CoinPostで今最も読まれています

「SECの仮想通貨規制は市場混乱を招く」米下院公聴会で厳しい批判

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

三方悪しの状況

米国下院金融サービス委員会の公聴会で、米証券取引委員会(SEC)の暗号資産(仮想通貨)に対するアプローチが「市場に更なる混乱と不確実性をもたらした」として、厳しく批判された。

「放心と混乱:デジタル資産に対するSECの政治化されたアプローチの分析」と題したこの公聴会は、デジタル資産・金融テクノロジー・包摂小委員会が主催し18日に開催された。

共和党のフレンチ・ヒル委員長は開会の挨拶で、ゲイリー・ゲンスラー委員長は、超党派による包括的な仮想通貨法案「FIT21」の下院での投票当日に反対声明を発表するなど、「独立した規制機関である代わりに、政治を持ち込んでいる」と非難した。

また、同氏が率いるSECのアプローチは、法を遵守しようとする人々に法的明確性を提供する代わりに、更なる混乱と不確実性をもたらしており、公平で秩序ある効率的な市場の維持や投資家保護などの法的義務を果たしていないと指摘した。

政治的な取り締まりを行うにせよ、デジタル資産の法的分類に関する分析の共有を拒否するにせよ、SECは消費者、創業者、投資家、そしてその間にいるすべての人にとって「三方損」という状況を作り出している。

関連:SECゲンスラー委員長反対も、仮想通貨重要法案「FIT21」は下院通過

元SEC委員が証言

公聴会には、仮想通貨規制に詳しい5人の専門家が招かれ、証言を行った。

そのうちの一人が、米大手仮想通貨・株投資プラットフォーム 「ロビンフッド」の最高法務責任者であり、2011年から2015年までSEC委員を務めた経歴をもつダニエル・ギャラガー(Daniel Gallagher)氏だ。

ギャラガー氏は、米国の仮想通貨市場と参加を希望する米国人は長い間、「イノベーションを阻害する連邦規制の不確実性」と闘うことを余儀なくされてきたと指摘した。特に、どのトークンをSECへの登録が必要な投資契約とみなすか、トークンとプラットフォームがどのようにしてSECに登録できるかという点における不確実性は深刻だと述べた。

仮想通貨業界は、米国企業と米国民が法に準拠した形で安心して投資できるよう、SECに明確な規制の枠組みを制定するよう求めてきたが、未だ実現していないとギャラガー氏。SECはその代わりに「執行による規制」を行ってきたと批判した。

「執行による規制」は、市場へのアクセスを望む米国の消費者にとっても、ブロックチェーンと仮想通貨業界のイノベーションにとっても、仮想通貨市場に対する「すでに弱まっている」米国の影響力のいずれにも、悪影響を及ぼしていると述べた。

SECの権限

ギャラガー氏は、SECが仮想通貨に関する暫定的な規制体制を確立する権限を有しているのにも関わらず、全く行使してこなかったとSECを非難した。

SECはこの権限により、登録要件、帳簿記録要件、消費者に対する詐欺防止保護、保管要件、取引報告などの規制の枠組みを作成することが可能であり、この枠組み制定により「FTXが崩壊する前に」投資家保護に役立っただろうと述べた。

しかし、SECは規制の明確性を提供する代わりに、仮想通貨の発行企業や取引プラットフォームに対し、SECに登録するよう継続的に呼びかけている。

実際、ロビンフッドは同社の仮想通貨事業をSECに登録しようと、多大な時間と費用、労力を費やしたが、SECから執行措置を行う可能性を示唆する「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取ることになったと批判した。

関連:米SEC、ロビンフッドに証券法違反を警告 仮想通貨事業を提訴する可能性が浮上

議会に期待

ギャラガー氏は、最終的に、このようなSECの行動の失敗を是正できるのは、議会の責任だと強調。「議会だけが、デジタル資産に関する必要かつ長期的、包括的な規制の明確さを真に提供することができる」と述べた。

しかし、SECが今すぐにも行動を起こして、暫定的であっても仮想通貨企業が登録し、その間イノベーションを継続できるような救済策を提供することを、妨げるものは何もないと指摘。「SECは一貫して、そうしないことを選択している」と批判した。

すべてのSEC委員が証言することに

下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は、24日に、ゲーリー・ゲンスラー委員長を含むSEC委員全員を招集して、公聴会を開くと発表した。

「証券取引委員会の監視」と題した公聴会の内容は、この小委員会が開催した公聴会の証言を踏まえたものとなると見られる。

5人のSEC委員が証言するのは、2019年以来のことだという。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/04 金曜日
17:30
Bunzz Audit、AI搭載監査でWeb3事業のセキュリティを強化【独自取材】
Web3時代のセキュリティ課題に挑むAI駆動スマートコントラクト監査サービス「Bunzz Audit」を解説。従来の監査の問題点と革新的解決策を探る。DeFi、NFT事業者必見。
16:38
バイナンス、4種類の仮想通貨取引ペアを取扱い中止
海外の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは4種類の現物通貨ペアの取扱いを中止した。流動性向上を目的とした戦略の一環で、他の通貨ペアは引き続き利用可能。
15:00
ソラナの猫系ミームコイン「MEW」、米クラーケンに新規上場
米大手仮想通貨取引所クラーケンは8日にソラナ(SOL)基盤の猫をモチーフにしたミームコイン「MEW」を新規上場する予定だ。
14:30
リップル社、ラテンアメリカ大手仮想通貨取引所と協業
仮想通貨を活用した国際送金を変革するため、リップル社がラテンアメリカ大手取引所Mercado Bitcoinと協業。今後のユースケースなどを発表した。
13:00
ビットコイン発明者「サトシ・ナカモト」の正体に迫るHBOドキュメンタリー公開へ
ビットコイン考案者サトシ・ナカモトの正体を追うドキュメンタリーが近日公開。関係者へのインタビューなどで開発状況に迫る。
12:29
ビットコイン6万ドルの節目で下げ渋る、SEC控訴でXRPは急落
暗号資産(仮想通貨)相場ではビットコインが6万ドルの節目で下げ渋り反発した。SECのリップル控訴を受け、XRPは急落している。
12:00
おすすめ国内仮想通貨取引所 投資家のクチコミ比較ランキング
コインチェック、bitFlyer、bitbank、GMOコインなど、国内大手のおすすめ暗号資産(仮想通貨)取引所のメリット・デメリットについて個人投資家の口コミ評価を集め、比較ランキングにしたページです。優先して口座開設すべき取引所探しに役立てて下さい。
10:10
ペイパル、世界四大会計事務所EYにステーブルコイン「PYUSD」で支払い実行 コインベース活用
PayPalが自社ステーブルコインPYUSDを使用し、EYへの支払いを実行した。コインベースによると仮想通貨決済を検討する企業が増加中。
08:45
Bybit、NYダウや日経平均など世界主要株指数の取引提供開始
仮想通貨取引所大手バイビットは3日、米ダウや日経平均など世界主要指数の取引提供を開始した。中国A50指数、ダウ平均株価、ナスダック100、日経平均株価など計17の指数が含まれる。
08:00
BTC半減期後の相場、コインマーケットキャップが分析
仮想通貨ビットコインの相場は過去の半減期と傾向が違い、予想よりも早くピークに達する可能性があるとCoinMarketCapが分析。過去との相違点を説明している。
07:15
メタプラネット、ビットコイン・プットオプション売却で約2億円のプレミアム収益
メタプラネットがビットコイン・プットオプション取引で約2億円のプレミアム収益を獲得。新たな収益戦略を展開し、バランスシート強化に成功。
06:45
仮想通貨Aaveの投資信託、グレースケールが新たに立ち上げ
米資産運用会社グレースケールは3日、新たに仮想通貨AAVEを対象とした投資信託「グレースケール・アーベ・トラスト」を発表した。
06:22
グローバル金融機関、2025年にSWIFTでデジタル通貨取引を試行
国際銀行間通信協会SWIFTは、2025年から北米、欧州、アジアの銀行がデジタル資産および通貨取引の実証実験を開始すると発表した。この実験では、金融機関が既存のSWIFT接続を使用して、従来型および新興の資産・通貨タイプを相互に取引できることを実証する。
10/03 木曜日
18:30
AI銘柄として注目の仮想通貨ニアー(NEAR)の買い方 おすすめ取引所比較
AIとブロックチェーンの融合を目指すニアー(NEAR)の特徴と投資方法を解説。注目のAI銘柄を取り扱う暗号資産(仮想通貨)国内取引所を比較し、おすすめサービスをご紹介します。
14:45
SBI VCトレード、ニアー(NEAR)取扱い開始 ステーキング手数料無料キャンペーンも実施
SBI VCトレード株式会社は仮想通貨「ニアー(NEAR)ステーキング手数料無料キャンペーン」の実施を発表した。同社のステーキング対象銘柄数は13銘柄となる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア