、朝日新聞でも、国税がビットコイン長者をリストアップしていることが報じられました。

確定申告していないことがバレる理由

仮想通貨取引についての脱税や無申告・過少申告がバレる理由としては以下のものが考えられます。

取引所内の取引履歴を確認される

取引所で行われる取引については、取引業者がデータを持っています。

皆さんが損益計算をする際に使用する取引履歴データも、取引所内で行われた取引を取引業者が記録しているために利用できます。

また、取引所に入出金する際に、銀行の口座を通している場合は、金融機関にその記録が残ります。

国税当局には一定の捜査権限があるので、取引所や金融機関は仮想通貨取引の情報公開請求を受けた場合基本的に従うしかありません。

そして、多額の利益が出ているのにもかかわらず、確定申告をしていないような納税義務者がいればすぐに疑ってくるでしょう。

ブロックチェーン上のトランザクションを追跡される

取引所を介さないウォレット同士の取引などであっても、ブロックチェーン上の取引履歴(トランザクション)を追跡される可能性があります。

ブロックチェーンは仮想通貨取引を行うもの全員に公開されている取引履歴の元帳のようなものですので、その履歴を追うことで「誰が」「いくら」「誰に対して」取引をしたのかが分かるようになっています。

SNSなどの投稿からバレる

今回の仮想通貨バブルの原因の一つとして「億り人」たちがSNSなどを通じて情報発信をし、市場を盛り上げていたことが挙げられます。

そこで積極的に情報発信をしている人は、仮想通貨投資で成功していると考えられ、調査対象になるかもしれません。

そして、取引所やトランザクションを追跡されれば足がついてしまう可能性があります。

ばれていないと思っていても・・・?

確定申告をしていないのに、すぐに税務署から連絡が来ない場合でも無申告・過少申告がバレていないとは言い切れません。

考えられる理由としては以下のものが考えられます。

単に金額が低いだけ

税務署は多数存在する納税義務者がきちんと納税しているかチェックします。

したがって、その調査対象には必然的に重要度があります。

課税金額が小さい場合はあまり重要性がない事例として見過ごされることもあるでしょう。

期間が短く確証がない

重大な税金逃れがあったとしても、ある程度の裏をとるまでは思い切った行動には出られません。単なる勘違いをしてしまっては税務署の信頼性に関わるからです。

ただ泳がしているだけ

納税を怠った納税者には延滞税や加算税などのペナルティがあり、時間をおいたほうがより多くの税金を取れます。

また、税務調査は一般的に、3年分を遡って調査され、3年分の追加の税金を納めてもらうという仕組みになっています。

したがって、税務署から連絡が来るまでに数年かかることも少なくありません。

連絡が来ないのは、ただ泳がされているだけということもあります。

よくある勘違い

確定申告をしなかったが税務署から連絡がこないのでバレていないと勘違いしてしまい、翌年もその次の年も申告しないでいると、数年後に税務調査が来て過年度の無申告分がまとめて課税される、というケースもありますので気を付けましょう。

無申告がばれるとペナルティがある

以前にも書きましたが、無申告・過少申告の場合には金額や悪意の程度に応じて以下のようなペナルティがあります。

また、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合に加算税の割合が加重される措置が設けられています。

延滞税

年率2.6%〜14.6%が加算されます。

加算税

  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

重加算税なら約35%〜50%を追加で加算されます。

脱税(所得税法違反)

「10年以下の懲役」または「1,000万円以下の罰金」、もしくはその両方が科されます。事案によっては、行政的な制裁だけでなく、刑事罰を受ける可能性があります。

2000万円の仮想通貨の利益を脱税した場合

例えば、給与所得が500万円の会社員が仮想通貨による利益2,000万円を意図的に申告せず、税務調査により無申告を指摘された場合の計算はこのようになります。

前提条件

所得:給与所得500万円(給与所得控除後346万円)と雑所得2,000万円

控除:基礎控除38万円のみとする

源泉徴収税:年間累計約21万円(年末調整済)とする

本来納めるべき税額:約635万円(所得税及び復興税の合計)

計算手順

手順①本来納めるべき税額を計算する

⇒本件は約635万円

手順②本来納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算する

⇒50万円までの部分:50万円×15%=約7万円

⇒50万円を超える部分:(635万円-50万円)×20%=約117万円(無申告加算税)

合計約124万円

こちらの「無申告加算税」だけでなく、法定納期限の翌日から完納する日まで納付が遅延したことによるペナルティ(「延滞税」と呼ばれます)が課されます。半年後(平成30年9月)に納付したとすると、約8万円(延滞税)です。

合算すると、約635万円(本来納めるべき税額)+約124万円(無申告加算税)+約8万円(延滞税)=約767万円納付することとなります。

延滞税の計算方法

参考記事はこちらから

まとめ

これまで仮想通貨取引の追跡の仕方、脱税(無申告)がバレるきっかけについてご紹介しました。

仮想通貨の税制はまだ確立したものではなく、完全に正しい処理をするのは難しいかと思います。

そこで、仮想通貨の税金計算サービスを利用する、または、個人で申告するにしても税務署や税理士に相談するなどきちんとした手続きを行い、後々税務調査が入ったとしても慌てないようにしましょう!

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/08 水曜日
08:10
トレーダーに利回り提供へ、BybitがUSDeを取引担保に採用 
ENAトークン一時急騰 仮想通貨(暗号資産)取引所Bybitは7日、新しいステーブルコイン「USDe」をデリバティブ取引の担保資産に追加すると発表した。トレーダーに利回りを提供…
07:25
「仮想通貨市場には詐欺や問題が多い」ゲンスラー委員長
米SECのゲンスラー委員長は、仮想通貨の投資家保護の必要性を改めて強調。一方、イーサリアムの証券性については明言しなかった。
06:45
ワールドコイン過去一週間で35%上昇、その背景は
OpenAIのライバルであるGoogleは、5月15日に大規模な開発者カンファレンス「Google I/O」を開催する予定だがこれに先駆けChatGPTの検索エンジンを発表する観測だ。
06:10
米ビットコイン現物ETFに330億円純流入、2日連続プラスに
米ビットコインETFに回復の兆し。米月曜日、すべての仮想通貨ビットコイン現物ETFはプラスの資金流入を記録した。
05/07 火曜日
17:54
米決済大手Visa「ステーブルコイン取引高の約9割はbotによるもの」
決済大手Visaは、仮想通貨ステーブルコインについての記事を発表。ステーブルコイン取引活動の90%はボットなどによるものだと分析している。
14:32
米SEC、Invescoの「イーサリアム現物ETF」の可否判断を最終期日まで再延期
米国証券取引委員会は、InvescoとGalaxy Digitalが共同で申請した イーサリアム現物ETFの可否判断をさらに延期すると発表。次回の期限は7月5日で、これが最終期限となる。
14:22
米マラソンデジタル、ケニア政府とビットコインマイニングで協議
米上場ビットコインマイニング企業マラソン・デジタルは、ケニア政府と、仮想通貨政策やデーターセンター開発などで話し合っていると述べた。
12:30
前週末にかけてビットコイン大幅反発、ETFフローに好転の兆し
暗号資産(仮想通貨)相場は前週末にかけてビットコインが大幅反発し、暴落していたアルトコイン値を持ち直した。グレースケールGBTCへの資金流入など、ビットコイン(BTC)現物ETFのフローにも好転の兆しが見られる。
10:58
Bitwise幹部、コインベースの事業を分析
仮想通貨に非友好的な米国の規制環境をコインベースは利用できているとBitwise幹部が指摘。特に印象的であると感じる点を2つ説明した。
10:42
米SEC、証券法違反をロビンフッドに警告
米SECがロビンフッドにウェルズ通知を送付し、証券法違反を警告した。同社の仮想通貨事業を提訴する可能性が浮上したが、SECの対応を疑問視する声も上がっている。
05/06 月曜日
14:00
LayerZero、不正なエアドロップ受取を抑制へ
クロスチェーンプロトコルLayerZeroは、トークン配布の際の不正行為シビル・ファーミングを特定すると発表した。自己申告期間も設けている。
12:30
ビットコイン、累積トランザクション数が10億件に到達
仮想通貨ビットコインは、これまでの累積取引数が10億件を超えた。最近では現物ETF承認の他、Runesやオーディナルが取引数をけん引している。
12:00
不動産投資とは|種類や利点、運用方法を仮想通貨投資家向けに解説
仮想通貨投資で得た利益を別の投資先に分散したいと考える方も多いのではないでしょうか。この記事では、不動産投資の基本概要から応用的な投資手法までをご紹介します。
05/05 日曜日
19:00
ふるさと納税受入額が約1兆円に、最新人気自治体ランキングTOP10
自治体のPR活動や魅力的な返礼品の充実により、受入額と受入件数は増加し続けています。本記事では、「ふるさと納税の寄附額の推移」や「人気の自治体ランキングTOP10」「ビットコインを受け取る方法」の3つを解説しています。
16:00
ふるさと納税とは|投資利益に対する税金を軽減できる仕組みを解説
ふるさと納税とは、応援したい自治体の活性化や地域振興を促すことを目的として、その自治体に「寄附」をする制度です。寄附額から2,000円を差し引いた全額を、所得税や個人住民税から控除され、自治体が定めた返礼品を受け取れます。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア