ナスダック100指数追加の影響
米マイクロストラテジーが、米株式市場の主要株価指数であるナスダック100(NASDAQ-100) に加わったことで、専門家は、今後も同社がビットコイン(BTC)購入を継続できる可能性が高まったと分析している。
ナスダック100は、エヌビディアやアップル、アマゾンを含む非金融セクターの最大手100社で構成される重要な株価指数で、1985年1月に創設されて以来、約40年にわたり金融市場の重要な指標となっている。この指数は、オプション、先物、ファンドなどの金融商品のベンチマークとして機能している。
ブルームバーグのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、マイクロストラテジー株(MSTR)がナスダック100に組み入れられることは、インデックスETFによって約21億ドル(約3,300億円)分の株式が購入されることに相当すると指摘。世界最大の上場投資信託(ETF)であるインベスコのQQQなどのETFによって、大量の株式購入が見込まれることに言及した。
なお、この数字には他のパッシブなインデックスベースの戦略は含まれないことから、MSTRへの資本流入はさらに大きくなる可能性があると、同氏は付け加えた。
米投資銀行バーンスタインのアナリスト、ガウタム・チュガニ氏は、ナスダック100への組み入れにより、MSTRの市場流動性がさらに高まり、資本調達能力とビットコイン購入プログラムのサポート能力が強化されると見ている。
チュガニ氏は、現在の18%のレバレッジレベル(ビットコイン純資産価値に対する転換社債)において、同社はさらなる債務発行や株式の追加発行の余地があると分析。ビットコイン価格が10万ドル前後で推移する限り、現在の投資軌道を維持できると予測している。
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積極的なビットコイン投資
マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長は、同社を「ビットコインの財務運用企業」と位置付け、積極的なビットコイン投資戦略を展開してきた。
同社は2020年以降、45回にわたってビットコインを購入してきたが、11月に仮想通貨の推進政策を打ち出しているドナルド・トランプ大統領の勝利が決まると、その勢いは加速した。
10月に追加のビットコイン購入に向けて今後3年間で420億ドルを調達する計画を発表後、11月11日からは、7週連続でビットコインを購入。この時点からの購入量は、全購入量の40%以上を占める。
セイラー氏は、「ビットコインに対する私の姿勢は四半期ごとに良くなっていく。今や、仮想通貨に対する戦いに終止符を打つ大統領が誕生した。」とコメントしている。
同社は現在、444,262 BTCを保有しているが、これはビットコインの発行上限である2,100万BTCの2%を上回っており、企業としての保有量は、ブラックロックのビットコイン現物ETFであるiShares Bitcoin Trust(IBIT)に次いで2番目に大きい。
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投資戦略と株価
巧みなビットコイン投資戦略とその戦略に対する投資家の期待により、米マイクロストラテジーの株価は、2024年初頭から400%以上上昇している。
マイクロストラテジーの成功は、同社株に対する大きなプレミアムに支えられており、現在、同社の株価は、保有するビットコインの純資産価値の約2倍で取引されている。
この状況を活用して同社はプレミアム価格で株式を発行し、さらにビットコインを購入することが可能になる。既存の株主による保有株式の割合は減少するが、同社が1株あたりに保有するビットコインが増えるため、株式の基礎的な価値は上昇する。
しかし、同社の株価は調整に向かっているという意見もある。
仮想通貨金融サービス企業、ギャラクシー・デジタルのマイク・ノボグラッツCEOは、レバレッジのためマイクロストラテジーなどのビットコイン関連株は、仮想通貨自体よりも急激な調整が予想されると語った。
財務リスクと破綻の可能性
マイクロストラテジー社の戦略はこれまで成功を収めてきたが、事業が負債ベースであるため、常に財務リスクが伴う。
Coinmetricsは、債券発行に基づく同社の総負債額を72 億ドル(約1兆1,300億円)と推定しているが、専門家は負債額について重要な問題とは捉えていないようだ。
その背景には、同社が保有するビットコインの評価額が約7兆円に達するという強固な財務基盤がある。
オンチェーン分析プラットフォームCryptoQuantのCEOであるKi氏は、「マイクロストラテジーが破綻するのは小惑星が地球に衝突するときくらいだ」と主張。同氏は同社が破綻へ追い込まれると想定されるビットコイン価格は約1万6,500ドル(約259万円)程度と試算しており、これほどの崩壊シナリオはビットコイン史上、前例がないことを強調した。
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