カザフスタンのデジタル通貨プロジェクト
最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスとカザフスタン中央銀行は3日、仮想通貨とDeFi(分散型金融)についての共同レポートを発表。カザフスタンによる中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、実証実験の段階にあると報告した。
バイナンスは、カザフスタンがCBDCの統合をテストするために独自ブロックチェーンであるBNBチェーンの環境を提供することで同国を支援していく。
カザフスタンは、2020年にデジタル金融インフラ構築のための、戦略的ロードマップを策定。この中には、法定通貨テンゲのデジタル版に当たる「デジタルテンゲ」の計画も含まれていた。
レポートによると、デジタルテンゲは、すでにコントロールされた環境を用意し、実際の消費者や加盟店が参加するパイロットテストを行う段階にある。現在、バイナンスBNBチェーンのチームとカザフスタン中銀は、従来の銀行システムと仮想通貨エコシステムを近付けるため、CBDCをパブリックな分散型ブロックチェーンに統合することをテストしているところだ。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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DeFiと従来型金融の連携を唱える
レポートは、次のようにCBDCとDeFiの共通点についても指摘した。
DeFiのエコシステムは成熟しつつあるところで、CBDCとは共通した利点があり、これはさらに強まると考えられる。一見すると、DeFiと中央銀行は違う目的を持つように見えるが、両者は共通した目的を持つ部分がある。
金融包摂、取引コストの削減、エンドユーザーのプライバシー保護、さらには金融安定性が、DeFiにとっても重要性を増しているところだ。
また、伝統的な金融とDeFiは、より包括的で費用対効果が高く、便利で高速なサービスを消費者に提供するために、共存・連携していく必要があるとも唱えている。
カザフスタン中銀の決済・金融技術開発センター長を務めるBinur Zhalenov氏は、次のようにコメントした。
私たちは、ブロックチェーン技術と、その新市場についてカザフスタンに可能性があることを信じている。現在、伝統金融とDeFi、また規制当局の動きや市場の相乗効果から多くの新たな機会が誕生しているのを目撃しているところだ。
仮想通貨やデジタル資産全般の革新的な可能性を発揮させるような、健全でバランスの取れた規制環境の構築を目指している。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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複数省庁と覚書締結
バイナンスは中央銀行の他、カザフスタンの複数省庁とも覚書を締結している。
金融監督庁との間では2022年10月に覚書を調印。仮想通貨の流通や、不正金融の分野での協力を実施する。一例としてはマネロン・テロ資金調達を目的とした資産の特定や、その凍結などでも連携していく。
デジタル開発・革新・航空宇宙産業省に対しても、銀行セクターのインフラを仮想通貨市場に統合する機会を探り、分散型台帳技術を促進していくために協力しているところだ。