ホワイトペーパーの一部明らかに
米国のドナルド・トランプ前大統領らが関わる暗号資産(仮想通貨)プロジェクト、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」について、現在検討されているホワイトペーパーの一部が明らかになった。コインデスクが報じた。
このプロジェクトは、分散型の貸借を仲介するプラットフォームである。現在のところ、分散型金融(DeFi)プラットフォームのAaveと、イーサリアムのブロックチェーン上に構築され、「クレジット(信用)アカウントシステム」が中心要素となる計画だ。
関係筋によると、独自の仮想通貨「WLFI」も、このプロジェクトでガバナンストークンとして使われるという。譲渡制限があるために、このトークンの投機目的での取引は難しくなる可能性がある。
ホワイトペーパーによると、プラットフォームのユーザーは新しいDeFiレンディング市場の開設や新しいブロックチェーンの統合を提案・投票することができる。
また、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」に、トランプ前大統領の息子三人、ドナルド・トランプ・ジュニア氏、エリック・トランプ氏、バロン・トランプ氏が関わっていることもホワイトペーパーに記載されていた。
ホワイトペーパーは現在まだ検討されている段階であり、以上のような詳細は今後変更される可能性もある。
トランプ前大統領は8月、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」にタグ付けした予告動画をXに投稿した。
関連:トランプ前大統領、仮想通貨DeFiプロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」をまもなく発表か
米大統領選では、仮想通貨支持のケネディ氏も、トランプ氏の支持に回ると公式表明したところだ。
関連:ビットコイン派のケネディJr氏、激戦州から撤退 米大統領選でトランプ候補を支持
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
▶️仮想通貨用語集
「Dough Finance」と類似か
ホワイトペーパーによると、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」には、分散型金融プロトコル「Dough Finance」の開発者ら2人も、オペレーション責任者および、データ・戦略責任者として参加する。
Dough Financeは、仮想通貨の取引やレンディングを可能にするプラットフォームだ。
コインデスクによると、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」のコードは、Dough Financeと類似している。Dough Financeは7月12日にフラッシュローン攻撃を受け、180万ドル(2.6億円)相当が不正流出した。
フラッシュローンとは、DeFi特有の機能で、担保資産なしで対象資産のトークンを借り入れ、同一のオンチェーントランザクション内で債務返済を行うものだ。コードに脆弱性がある場合、価格操作や担保引き出しなどに悪用されるケースがある。
Web3セキュリティ企業Olympixは、Dough Financeのスマートコントラクトが、フラッシュローンのコール中に受信データを適切にチェックできなかったため、攻撃者がそれを利用して資金を盗んだと分析した。
「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」がDough Financeのコードを参照するにあたって、こうした脆弱性が修正されているかどうかは不明だ。
関連:アバランチDeFiでフラッシュローン攻撃、Nereus Financeに7,200万円の損失