
ここ数年の間に、資産形成・資産運用についての認識が日本でも大きく変わってきています。欧米諸国と比べても、異様なほど貯蓄や預金を好む傾向にあると言われてきた日本人ですが、その意識にも変化が起きているのです。
そうした資産運用法として注目されているのが『投資』です。株式や投資信託をはじめ、HFMに代表されるような海外業者を介したFXでの投資など、資産運用を目的にした投資活動の必要性が叫ばれているのか、ここではその理由について見ていきたいと思います。
なぜ今、資産運用について考える必要があるのか
「資産運用」という言葉を聞くと、お金持ちだけの話と考えられがちですが、近年は金融リテラシーの高まりやNISA(少額投資非課税制度)などの制度拡充により、幅広い年齢層の人が株式や投資信託といった預貯金以外の金融商品で資産を運用するようになってきました。
先述したように、これまで貯蓄一辺倒だったと言ってもいい日本人に、どうしてこうした変化が訪れたのでしょうか。
その原因の一つとして挙げられているのが、長く続く低金利の状態です。1990年代前半までの日本では、金利は現在よりも高い水準で推移していました。
例えば1990年12月末の金利は、年6.08%となっていましたが、1990年代後半以降は低水準で推移しており、2024年3月末には年0.005%にまで下がりました。
他にも原因として、インフレがあります。最近は特に、新聞やニュースなどでインフレという言葉が聞かれるようになってきていますが、インフレとは、継続してモノ・サービスの価格が上がることを指しています。
あなたの周りでも、今までオヤツに買っていたお菓子が値上がりしただけでなくサイズも前より小さくなってしまった!なんてことが起こってきているのではないでしょうか。
インフレになると、同じお金で買えるモノの量が減ります。これはつまり、実質的にお金の価値が下がるということでもあるのです。
そこで、現預金で保有している資産の一部をインフレに強いとされる資産に置き換えることで、インフレから資産を守ることが期待できます。では、どのような資産がインフレに強いとされているかご存知ですか?
一般的に株式は、インフレに強い資産の1つといわれます。株価は企業業績に連動して動く傾向がありますが、インフレ下でモノ・サービスの価格が上昇すれば、企業の売上が上がりやすくなり、収益の上昇が期待できます。その結果、株価が上昇する可能性が高まるのです。
また、「人生100年時代」と言われるほど、人々の寿命が伸びてきているのも、資産運用について考える必要性がある理由のひとつでもあります。健やかに充実した人生を長く続けるには、貯蓄を切り崩すだけでなく、そこからさらに資産を生み出していく必要があるのです。
こうした状況のなかで、投資が資産運用のひとつとして注目されているのです。
投資とは
将来に向けての資産運用の方法には、大きく分けて「預金」と「投資」の2つの種類があります。
預金とは、銀行や信用金庫などの金融機関にお金を預けることを指します。これに対し投資とは株式や投資信託の購入のように、利益を期待してお金を出すことです。
そして、この投資によって得られる収益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。
インカムゲイン
インカムゲインとは、資産の保有中に得られる収益を指します。インカムゲインに該当する投資の収益としては、株式の配当金、債券の利子、投資信託の収益分配金、不動産投資の家賃収入などがあります。
キャピタルゲイン
インカムゲインに対し、保有する資産の売却によって得られる売買差益(譲渡益)をキャピタルゲインといいます。株式や土地が、あなたが買ったときよりも値上がりした場合、売却価格と購入価格との差額がキャピタルゲインになります。
たとえば、100万円で購入した株式を110万円で売却したとしましょう。その場合、10万円がキャピタルゲインとなるわけです(ただし、手数料や税金を考慮しません)。
キャピタルゲインと逆に、売却価格が購入価格を下回る場合には、キャピタルロスという損失が発生します。
投資成功のカギは金融商品選び
多くの人は、リスクを抑えつつもできるだけ大きく安定したリターンを得たいと考えます。投資において、その目標に近づくカギは、金融商品の配分や購入方法にあります。
すべての資産を一度にひとつの金融商品に集中させると、予想とは違う動きをしたときに損失が大きくなります。しかし、値動きの異なる金融商品を複数組み合わせ、購入するタイミングも分散させれば、リスクを抑えることができます。
そのためにも、まずは、安全性や目的で資産を振り分け、さらに国や地域、通貨、運用手法などで分けるとよいでしょう。
そもそもの話になりますが、投資をはじめる際には、まず自分の投資目標を明確にすることが不可欠です。短期的に資産を増やしたいのか、それとも長期的な資産形成を目指すのかによって、適した投資方法は異なってきます。
例えば、あなたが短期的にリターンを得たいのであれば、株式投資やETF、FXのような流動性の高い投資が向いています。一方で、長期的な資産運用を考えているのであれば、債券や個人向け国債など、安定したリターンを期待できる投資が適しています。
また、老後の資金を確保するのが目的であるのなら、リスクを抑えた運用が重要になってきます。
リスクとリターンのバランスを考える
投資を行う際には、自分のリスク許容度に合わせて、リスクとリターンのバランスを考えることも重要です。
例えば、外貨の売買によって差益を得るFXでは、証拠金(保証金)を預け入れることで、その何倍もの金額で取引できる「レバレッジ」という仕組みが利用できます。つまり、資金が限られている場合でも大きな取引ができることから、資産を大幅に増やせる可能性があるのですが、その一方で、証拠金以上の損失を被るリスクもあります。
このように、一般的にはリスクが高い投資ほど高いリターンが期待できるわけですが、その分、損失が発生するリスクも大きくなります。逆に、リスクが低い投資は安定したリターンが得られるものの、大きな利益を得ることは難しくなります。
リスクを抑えるために有効な方法の一つとして、分散投資という方法もあります。複数の資産に投資することで、特定の資産の価値が下がっても、他の資産でその損失を補える可能性があるからです。
例えば、株式と債券、ETFやREITなど、異なるリスク特性を持つ資産に分散することで、全体のリスクを低減することができます。
自分が望むものは何なのか、今ある資産をどれぐらい増やしていきたいのか、目的を明確にすることで、自ずとあなたに合った投資商品や投資スタイルが見えてくるでしょう。
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