CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム関連「stETH」の価格乖離、その背景は

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

stETHの価格低下

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)をLido Financeでステーキングすることで受け取る「代替資産(stETH)」トークンの価格が低下傾向にあり、DeFi(分散型金融)でレバレッジをかけて構築されたポジションの清算リスクが高まっているようだ。

出典:Curve

stETHのメインの取引市場は分散型取引所CurveのstETHとETHを交換できる流動性プール。stETHはETHに対して5%の割引価格で取引されており、1stETHを売却しても0.94ETHにしかならない状態だ。9日には大口ウォレットが50,000 stETHを売却した事が確認されており、11日時点に同プールのETH比率は20%まで低下している。

DeFiポジションの清算リスク

Lido Financeでは、ETHをステークすると債権トークンである「stETH」を受け取り、ステーキング金利を獲得しながらDeFiで運用できる。イーサリアム2.0のステーキング・シェア約30%を占め、410万ETH(約9000億円)が預けられている(執筆時点)。

stETHは、ETHに1対1で裏付けられており、最終的に償還可能な時期が来ればその担保が利用可能になるため、価値をさらに下げたとしても直接的な問題はない。売りの連鎖(デス・スパイラル)により価格維持システムが崩壊したTerraUSD(UST)のような心配は基本的に無い。

ディペッグについても懸念する必要はない、とリサーチャーのMika Honkasolo氏は指摘する。stETHがETHの価格と1:1でペグ(連動)する必要はなく、例えETH価格を90%下回ろうと、値動きによってLidoの信頼が失われることはないと述べる。むしろ、stETHを使ってレバレッジをかけたポジションを作ったユーザー、特にETHにロングをしたユーザーに影響を与える可能性はあると同氏は指摘する。

stETHの価値がETHの85%になれば清算の連鎖が始まり、stETH価格は最大0.65台まで低下する可能性がある。

特に、Lido Finance利用者の多くはレンディング市場Aaveや金利市場IdleのようなDeFi(分散型金融)でstETHを担保に使用しており、中にはレバレッジをかけて獲得金利を増幅させる戦略を採るプレイヤーも多い。担保を補うためにstETHを売ろうにも、Curveプールに十分なETH流動性が少ないため、さらなる価格低下が生じやすい状況となっている。

レンディングプラットフォームCelsius Networkを含む複数の機関投資家がstETHで大規模なポジションを保有していると見られ、stETH価格がさらに低下することになれば、DeFi市場全体に清算リスクが波及する恐れがあると指摘されている。

The Merge後の見通し

出典:Data Always / Dune Analytics

stETH/ETHのディペッグは、5月初旬のテラ(LUNA)崩壊以後に拡大し始めた。イーサリアム価格を5%も下回るのは5月13日以来2回目。一旦は98%程度まで回復したが、再び乖離が拡大している。その要因の一つは、イーサリアムのPoS移行「The Merge」が差し迫っていることにある。

The Mergeとは

イーサリアム・ブロックチェーンのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムを従来の「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「PoS」へ移行する大型アップグレード。ユーザーが現在利用している旧イーサリアムと「ビーコンチェーン」と呼ばれる新チェーンを統合(The Merge)することにより、PoSへのアップグレードが完了する。

▶️仮想通貨用語集

現在のところThe Mergeは早ければ22年8月の実現が見込まれ、その後のアップグレード(23年上半期目途)が実行されて初めてビーコンチェーンにステークしたETHを報酬とともに引き出せるようになる。仮にThe Mergeの延期を含むトラブルが生じた場合、stETH保有者は報酬と共にETHを償還できないままとなる。こうしたリスクが反映されて、stETHの価格は常に若干の割安状態となっていた。

一方、LidoはstETH保有のメリットを強調して「ディペッグを警戒する必要はない」と指摘する。The Mergeが成功すれば、本来ならばThe Merge後のアップグレードまで拘束される流動性を解放できるというstETHの利点が、改めて認識されることになるだろう。

現状、短期的なイベントである「テラ崩壊や市場全体のレバレッジ解消傾向、そしてレンディング市場からのstETHの引き出し」がstETHの価格にネガティブな影響を及ぼしている。しかし、The Mergeが成功しておよそ1年後にETHに償還できることを踏まえれば、「今日のstETHバイヤーに1年間のステーキング金利を割安価格で提供する機会」と見ることができるとLidoはまとめている。

関連:流動的ステーキングのLido、10,000 ETH売却を検討

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/21 土曜日
06:52
米SEC、ブラックロック提供のビットコインETFのオプション取引を許可
米証券取引委員会(SEC)は20日、金融大手ブラックロックによるビットコイン現物ETFのオプション取引の上場申請を承認した。
06:30
米マイクロストラテジー、660億円相当のビットコインを買い増し
米マイクロストラテジーは20日に仮想通貨ビットコイン(BTC)をさらに追加購入したことを発表した。
09/20 金曜日
17:50
ソラナ「Breakpoint 2024」で注目のトピックは?
ソラナ(SOL)保有の個人投資家や機関投資家の注目を集める中、Solana Breakpoint(ソラナブレイクポイント)2024がシンガポールで開催される。Solana 2.0やFiredancerの進展など、新たな発表や進捗報告が期待される。
17:15
仮想通貨NEIRO(ねいろ)が注目される理由 ドージコイン後継を巡る競争
暗号資産(仮想通貨)「NEIRO(ねいろ)」は、ミームコイン市場で新たな注目を集めています。ドージコインの後継とされるトークンの乱立やバイナンス上場、供給集中問題について詳しく解説します。
14:56
米マイニング企業Hut8とBitmainが提携強化、次世代ASICマシン販売へ
米ナスダック上場の仮想通貨マイニング企業Hut 8は、ビットメイン社と提携して開発したビットコイン(BTC)の次世代ASICマイナー「U3S21EXPH」の発売を発表した。
14:29
イーサリアムの大型アップグレード「Pectra」 第1段階は2025年初に実施予定
イーサリアムの次期アップグレード「Pectra」が2段階で実施決定。第1段階は2025年初頭、8つのEIPを含む機能改善を予定。
12:41
ワールドコイン、アプリユーザー向けの顔認識技術を試験導入へ
ワールドコインが顔認識技術をWorld Appに導入。アプリ使用時のセキュリティ強化が目的だ。各国当局のプライバシー懸念も継続。
12:20
米地裁、ConsensysがSECを提訴した裁判で判決
米地裁は、メタマスクなどを手掛けるWeb3ソフトウェア企業ConsensysがSECに対して起こした訴訟を棄却。この裁判は仮想通貨イーサリアムの証券性などを争っていた。
12:13
ビットコイン続伸、オンチェーンデータは需給好転を示唆
暗号資産(仮想通貨)市場ではFRBの大幅利下げを追い風にビットコイン(BTC)が200日移動平均線に迫る水準まで続伸。トレンド転換が視野に入る。
07:15
キヨサキ氏「米利下げで金・銀・BTCの価格は上昇へ」
『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏は、米FOMCの会合に合わせ、ゴールド、シルバー、仮想通貨ビットコインの価格が上昇しようとしているとXで予想。改めて購入を呼びかけている。
07:00
ソラナ(SOL)おすすめ取引所、手数料・ステーキング・出庫機能を徹底比較
2024年に高騰している仮想通貨ソラナ(SOL)。投資家にとって重要な取引所選びとステーキング比較、メリットを解説。ソラナの基本知識、取引所と販売所の違い、手数料の種類、買い方の注意点に至るまで、初心者から上級者まで網羅しています。
06:45
ドイツ政府、47の仮想通貨取引所を閉鎖 マネロン違反で
ドイツ警察当局は、マネーロンダリングを含む犯罪行為に関連しているとされる47もの仮想通貨取引所を閉鎖したことを19日に発表した。
06:15
ソラナの猫系ミームコイン「MEW」、韓国アップビットへ上場 価格高騰
韓国仮想通貨取引所大手アップビット(Upbit)は19日、仮想通貨ミームコイン「MEW」を新規上場した。
09/19 木曜日
19:00
イーサリアムの買い方、取引所選びの完全ガイド
米国初のビットコインETF承認の影響でBTC価格が過去最高値を更新し、仮想通貨投資による資産運用の注目度が急上昇しています。本記事では初心者向けに高騰するイーサリアム(ETH)の買い方、アルトコイン投資のメリットやデメリット、リスクなどを解説しています。
17:48
「SECの仮想通貨規制は市場混乱を招く」米下院公聴会で厳しい批判
米国下院金融サービス委員会の公聴会で、証券取引委員会は「仮想通貨市場に更なる混乱と不確実性をもたらした」として、厳しく批判された。元SEC委員の証言では、議会主導の包括的な規制枠組みの必要性が強調された。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧