現実資産トークン化が開く新時代
CoinPost株式会社が企画・運営し、一般社団法人WebX実行委員会が主催する国際Web3カンファレンス「WebX」において29日、Progmat(プログマ)最高戦略責任者の竹澤友輔氏、株式会社デジタルアセットマーケッツの竹森慶之助氏、株式会社メルコインCEOの中村奎太氏がトークセッションを行った。
『RWAによる流動性革命 物のトークン化で何が変わる?』というタイトルで現実資産トークン化の展望や、各社で進行中のプロジェクトが明かされた。NECディレクターの樋口雄哉氏がモデレーターを務めた。
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債権等の有価証券などが含まれる。
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メルカリが初発表 RWAの事業展開
メルコインは、2021年4月に株式会社メルカリの100%子会社として設立された企業だ。暗号資産(仮想通貨)やNFT、ブロックチェーン関連の新規事業を開発している。
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同社の中村氏は、メルコインによる仮想通貨取引サービスのユーザーが200万人を超えていると述べた。また、現在はRWA(現実資産)トークン化事業についても進めているところだと初めて明かした。
中村氏は、メルカリのユーザー調査により、物理的な物自体ではなくとも、その価値を持てればよいと回答する人々も一定数存在することがわかったと指摘。
トレーディングカードやアートなど、メルカリと相性のいい分野から取り組んでいきたいと意気込みを示した。2024年の年内から年明けにかけて、このあたりの取り組みを発表できる可能性があるとしている。
物理的なものの取引では、郵送するなどの手間がかかり、特にクロスボーダー取引ではハードルになる。その点、トークン化されたものの取引では、デジタルの所有権だけ移転すればよいというメリットがある。海外を含めたボーダレスな市場の可能性が広がるという。
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プログマのステーブルコイン事業
プログマの竹澤氏も、同社でステーブルコインをグローバル決済に利用するプロジェクトが進められていることを明かした。
現実経済のお金の流れをステーブルコインのコミュニティに持ってくること、伝統型金融(TradiFi)とつなげていくことを目指しており、RWAトークン化もその中に含まれてくるとしている。
例えば、エコシステムへの流入促進として、デジタルウォレットを持たない人でも、ステーブルコインにアクセスできるようにする仕組みがあるとよいとも述べた。こうした、ステーブルコインを用いた新しい仕組みを構築するという事業は、コンセプトではなく、向こう1、2年で実現していこうと動いているところだとも話している。
プログマは、昨年11月に三菱UFJ信託銀行、JPYC社らと共にステーブルコイン「JPYC(信託型)」の発行に関する共同検討を開始している。
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ジパングコインを海外へ
デジタルアセットマーケッツは、三井物産デジタルコモディティーズが発行するRWAトークン「ジパングコイン」で協業し、流動性コントロールなどを担当している。「ジパングコイン」はゴールド(金)の価格に連動するトークンだ。
デジタルアセットマーケッツの竹森氏は、RWAトークン化の課題として、日本の法律では「第三者対抗要件」(法的な権利や契約を、第三者に対して主張するために必要な条件)により、個人情報が必要となることが多いと指摘。
現在は、ブロックチェーン上で個人情報を取り扱うことが実質的に難しく、これを解決できるような仕組みを長期的に探っていきたいと話した。
また、動産担保融資(ABL)などでは現状で手続きが複雑だが、これがブロックチェーン上で可能になれば、銀行だけでなく一般プレイヤーも参加できる可能性があるという。
ジパングコインについては、海外展開も積極的に進めていきたいとの姿勢を示した。海外では暗号資産取引所への上場という形式以外にも、トークン化ファンドやETF(上場投資信託)など広がりがあると話している。
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