ステーブルコイン法案可決の可能性
米暗号資産(仮想通貨)投資企業Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者(CIO)は4月29日、米国議会が今年、包括的なステーブルコイン法案を可決する可能性に言及。実現した場合、仮想通貨の広範な普及という面でビットコイン現物ETFの承認と同等か、それ以上に大きな影響を与える可能性があると述べた。
ホーガン氏は、「仮想通貨の主流化イベント」に関するニュースとして、米下院金融サービス委員会の民主党トップであるマキシン・ウォーターズ議員が、同法案の最終合意に近づいてると語ったことを取り上げた。
共和党のパトリック・マクヘンリー委員長らが提出した「決済ステーブルコインの明確化に関する法案」は、同委員会を通過したが、民主党と共和党間で議論が紛糾し、全議場での採決には至っていない。しかし、両党による22ヶ月に及ぶ審議を経て、同法案はすでに広範な支持を得ており、議会に提出される準備はほぼ整っているとウォーターズ氏は示唆した。
ホーガン氏は、ステーブルコイン法案可決に向けての流れが揃ってきたことを示す動きとして、と以下の三つを挙げた。
- 仮想通貨を厳しく批判してきたシェロッド・ブラウン上院議員が、ステーブルコイン法案への支持を表明
- 米連邦準備制度理事会(FRB)のクリス・ウォーラー理事:ステーブルコインが世界金融における「ドルの支配的な役割を強化する可能性」を示唆
- ジェローム・パウエルFRB議長とジャネット・イエレン米財務長官がステーブルコイン規制に賛成を表明
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ステーブルコインの有益性
ホーガン氏は、ステーブルコインに対する超党派の関心は次の三つの要因によって推進されていると語る。
- ステーブルコインは米ドルが世界の基軸通貨としての地位を維持するのに有益である
- ステーブルコイン発行企業は米国債の重要な買い手であり、ステーブルコインのために担保された米国債の保有量は世界16位である
- 経済的理由=利益率が非常に高い。テザー社が従業員数が125名で62億ドルの利益を出しているのに対し、ゴールドマンサックスは従業員数4万5,000人で85億ドルの利益に留まる
ホーガン氏は、ウォール街もステーブルコイン事業参入に向けて、ロビー活動を行っていると指摘した。
米国初の包括的な仮想通貨法となるか
ステーブルコイン法案が議会で可決成立した場合、米国初の包括的な仮想通貨法となる。規制が整うことで、JPモルガンなどの大手銀行が仮想通貨分野に参入し、「敵から味方へ」移行するとホーガン氏は指摘した。
すると何百万もの人々や企業が、仮想通貨ウォレット、ステーブルコイン、ブロックチェーンベースの決済レールが提供するスピードや低コスト、使いやすさを知ることになるだろう。
さらに、大手決済企業Stripeによるステーブルコイン支払い機能の発表や、決済大手のVisaによるオンチェーン分析プラットフォームの立ち上げなどを例に取り、数年後にはステーブルコインでの支払いが普通になる可能性もあると主張した。
投資家の視点
ホーガン氏は、ステーブルコイン法案の成立は、仮想通貨市場が「ステップ関数」的に急拡大する可能性がある瞬間だと強調している。
ステーブルコインの保有自体からは、価値の上昇は見込めないが、大規模なステーブルコイン供給と様々なDeFiアプリをホストしている イーサリアム(ETH)や ソラナ(SOL)などのレイヤー1ブロックチェーンへの投資は可能だと述べた。
言い換えれば、 仮想通貨は主流へと大きく飛躍する次の準備が整っているのだ。
ホーガン氏は、2028年に予定されるビットコインの半減期までに起こる五つの出来事を予測する中で、ビットコインの価格が25万ドル(約3,900万円)を超えるとの考えを示した。
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