DAOは法律回避の理由にならない
米連邦地方裁判所は8日、Ooki DAO(分散型自律組織)に対し、無登録で先物取引業者(FCM)として違法に商品取引を提供していたとする米商品先物取引委員会(CFTC)の訴えを認め、約9000万円(643,542ドル)の罰金支払いに加え、永久的な事業停止とウェブサイトの閉鎖を命じた。
地裁は、Ooki DAOがCFTCの執行措置に全く応じなかったことから、CFTCを支持する懈怠判決を下した形だ。
この判例は、Ooki DAOが商品取引法上の「人」であり、それゆえに同法違反の責任を負うと裁判所が判断したものであり、分散型金融と法の関係性において、決定的な先例となる判決となった。
CFTCのイアン・マッギンレー執行部長は、判決について以下のようにコメントしている。
この決定は、DAOの構造を採用することで法律を回避できると考えるすべての者、法執行からの隔絶を意図し、最終的に一般市民を危険にさらす者に警鐘を鳴らすものとなる。
DAOとは
自律的に機能する分散型組織を指す。「Decentralized Autonomous Organization」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。
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訴訟の経緯
CFTCは昨年9月、暗号資産(仮想通貨)のレバレッジ取引を提供していた分散型取引所「bZeroX」およびその創設者、そしてbZeroXの事業を引き継いだOoki DAOを、FCMとしてライセンス登録することなく、仮想通貨の商品取引を違法に提供したとして、提訴した。
さらに、本来登録事業者に求められる、顧客の身元確認プログラムの導入を怠り、銀行秘密法に遵守していなかったとして、bZeroXとその創設者2人に対して約3,500万円(25万ドル)の罰金を要求した。なお、この件では提訴の時点で和解契約が結ばれている。
しかし、CFTCは、2021年に分散化の一環としてbZeroXの所有権が移管されたOoki DAOにbZeroXの事業停止を求め、DAOとそのガバナンストークン保有者にも規制違反の責任を追及する形となった。
業界からは、CFTCが事前にガイドラインを提供していない状態で「法的執行」を行なったとの批判の声が上がると共に、a16zを筆頭とする主要仮想通貨関連企業が、DAOではなく、そのメンバーに対し直接訴訟を提起するべきだと主張する法廷助言書を提出した。
その結果、地方裁判所は、CFTCに対し、トークン保有者であるOoki DAOの創設者二人に訴状を送達するように命じたが、Ooki DAOは訴訟に回答または弁明することなく執行措置の期限を迎えた。
Ooki DAOが、期日までに正式に回答することも認めることもしなかったことから、CFTCは連邦地裁に商品取引法違反の裁定を求めたが、その時点では判事はこの要求を却下していた。