アイルランドから欧州にサービス提供
大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは21日、アイルランドの中央銀行から仮想資産サービスプロバイダー(VASP)とし てのライセンスを取得したと発表した。
欧州(EU)加盟国であるアイルランドでの事業登録により、コインベースはアイルランドからEUなどの個人・機関投資家に商品とサービスを提供し続けることができるようになった。
アイルランド版コインベースは今後、同国のマネーロンダリング・テロ資金調達法の下で運営され、最高水準の法的遵守を行っていくとしている。
コインベースは2018年からアイルランドで事業を行っていたが、2021年よりライセンス制度が導入され、今回登録した形だ。企業は、マネロンやテロ資金調達防止のための適切な手順を備えているか、中央銀行から審査を受けることが義務付けられるようになった。
コインベースは、アイルランド、英国、ドイツの拠点を通じて、ヨーロッパの約40カ国の顧客にサービスを提供しているところだ。また、他の複数市場でも、ライセンス申請などを行っているところだと説明している。
コインベースとは
米国カリフォルニア州に本社を置く仮想通貨取引所。創業は2012年。世界最大手の民泊サービスのエンジニアを経験した人物と、大手証券会社の為替ディーラーを経験した人物が共同で事業を立ち上げ、短期間で仮想通貨業界のトップベンチャーとなった。2021年4月に米ナスダック市場に上場、同年8月に日本人向けのサービス提供を開始した。
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新ディレクターが就任
コインベースのアイルランド事業ディレクターには、Crypto.comやデロイト、Citiグループなどで責任者を務めた経歴のあるCormac Dinan氏が新たに就任した。同氏は、「仮想通貨の信頼性を強化しつつ、イノベーションを促進する環境を作ること」を進めていきたいと話している。
また、コインベースのNana Murugesan国際・事業開発担当責任者は、次のようにコメントした。
アイルランドは、その人材プールと産業に対する開放性だけでなく、EU加盟国であることから、欧州におけるコインベースの自然な拠点となっている。
MiCAに関する最近の政治的合意は、仮想通貨のために世界的に最も重要な規制枠組みの一つを提供する、非常に前向きな一歩だ。
MiCAの最終投票まもなく
MiCAは「Market in Crypto Assets」の略で、EUが2020年に発表した包括的な仮想通貨規制案である。ステーブルコインやその他のデジタル資産取引の規制に重点を置いており、ライセンス制度や消費者保護要件なども定めている。
欧州議会の広報担当者は、欧州議会と理事会が2023年2月に、MiCAの最終投票を行う可能性が高いとしているところだ。
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なお、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は11月、FTX破綻を受けて、将来的には、現在MiCAで規定されているよりも、さらに規制を拡大する必要性があると訴えている。
ラガルド総裁は、「伝統的な金融機関との相互接続リスク」「ステーキングとレンディング」「仲介者が存在しないDeFi(分散型金融)」などについても、監督下に置くべきとした形だ。
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DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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