仮想通貨の規制強化へ
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は7日、米CNBCの「Squawk Box」に出演し、暗号資産(仮想通貨)の投資家には投資に必要な情報が提供されていないと指摘した。
仮想通貨市場は規模は小さいが、その割に詐欺や問題が多いと主張。そして、証券法による投資家保護が十分に遵守されていないとして、規制強化の必要性を訴えた。
ゲンスラー氏の言葉を裏付けるようにSECは特に最近、仮想通貨企業への規制を加速させている。今月には仮想通貨の取引サービスを提供するロビンフッドに証券法違反を警告したことが公表された。
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最近はイーサリアムに関連する企業にも警告を行っており、イーサリアムが有価証券に該当するのかに特に関心が集まっている。今回CNBCのインタビュアーは「イーサリアムは証券なのか」と直接質問したが、ゲンスラー氏は明確な回答は避けた。
同氏は仮想通貨の証券性について、以下のように発言している。
特定のトークンを早計に判断しなくても、仮想通貨の多くは、最高裁が規定する有価証券に該当するはずだ。
投資家は仮想通貨について必要な情報開示を受けておらず、我々は法律に従って行動しなくてはならない。
今回ゲンスラー氏は、取引所らの仮想通貨仲介企業に対し、ニューヨーク証券取引所らに認可しないことをさせてはならないとも主張。そして、特定の企業に関するコメントは避けた。その上で、自身にとって最も重要なことは、どうやって我々が米国の投資家を保護するのかだと説明している。
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SECの動向
最近SECが、証券法などの違反を警告している企業は以下の通り。
- ロビンフッドクリプト:ロビンフッド・マーケッツの仮想通貨部門
- Consensys:メタマスクなどを手掛けるWeb3ソフトウェア企業
- Uniswapラボ:DEX(分散型取引所)開発企業
これらの企業はSECから、法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書「ウェルズ通知」を受け取っているが、実際にはまだSECは法的措置を行っていない。
一方で、Consensysは先手を取ってSECとゲンスラー氏ら全5名の委員を提訴した。同社はイーサリアムは有価証券に該当しないなどとSECに反論している。
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イーサリアムは時価総額が第2位であり、今月にSECによる承認判断の最終期限を迎える現物ETFがあるため、最近のSECを巡る動向は特に高い関心を集めている。
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SECとは
「Securities and Exchange Commission」の略。株や債券など証券の取引を監督する米政府機関のこと。SECのミッションは「投資家を保護すること」「公正で秩序のある効率的な市場を維持すること」「資本形成を促進すること」である。
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