
日本、台湾、韓国など6か国に投資
リップル社は10日、アジア太平洋地域(APAC)における大学ブロックチェーン研究イニシアチブ(UBRI)に、500万ドル(約7億円)以上の追加資金を投入すると発表した。
これには韓国、日本、シンガポールの大学とのパートナーシップ更新、台湾とオーストラリアへの新たな助成金など6か国に及ぶ投資となっている。
リップル社は、次世代のブロックチェーン人材の育成と世界クラスの学術研究支援に対する何年にもわたる支援の一環だと述べた。
同社の戦略イニシアチブ担当責任者、エリック・ヴァン・ミルテンバーグ氏は次のようにコメントしている。
アジア太平洋地域は長年にわたりフィンテックとブロックチェーンのイノベーションの中心地であり、リップル社は設立当初からこの地域の優秀な学術人材に投資してきた。
UBRI設立から7年経ち、世界で60校の大学と提携することで、これらの教育研究機関との長期にわたる信頼関係に基づく協働の成果を目の当たりにしてきた。
RWAやAIなど多様な分野で研究
日本については、京都大学とのパートナーシップを更新した。同大学は2019年に、XRP台帳のノード運用を開始している。
UBRIは、台湾の国立高雄科技大学(NKUST)と新たに提携。NKUSTは、急速に成長している現実資産(RWA)トークン化の分野を探求する。
様々なブロックチェーンネットワークを横断してRWAトークンを発行する際の技術的・政策的影響を検証し、XRP台帳のクロスチェーン機能と、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)ブロックチェーンとの連携、機関投資家による導入を促進するオン/オフランププロバイダーの役割などを研究する計画だ。
リップル社は昨年10月、銀行やフィンテック企業向けの暗号資産(仮想通貨)カストディサービス「Ripple Custody」の機能を拡充し、幅広い資産のトークン化と管理を可能にしている。
関連:リップルがRipple Custodyを拡充 RWAトークン化機能導入
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。
リップル社は、シンガポールでは南洋理工大学とシンガポール国立大学へ助成金を提供。これまでに300万ドル(約4億円)を超える研究資金を出資している。
南洋理工大学は、XRP台帳上で自律型AI(人工知能)エージェントネットワークを開発し、ブロックチェーン技術を活用した透明性、モジュール性、アクセス性を備え、共同作業もできるようなAIプラットフォームの構築を目指す。
また、韓国の高麗大学では、ブロックチェーン・シャーディングの効率向上や、ゼロ知識証明などに基づくNFT(非代替性トークン)のプライバシーなど、様々な分野に焦点を当ててリサーチを行う。
さらに、リップル社はオーストラリアでオーストラリア国立大学との提携を更新し、ビクトリア大学と新たに提携を結んだ。これにより、オーストラリアの大学へのこれまでの投資総額は130万ドル(約2億円)に達している。
関連:米金融大手グッゲンハイム、XRPレジャーでデジタル債券発行=報道