ネイロ(Neiro)の概要
暗号資産(仮想通貨)ネイロ(NEIRO)が注目を集めています。
このミームコインは、人気の「ドージコイン(DOGE)」のモチーフとなった柴犬「かぼすちゃん」と同じ飼い主が育てている子犬「ねいろちゃん」にちなんで作られました。
かぼすちゃんは高齢のために惜しまれつつ亡くなり、ねいろちゃんは二代目の柴犬としても親しまれています。
NEIROが話題になっている主な理由は、トークンの乱立状態にあります。複数のプロジェクトが“次のドージコイン”の座を狙って独自にトークンを発行しており、イーサリアムやソラナのブロックチェーン上には20種類以上のNEIROが存在。投資家の間で混乱を呼んでいます。
さらに、グローバルな仮想通貨取引所市場がこの状況に拍車をかけています。特に大手取引所のバイナンスは、短期間のうちに2種類のNEIROを上場。トークン価格の急騰を引き起こしています。
- 9月6日:Binanceの永久先物取引に「Neiro On Ethereum」が上場。※現物取引は未上場
- 9月16日:Binanceの現物取引に「First Neiro on Ethereum(Neirocto)」が上場。※永久先物取引は未上場
Neiro on ETH
First Neiro on ETH(通称:Neirocto)
両トークンはほとんどのプラットフォームで同じティッカーシンボル「$NEIRO」を使用しているため、これもさらなる混乱の原因となっています。バイナンスでは、片方は先物市場のみ、片方は現物市場のみという、奇妙な状況になっています。
2つのネイロ(NEIRO)の特徴と価格動向
「オリジナルのNEIRO」の座を巡る争いは、執筆時点(2024年9月19日)では、「Neiro On Ethereum」と、「First Neiro on Ethereum(Neirocto)」が、ソーシャルメディアのフォロワー数でリードしている状況です。2つのトークンの背景について探ってみましょう。
Neiro On Ethereum
「Neiro On Ethereum」(@NeiroOnEthereum)は、2024年7月27日に発行され、わずか1週間で時価総額1.3億ドル(約200億円)に到達。総供給量は10億NEIRO。9月20日時点に、ミームコイン市場で29位、仮想通貨市場では現在385位。Etherscanによると、トークン保有ウォレット数は21922件です。
公式サイトによれば、「Neiro On Ethereum」は本質的な有用性を持たないミームコインです。売買税ゼロ、チーム・トークンなし、VCからの支援も受けていないこと。公平性を重視しているプロジェクトに見えます。
安全性と信頼性を確保するための措置として、スマートコントラクトの所有権が放棄(Renounced Ownership)されており、開発者がトークンの設定を変更する権限を持たない。トークンの管理や操作が不可能。プロジェクトの透明性とセキュリティを重視しています。
Neiro On Ethereumの主なエピソード
マーケットメイカーのWintermuteが「Neiro On Ethereum」の全体の約8%相当を保有(9月20日時点)していることがわかっています。マーケットメイカーは通常、流動性の確保や価格の急変動を抑える役割があるため、投資家はさらなる動きに注目しています。
Neiro On Ethereumの価格は、ライバルの「First Neiro on Ethereum(Neirocto)」が9月16日に現物取引の上場をしたことを受けて、40%下落。9月19日にはCoibase上場の噂がX上で広がり、前日比50%上昇するなど、乱高下しています。
First Neiro on Ethereum(Neirocto)
「First Neiro on Ethereum 」(@neiroethcto)も7月27日に発行されました。このプロジェクトは、公式サイトで社会貢献を重視する方針を掲げており、かつて「ねいろちゃん」が保護されていた施設に寄付を行ったこと、今後もさらなる慈善活動を展開していくと述べています。
9月16日にバイナンスの現物市場に上場した際には、2日間で0.0053円から0.12円まで約2000%高騰。9月20日時点に、時価総額は約500億円。ミームコイン市場で13位、仮想通貨市場全体では173位。総発行量は4200億NEIROなので、単価はさらに低いです。トークン保有ウォレット数は、13,817件です。
First Neiro on Ethereumの主なエピソード
First Neiro on Ethereumのプロジェクト設立当初、供給量4206億9000万トークンのうち、約4%に相当する171億NEIROがヴィタリック・ブテリン氏にエアドロップされました。
ブテリン氏はその後、トークンの一部を44ETH相当で売却し、その資金を動物保護団体に寄付。この動きは、2021年にシバイヌ(SHIB)の高騰時の出来事と似ており、ブテリン氏の売却が報告された後、First Neiro on Ethereum(Neirocto)は約400%の急騰を見せました。
関連:仮想通貨シバイヌ(SHIB)の買い方とおすすめ取引所|価格動向を解説
トロン(TRX)の創設者ジャスティン・サン氏も「First Neiro on Ethereum(Neirocto)」への支持を表明しており、彼の関与がプロジェクトの認知度に影響を与えています。
バイナンス上場経緯とNEIROの集中化問題
Neiro on Ethereumは「100%コミュニティによって所有・運営されている」と主張していますが、一部では少数の大口投資家に管理されているのではないかという懸念もあります。分析機関Bubblemapsの調査によると、Neiro on Ethereumの供給量の78%が特定のエンティティにより管理されているアドレスに集中していることが確認されています。
この集中化が、Neiro On Ethereumがバイナンスに上場する際、現物市場ではなく先物市場のみでリストされた理由と推測されています。
バイナンスの共同創設者であるYi Hi氏は、17日のブログにて「First Neiro on Ethereum(Neirocto)」の現物上場の経緯を説明し、「初期段階で審査されるプロジェクトは10以上あり、その多くがコンプライアンス審査やトークンの集中によって審査を通過できなかった」と述べています。
今年5月、柴犬「かぼすちゃん」が亡くなり、コミュニティや投資家の間で広がった喪失感を背景に、「NEIRO」は新たなアイコンとして注目を集めています。ドージコインやシバイヌに代表されるミーム文化の中で、強力なナラティブを持つ「NEIRO」ブランドは、コミュニティや投資家から大きな期待を集めています。
現在のところ、複数の「NEIRO」トークンとその支持者間での競争が続いており、どれが「真のNEIRO」であるかの決着はついていません。投機やFOMO(見逃しの恐怖)により急激な価格上昇が見られる一方で、詐欺や開発者による投げ売りのリスクも高まっています。投資家にとっては、慎重な判断が求められます。
関連:ドージコイン(DOGE)の将来性・価格、今後注目のイーロン・マスクによるX決済機能
関連:ミームコインとは?買い方・探し方 PEPEやWIF、BONKをDEXで購入する方法