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ビットコイン苦戦の理由は「投資家の確信欠如」=Glassnode分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

上昇を阻む継続的な売り圧

オンチェーン分析企業Glassnodeは29日に発表した最新の週次レポートで、ビットコイン(BTC)市場は現在、調整と再評価の段階にあると指摘した。

ビットコインは先週末、10万7,000ドル〜11万8,000ドルの供給帯(売り圧が発生しやすい価格帯)から反発したものの、長期保有者からの売り圧が強く、価格の上昇は限定的だった。ビットコインは、一時的に短期保有者の平均取得価格(11万3,100ドル)まで回復したが、この水準を維持できておらず、市場の買い需要が弱まっていることを示唆している。

この状態が続いた場合、次の重要サポートラインは、8万8,000ドル(アクティブ投資家の平均取得価格)付近となる。

短期保有者の含み損益は-0.05まで下落し、わずかに損を抱えている状態となっている。ビットコインが10万7,000ドル〜11万7,000ドル(主要な買い手の購入価格帯)で取引されている限り、市場は売りと買いがほぼ拮抗する状態であり、「完全な投げ売り」には至っていないとレポートは分析。しかし、時間が経過するにつれ投資家の買い意欲は徐々に弱まり、強気派には不利に働くだろうとまとめた。

Glassnode

長期保有者の状況を見てみると、その純保有残高は1ヶ月あたり10万4,000BTC減少しており、7月中旬以来最大の「売りの波」を示している。このような長期保有者による継続的な売りが市場構造に重くのしかかっている。

さらに長期保有者が取引所に送金するビットコインの量(30日平均)は、1日あたり2億9,300万ドルに急増しており、2024年11月以降の基準値(1億ドルから1億2,500万ドル)の約2倍以上に当たる。これは、長期保有者による活発な売却・利確活動を示しており、売り圧が継続的に高まっていることを表している。

レポートは、現在のこのパターンは、長期保有者が大量にビットコインを売り、価格の勢いが鈍化した2024年8月の状況と非常に似ていると指摘。売りの流れが収まらない限り、買い需要だけでは吸収できず、今後数週間、市場はさらに冷え込むリスクがあると警告した。

関連:ビットコインは短期保有者が含み損ゾーンに、12月の利下げ期待後退で調整続く

オプション市場の状況

オプション市場をみると、10月10日の急落後に高まっていたボラティリティは徐々に落ち着きつつある。

ビットコインの30日実現ボラティリティは42.6%まで低下し、価格変動の落ち着きを反映。一方、トレーダーの期待を表すインプライド・ボラティリティ(IV)は、下落リスクヘッジの解消や保護需要の減少により、より大きく低下した。

短期満期のオプションでは、調整が最も大きくなった。1〜6か月満期のオプションはほぼ横ばいだったが、1週間の短期オプションの(IV)は約10%低下して40%前後となった。このような状況は、トレーダーが短期的に大きな価格変動の可能性は低いと予想していることを示しているとレポートは指摘。また、今後数ヶ月で、予想されるボラティリティは、約45%に向けて緩やかに上昇していくことを示唆しているとまとめた。

また、プットオプションとコールオプションの相対コストを測る指標である25デルタ・スキューにも顕著な変化が見られた。

10月の暴落後、1週間満期のスキューは20%以上に急上昇し、下落リスクヘッジの需要が極端に高まっていたが、その後、スキューは中立水準にまで低下し、勢いは遥かに弱まった。1ヶ月物や3ヶ月物といった長期満期も同様に急激に低下しており、トレーダーが下落ヘッジを大幅に解消したことを示している。

トレーダーによるプットオプションの購入状況から、下落リスクヘッジへの需要を読み解くと、トレーダーにとって現在の水準(11万ドル付近)での価格の揉み合いは想定内だが、10万5,000ドル以下までの大幅な下落は想定していないと見られる。

現在のポジションは、「安値更新へのパニック」ではなく、「やや強気/両方向的」に近づいており、最近のビットコイン価格の安定化とも整合していると、レポートは指摘。「構造的に見て、仮想通貨オプション市場は危機モードから再建モードへと移行しているように見え、安定性の改善が示唆される。」とまとめている。

FRBの政策決定の影響

レポートは最後に、市場を大きく動かす大きな材料として、米連邦準備制度理事会(FRB)の会合に言及。利下げはほぼ市場に織り込まれているため、ハト派的な結果であれば、ボラティリティは低く抑えられ、スキューも安定したままになる可能性が高いと見ている。(このレポートの見解はFOMCの前に公開されたもの)

一方、FRBが小幅な利下げにとどめるか、タカ派的な姿勢を示した場合、短期のIVは再び上昇し、投資家が下落リスクに備えてプットを買い戻すため、25デルタスキューが拡大する可能性がある。

要するに、現在の市場の落ち着きは条件付きの安定であり、今のところは落ち着いているが、FRBの動きが予想と異なれば脆弱になり得る。

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