「DeFiなどでの自動取引が9割」
米決済大手Visa(ビザ)は4月25日、ブロックチェーン・データプロバイダー「Allium Labs」と共同開発したVisa Onchain Analytics Dashboardを元に暗号資産(仮想通貨)ステーブルコインに関する記事を発表した。
この中で、ステーブルコイン取引活動の90%は、bot(ボット)などによる自動売買だと分析している。
分析の経緯は、ネット上で話題になった以下の図に異議を提示する格好で行われたものと見られる。
この図は、米連邦準備制度が提供する即時清算システムFedwireやACH、ビットコイン(BTC)など様々な送金システムの年間取引高を表わすものだ。ステーブルコインが2016年頃より急速に台頭し、6年のうちにペイパルやビットコインを追い抜かし、Visaの取引高にも近付きつつある。
しかしビザは、仮想通貨関連の開発者は、ステーブルコインを使った裁定取引、流動性提供、マーケットメイクなどの活動を実行する、自動化されたボットを作成できると指摘した。
こうした、個人や企業自身が行うものではない自動取引をフィルターにかけ除外してみると、例えば過去30日間の取引高は2兆6,500億ドル(約409兆円)から2,650億ドル(約41兆円)まで1/10以下に減少すると続けている。
ビザは、ボットによる取引活動は、特に分散型金融(DeFi)エコシステムを維持するために不可欠だとした。その上で、こうした取引は、消費者や企業が行うオーガニックな決済活動とは違うものであり、単純に比較することは難しいと意見している。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
▶️仮想通貨用語集
オンチェーン分析ダッシュボードを立ち上げ
今回の分析は、ビザがブロックチェーン・データプロバイダー「Allium Labs」と提携して構築した、Visa Onchain Analytics Dashboard(ビザ・オンチェーン分析ダッシュボード)を利用して行われた。
このダッシュボードでは、スマートコントラクトによる複雑な内部トランザクションを削除し、過去30日間の取引数が1,000件未満、取引高が1,000万ドル未満のアカウントのみをカウントするフィルターが適用できる。
これにより、中央集権型取引所や様々なボットによる自動トランザクションを非表示とする仕組みだ。ビザは、データを分析して得た知見として、他に次の事項を挙げている。
- ステーブルコインの流通供給量は2024年に入ってから再び増加し、過去最高の1,500億ドル(約23兆円)に近づいている。
- すべてのチェーンで月間アクティブユーザー数は2,750万人に達している。
また、USDCの利用率が過去8か月で増加しており、昨年9月時点ではステーブルコイン取引全体の23%だったが、今年2月には60%に達したと報告した。
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