メタマスク(MetaMask)は、イーサリアム(ETH)系の通貨やNFT(非代替性トークン)を一括で補完・管理できる暗号資産(仮想通貨)ウォレットです。
ただトークンを保管する従来のウォレットとは異なり、dApps(分散型アプリケーション)や、ブロックチェーンゲーム、DEX(分散型取引所)と連携できる汎用性の高さが大きな魅力。
本記事では、これからブロックチェーン関連サービスの利用を検討している方に向けて、メタマスクの基本スペックや利用メリット、具体的なセッティングの方法などについて詳しく解説していきます。
- 目次
1.世界で人気の仮想通貨ウォレット「メタマスク(MetaMask)」とは
メタマスクは2016年9月に公開された、ConsenSys(consensys.net)という会社によって開発・運営される仮想通貨ウォレットです。月間アクティブユーザー数は21年11月時点で2000万人を突破し、1年前の20年7月時点と比べて数十倍に増加するなど目覚ましく成長しています。
仮想通貨ウォレットとは、ブロックチェーン上に記録された仮想通貨データへのアクセス権限を証明する「秘密鍵」を保管するツールの総称。しかしメタマスクは一般的な仮想通貨ウォレットとは一味違い、ブロックチェーン関連サービスの利用にあたって便利な機能を豊富に搭載している点が特徴です。
シンプルで無駄のないインターフェースでサポートも豊富なため、これまで一般的な取引所しか利用したことの無いユーザーでも安心して利用できます。
アカウント登録は完全無料なため、イーサリアム系の通貨を取引する場合や、ブロックチェーン関連サービスを利用する場合は作成しておくと便利でしょう。
21年8月26日には初となるコミュニティコール(定期開催のオンライン会議)が実施され、その中でメタマスク独自のトークンをリリースする案も出ていることから、今後の動向にも注目が集まっています。
関連:イーサリアム系デジタルウォレットのメタマスク、開発者会議で独自通貨が議題に
2.メタマスクの機能と基本スペック
次に、メタマスクの具体的な機能について解説します。
メタマスクの基本スペック:
主な機能 |
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サポートするトークン | ETH、ERC-20トークン、ERC-721トークンなど |
トークン価格のソース | Coingecko |
手数料 | トランザクションの速度(低速・平均・高速)により変動 |
対応ブラウザ |
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アプリ |
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ブラウザ・アプリ間のアカウント同期 | 〇 |
セキュリティ | 秘密鍵はブラウザ上に保存され、ユーザーが完全に掌握 |
メタマスクの機能は多岐にわたります。イーサリアム・イーサリアムベースの仮想通貨やNFTの保管・管理・送受信だけでなく、イーサリアム系サービスにおける決済や売却代金の受領も可能。メタマスク内での仮想通貨の購入や、他トークンとの交換(スワップ)もできます。
特に便利なのは他サービスとの連携でしょう。dApps(分散型アプリケーション)やブロックチェーンゲーム、NFTマーケットプレイス、DEX(分散型取引所)等との連携に対応し、サービス内における決済等をメタマスクを通じて実行できます。
こういった分散型サービスでは運営側が各ユーザーのトークンを管理しないため、ユーザー個人で別途ウォレットの準備が必要。メタマスクを利用することで多数のブロックチェーンサービスで利用するトークンをまとめて管理できるため、よりスムーズなアクセスを実現します。
もちろん分散型取引所だけではなく、「コインチェック」「コインベース」など一般的な取引所と接続して通貨の送受信を行うことも可能です。
メタマスクで通貨を取引する際の手数料は、主に決済のスピードによって変化します。速度は「低速」「平均」「高速」の3つから選択でき、速度を上げると発生する手数料も増加する仕組みです。
注意すべきは、メタマスクはビットコイン(BTC)などイーサリアム系以外の仮想通貨とは互換性がない点でしょう。イーサリアム系以外の通貨を管理するには、別のウォレットの準備が必要です。
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3.メタマスクを利用するメリット
続けて、メタマスクを利用するメリットについてより詳しくご紹介します。
3-1 初心者でも使いやすいインターフェース
まず、メタマスクは仮想通貨初心者でも無理なく使える仕様が魅力です。洗練されたレイアウトで取引やトークンの保管をシンプルに行えます。完全ではありませんが日本語にも対応しており、英語に抵抗がある方でもスムーズに利用可能です。
カスタマーサポートも充実しており、2000万人以上が使用するためコミュニティも活発に活動しているため、不明点や問題が解決しやすい環境が整っていることも特徴。
パソコンやスマホさえあれば初期費用は一切発生せず、複雑な初期設定等も必要ありません。誰でも即座にイーサリアム系トークンの管理を始められます。
3-2 ガス代を自分で設定可能
特にイーサリアムのメインネットを使用する際にネックとなるのが、トークンの送信やスマートコントラクトの操作といったトランザクション処理に「ガス代」と呼ばれる手数料が発生することです。
イーサリアムのブロックチェーン上では1秒間に処理できるトランザクションの量が決まっており、その上限を超えた場合は手数料を多く払った順に処理されるシステム。そのためガス代の価格は常に変動していますが、イーサリアムのガスステーションを確認すれば見積もることができます。
メタマスクでは低速・平均・高速の中から処理スピードを選択できる仕組みを採用しているほか、ガス代の設定を自由に編集することで手数料の払い過ぎを事前に予防することが可能です。
ただ、一度支払ったたガス代の返金対応などは対応してもらえない点には注意しましょう。これはガス代がマイナー・バリデーターに支払われるもので、メタマスクの運営機関が受け取るわけではないためです。
3-3 複数ウォレットの仮想通貨をまとめて管理
さらにメタマスクは、1つのアカウント内に複数のメタマスクウォレットを作成・インポートし、一括で管理することができます。
それぞれのウォレットは固有のアドレス・秘密鍵を有しており、複数のアカウントを用途に合わせて作成できるほか、家族のウォレット1つのアカウントにまとめる、といった管理方法も可能です。
一般的なウォレットの中には、トークン別にアドレスを管理する関係で、ウォレットの切り替えに手間がかかるものもあります。この点メタマスクは利便性が高く、スムーズに複数アカウントを切り替えられるため、多数のアカウントを容易に一括管理できるのがメリットです。
3-4 取引所を利用せずトークンを交換可能
20年10月、メタマスクには、保有する通貨と任意の通貨をスワップできる機能を搭載したことを発表しています。メタマスクは「Uniswap」「Kyber」など複数DEXのアグリゲーターとして、取引に最適なレートで交換サービスを提供します。
この画期的な機能の追加により、ユーザーはあえて別の取引所へ通貨を送受信することなくトークンを交換でき、さらにスムーズな取引を実現できるようになりました。
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4.メタマスクと連携できる主なサービス・プラットフォーム
次に、メタマスクと連携・統合できるブロックチェーン関連サービスの中から、日本語に対応している例をご紹介します。
4-1. OpenSea(オープンシー)
メタマスクは仮想通貨だけでなくNFTの保管・送信・作成にも対応しており、NFTマーケットプレイスである「OpenSea」と連携が可能です。
OpenSeaは21年に世界中で一大ムーブメントを巻き起こし、仮想通貨全体の高騰まで起こした今後のコンテンツの在り方を変えてしまうとも言われていいる世界最大手のNFTマーケット。
メタマスクをOpenSeaと統合することで、NFTコンテンツの売買に使用する仮想通貨の管理はもちろん、購入したNFTデータを保管するためにも活用できます。
ちなみに、21年10月時点のメタマスクではNFTを使用する場合は拡張機能・アプリで少々仕様が異なります。拡張機能では、メタマスク内でNFTの管理状況を表示することはできず、OpenSeaなどのプラットフォームを通じなければ表示できない点に留意しましょう。
4-2 Crypto Spells
「Crypto Spells」は、Crypto Games株式会社が2019年6月に発表した日本発のNFTカードゲームです。国産なので自然な日本語に対応しており、ストレスなくプレイが楽しめます。
従来のデジタルカードゲームでは、どれだけ課金したとしてもサービスが終了すれば手元には何一つデータを残せませんでした。しかしNFTカードゲームであるCrypto Spellsではもしサービスが終了したとしても、レアカードなどのコレクションをNFTコンテンツとして残すことができます。
そのためゲーム内のカードは資産性を持ち、レアなカードはNFTマーケットで高値で取引されることも。カードの売買によって課金以上の費用を稼げれば、ゲームで遊びながら収入を得ることも可能です。
メタマスクをCrypto Spellsのようなブロックチェーンゲームと連携させることで、ゲーム内通貨やNFTアセットを一括で管理できるようになります。
ちなみにCrypto Spellsは、国内最大手の仮想通貨取引所コインチェックと提携しています。そのためコインチェックのNFTマーケット「Coincheck NFT」では同ゲームで使えるカードを売買可能です。
関連:コインチェックNFTβで取引を行うには?特徴や取り扱い商品の解説
5.メタマスクのセキュリティ強度
メタマスクがどれだけ便利でも、仮想通貨ウォレットに欠かせないのがセキュリティ強度。大切な資産を預ける以上は、一定以上の安全性が保たれていることが前提条件です。
そこで、メタマスクのセキュリティについても大まかに解説します。
5-1 メタマスクのセキュリティ概要
まず、メタマスクが各ユーザーのアカウント・ウォレットの資産を守るために提供しているセキュリティ対策の概要についてご紹介します。メタマスクのセキュリティに関して特に知っておくべきは、「秘密鍵」「シークレットリカバリーフレーズ」の2種類でしょう。
秘密鍵とはブロックチェーン上に記録されたアカウント情報へアクセスするために必要なデータ。シークレットリカバリーフレーズは、主にアカウントの復旧のために使用する12個の英単語で、秘密鍵を取得するために使用します。
そもそも、メタマスクのアカウント情報(行ったトランザクションの記録)は全てブロックチェーンに保存されています。シークレットリカバリーフレーズや秘密鍵は、その情報を解除するために使用する金庫のカギというイメージです。
この機能により、アプリ・拡張機能を間違えて削除したり、パソコンが故障した場合にもトランザクションの記録を復旧できます。
この2種類の情報のどちらかが他人の手に渡ってしまうと、その人はウォレット内の資産へ変更を加える完全なアクセス権を有することになり非常に危険です。万が一の漏洩に備え、シークレットリカバリーフレーズと秘密鍵は、オフラインで管理することを心がけましょう。
5-2 メタマスクの安全性
それでは、メタマスクのハッキングに対する安全性について考察しましょう。
まず、メタマスクは資産にアクセスする秘密鍵をユーザーのブラウザにローカルで保存します。そのため秘密鍵をサーバーで保管する一部のWEBウォレットと比べ、遠隔からのハッキングに対する安全性が高いと言えるでしょう。
加えて、メタマスクでは資産へアクセスする秘密鍵やウォレットに関するデータを運営側が保有せず、すべてユーザーが管理する必要があります。第三者のセキュリティ対策に一切依存しないため運営内部の不正などによる漏洩が起きえないという意味では、リスクが少ないシステムです。
ただ、全てのウォレットの中で最も安全性が高いとはいえません。なぜならメタマスクは常時にオンラインに接続しているため、オフライン環境で資産を管理できるハードウェアウォレットなどと比べるとハッキングのリスクに晒されやすいのが特徴。
実際、20年12月には、海外でメタマスクのアカウントがハッキングされ、8億円相当の仮想通貨が盗まれる事件が発生しました。
とはいえ、この事件はメタマスクのサービス自体がハッキングされたのではありません。トランザクション署名の際にハッカーがフィッシング用の偽ポップアップを表示させて署名させ、そこから保有者のPCに潜入したとされています。信頼性の低いサービスと接続さえしなければ、このハッキング事件は発生していなかったと考えられるでしょう。
このようにメタマスクは100%安全とは言い切れないものの、秘密鍵とリカバリーフレーズの管理を徹底し、信頼性の低いサービスを避ければかなりリスクを抑えることが可能。メタマスクに全ての資産を保管せず、dAppsを利用する為に必要な限度の資金のみを移動させておくことがおすすめです。そうすれば、メタマスクの利便性を存分に享受できるでしょう。
6.メタマスクのアカウント開設方法
メタマスクの利便性・セキュリティについて理解したところで、メタマスクのアカウント開設の方法を大まかに解説します。
パソコンの場合は拡張機能、スマホの場合はアプリをダウンロードしましょう。
初期設定は簡単です。まずダウンロードしたメタマスクを起動して「ウォレットの作成」をクリックし、プライバシーポリシーを確認後にパスワードを新規作成します。利用規約に同意し「作成」をクリックしてください。
その後アカウント復元に使用するシークレットリカバリーフレーズを取得し、フレーズを画面に再入力する確認作業を済ませれば基本的な登録は完了。これで、メタマスクを使いはじめられます。
初期設定後のデフォルト設定ではイーサリアムメインネットのみの対応となっておりますが、設定画面からネットワークを手動で追加することも可能。DeFiサービス使用にあたっての必要性に応じて追加しましょう。
7.メタマスクの利用におすすめの仮想通貨取引所3選
イーサリアム系トークンの管理が主要機能のメタマスク利用には、ETHなど仮想通貨の準備が必要です。
ただ仮想通貨の取引手数料は取引所によって幅があり、手数料の高い取引所から購入すると投資効率を下げる要因になるためおすすめできません。特に今後dAppsを頻繁に利用する場合は、ETHの取引手数料が安い取引所を開設しておくのが経済的でしょう。
7-1 コインチェック(Coincheck)
国内最大手の取引所であるコインチェックは、仮想通貨初心者に優しいシンプルなデザインと使い勝手の良さが評判で、500円相当額の少額からETHを購入できる始めやすさも特徴です。
18年には東証一部上場企業マネックスグループ傘下に入り、19年には仮想通貨交換業登録を済ませているため信頼性も十分と言えるでしょう。
ETH以外にも多くのアルトコインを積極的に上場しているため、メタマスクとの相性も抜群です。
関連:仮想通貨取引所コインチェックとは|投資家向け3つのおすすめポイント
7-2 ビットフライヤー(bitFlyer)
bitFlyerは、ビットコインの取引量は6年連続で国内一位 ※ を維持している国内最大級の仮想通貨取引所です。
※ Bitcoin 日本語情報サイト調べ。国内暗号資産交換業者における 2016年-2021 年の年間出来高(差金決済/先物取引を含む)
ビットフライヤーでは取引所・販売所でETHを購入可能。取引所での取引は0.01~0.15%の手数料で購入でき、ETHの最低取引金額は販売所では「0.00000001 ETH」、取引所では「0.01 ETH」です。
セキュリティ対策も充実しており、コールドウォレット・マルチシグネチャを併用した高度な保護が多くのトレーダーから信頼されています。初心者から上級者まで利用できる取引所なら、bitFlyerがおすすめです。
関連:仮想通貨(ビットコイン)取引所bitFlyerとは|投資家向け3つのおすすめポイント
7-3 DMMビットコイン
DMMビットコインもまた、ETHの取引に適した取引所でしょう。
販売所とBitMatch注文(取引所方式と販売所方式を合わせたような取引方法)でETHを購入できます。最低取引金額はそれぞれ「0.001 ETH」「0.1 ETH」に設定されています。
DMMビットコインでは、ETHを含めた12種類の仮想通貨で2倍のレバレッジ取引が可能。余裕資金でハイリスク・ハイリターンな投資運用を行うにも適しています。
顧客資産の95%をコールドウォレットで保管する万全のセキュリティ対策に加え、365日間いつでも日本語での問い合わせに対応してもらえる充実のカスタマーサポートも魅力。仮想通貨取引に不安が残る初心者でも安心の取引所と言えるでしょう。
8.メタマスクで仮想通貨を日常使いに
メタマスクはマルチチェーン・マルチバースへまとめてアクセスできる、一般的な仮想通貨ウォレットとは一線を画すサービスです。
イーサリアム系のトークンの保管・管理だけでなく、dApps・ブロックチェーンゲームにおける決済や通貨のスワップにも対応するなどインフラとしての利便性も備えています。
メタマスクの利用者が増えることで、仮想通貨がより日常的な存在として普及してゆくかもしれません。メタマスクの利用を始めて、仮想通貨のさらなる可能性に触れてみてはいかがでしょうか。
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