売却計画を承認、消費者保護措置も設定
米連邦破産裁判所の判事は24日、暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウス)の売却計画を承認した。裁判所命令は、売却プロセスにおける、顧客情報の保護や消費者プライバシー・オンブズマンの任命も定めている。
今後セルシウスが単独再建案を提出する可能性も残されているが、今回の命令書はプラットフォーム資産を売却する際の手順を定めるものとなる。
経営破綻したセルシウスは、利回り口座、仮想通貨残高、リテールおよび機関融資ポートフォリオ、スワップサービス、ステーキングプラットフォーム、決済機能、分散型金融部門などの事業に対する入札を募る予定だ。
マイニング事業を含むその他の資産についても入札を行う計画である。
命令書は、初回の入札期限を11月21日、最終の入札期限を12月12日に設定している。必要な場合には、12月15日にオークションも開かれる予定だ。落札者が決まった場合には、12月22日に売却命令の内容を議論するためのヒアリングが行われる。
セルシウスが9月にカストディ口座ユーザーによる資金引き出し許可や、自社保有ステーブルコインの売却許可を申請した際には、管財人事務所はセルシウスの正確な資産保有状況を先に調査する必要があるとして反対していた。
また、米司法省や各州の当局も、セルシウスの運営実態が不透明だとして、独立検査官による調査を要請していた。今回裁判所はこうした状況を考慮して、入札の最終期限を、独立調査官の最初の報告書が提出され、それを受けた裁判所の審理が行われた後の12月12日に設定した格好だ。
プライバシー保護に関するオンブズマンを任命へ
裁判所は、消費者プライバシー保護に関するオンブズマンの任命も指示した。米国破産法では、個人を特定できる情報が売却される場合に、一定の状況下でオンブズマン(外部の検証人)を任命することが義務付けられている。
今回セルシウスが売却する資産の一部には、顧客リストなどが含まれる可能性があるため、この措置が取られた。独立したオンブズマンが、売却プロセスにおいて顧客情報が適切に保護されていることを確認することになる。
個人情報については、セルシウスが5日に裁判所に提出した資料にユーザーの氏名と取引履歴が掲載されていたことで批判が集まっていた。
セルシウスは8月に、個人情報保護のために、ユーザーの名前と住所を編集するよう裁判所に申し立てていたものの、セルシウスの米国管財人が、透明性の確保を理由にこの要請に反対していた形だ。
ボイジャー資産の入札は完了
5月以降には、仮想通貨市場の債務不履行連鎖の影響で、複数企業が経営破綻した。その1つVoyager Digital(ボイジャー・デジタル)については、すでに資産売却の入札が行われ、仮想通貨取引所FTXが落札している。落札価格は約2,000億円だった。
ボイジャーの弁護士は、ユーザーが資産を取り戻す方法についても説明。ユーザーは、ボイジャーに預けていた資産をFTXの口座に移管することができる見込みだ。FTXへの移行を希望しないユーザーに対しては、ボイジャーが資産分配の責任を負い続けることになる。
ボイジャーも、セルシウスと同様に連邦破産法第11条の適用を申請していた。
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米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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一方、債務不履行連鎖の引き金となった旧テラエコシステムを提供していたTerraform LabsのDo Kwon CEOに対しては、「詐欺的な不正取引」を理由に国際指名手配の手続きが取られている。韓国の捜査当局が9月、国際刑事警察機構(インターポール)に申請した形だ。
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