ブラックマンデーの衝撃
8月5日(月)、ビットコインは24時間で約15%急落、53,000ドルを割り込む事態となり、いわゆるブラックマンデーを迎えた。同時に、イーサリアムは約30%、リップルは約15%下落するなど、アルトコイン 一覧にある代表的な銘柄も総崩れし、資産の半分以上を失った投資家もいるほどであった。
この急落の背景には、日本銀行の利上げに加え、アメリカの雇用統計の悪化、主要テクノロジー企業の業績鈍化、中東における地政学的リスクの高まりなど、複合的な要因がある。しかし、暗号資産市場の過去のトレンドパターンを分析すると、このような急激な下落後には回復パターンが存在することも事実だ。
過去のトレンドパターン
過去の暴落時の動きを見てみよう。たとえば2022年のテラショック時には、年初に約47,000ドル台であったビットコイン価格が、同年5月に入ると徐々に下落。6月にはついに20,000ドルを割り込み、年初と比較し55%以上の暴落を経験した。その後、8月には25,000ドル台まで回復の兆しを見せたが、同年11月には暗号資産取引所FTXの破綻により、さらに14%以上の下落を記録したのである。
しかし、米国のインフレ率の鈍化による金融引き締め政策や、マイクロストラテジーによる積極的なビットコイン購入による影響が市場に波及、2023年内には、ビットコイン価格は40,000ドル台に回復した。
さらに遡ると、2020年3月のコロナウイルスの蔓延時には、投資家が資産を現金化する動きを見せ、ビットコインは一時50%以上価格を落とした。しかし、同月に半減期が完了したことを契機に、元の水準に向けて反発。4ヶ月後の7月には10,000ドル台を回復し、年初値を超える水準に達した。
これらの過去のパターンから判断すると、大きな下落後の回復には通常3ヶ月から6ヶ月以上かかることが分かるだろう。また、回復の初期段階では、ビットコインが他のアルトコインよりも早く反発する傾向がある。
今後のシナリオ
過去の事例に基づくと緩やかな回復シナリオが予測されるが、このような大きな下落後には、機関投資家の参入が活発化する傾向があることに注目だ。事実、今回のブラックマンデー以降の出来事として、東京証券取引所スタンダード市場に上場しているメタプラネットが10億円相当のビットコインの購入を完了。日本国内においてはビットコインへの信頼度がますます高まっていると言えるだろう。
ただし、今回発生したブラックマンデー後の回復ペースを左右する最大の要素は、マクロ経済環境の変化、特にFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策となると投資家たちは見ている。FRBのパウエル議長は8月23日(金)、ジャクソンホール会議にて9月の利下げ開始を示唆したが、ビットコイン価格はこれに即座に反応。利下げを期待する形で、約5.54%の上昇を見せていた。
一方で、11月に迎える米国大統領選挙の行方、またはイランおよびイスラエル間の中東情勢の緊迫化など、過去のパターンでは見られなかった要素がボラティリティを高める可能性も無視できない。したがって、投資家は過去のパターンを参考にしつつ、新たなパターンが形成されるケースも視野に入れる必要がある。
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