メタマスク、独自トークン発行も視野
最も普及しているイーサリアム系デジタルウォレットの「MetaMask(メタマスク)」は26日、初となるコミュニティコール(定期開催のオンライン会議)を実施し、独自の暗号資産(仮想通貨)をリリースする可能性やマルチチェーン展開など開発状況について協議した。
その中で、プロダクトチームから参加したエンジニアのErik Marks氏は、プロジェクト(メタマスク)をコミュニティ主導のものとするために仮想通貨の発行を行うというアイデアについて言及した。
一方でMarks氏は、独自トークンを発行した際の価格の乱高下については懸念を表明。仮にトークンを発行するとしても、そのユースケースを重視していきたいとしており、即座に検討されるものではないとされている。
また、コミュニティコールで出た独自トークンに関する質問に対し、メタマスク運用責任者のJacob Cantele氏は次のように回答した。
私たちはメタマスクをコミュニティに委ねるさまざまな方法について関心を持っている。単一の分散型アプリケーションに比べ、ウォレットでこれを実現することははるかに難しいが、検討を始めた。
独自トークンのリリース計画に加えて、メタマスクの開発チームは、アセットを様々なチェーンやレイヤー2ソリューション間でブリッジできるようにする新機能も開発しているという。
過去の事例からエアドロップに期待集まる
仮想通貨関連のプロジェクトが、サービスの開始後に分散化を目指して独自の仮想通貨を発行するケースは珍しくない。
大手分散型取引所(DEX)のUniswapは2020年9月、プロジェクトの投票等に参加できるガバナンストークン、UNIを初期の利用者にエアドロップ(無料配布)した。
Uniswapの事例は、話題性と共にトークン保有者を一挙に獲得した点でも評価されており、同様の手法は1inchを始めとしたDEXやDeFi(分散型金融)プロトコルにも取り入れられている。
そして、最も普及している仮想通貨ウォレットの一つであるメタマスクにおいても、ガバナンストークンを発行することが期待されてきた。
メタマスクはほとんどのイーサリアム基盤のDeFiアプリケーションにおいてデフォルトのウォレットとされており、月間アクティブユーザー(MAU)は今年4月の時点で500万人を突破している。