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申告分離課税の対象銘柄は「限定的になる可能性」 税理士・国会議員が語る制度の課題とステーブルコイン課税の論点|BCCC Collaborative Day

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2026年4月21日に開催された「第9回 BCCC Collaborative Day」では、「暗号資産・ステーブルコイン税制について」をテーマに、BCCCのDeFi部会長・荒澤文寛氏、衆議院議員の井林たつのり氏、税理士の八木橋泰仁氏・村上裕一氏が対談を行った。3月31日に法案が通過した仮想通貨(暗号資産)の申告分離課税導入に向け、その現状と課題が率直に語られた。

分離課税の概要と「特定暗号資産」の壁

今回の税制改正により、「特定暗号資産」の国内取引については申告分離課税が導入される可能性がある。現行の総合課税では、1億円の利益に対して約5,000万円の税負担が生じるケースもあるが、分離課税(税率20.315%固定)になれば約2,000万円に圧縮される。

ただし、八木橋氏は「分離課税になるということで世間では喜んでいるが、本当にそれでいいのか、という話はあまりされていない」と指摘した。最大の論点は、対象となる「特定暗号資産」の定義がいまだ確定していない点だ。

八木橋氏によると、少なくとも「国内取引所(JVCEAが認定した銘柄)であること」が第一の条件となる見込み。その上で、十分な市場性があるかどうかが線引きの基準になり得るとし、「国策として優遇すべき仮想通貨は何か、という観点から銘柄は限定的になるのではないか」と述べた。

また、ビットコインが特定暗号資産に指定された場合でも、海外取引所やウォレットに保管しているビットコインは「国内取引」に該当しないため総合課税のままとなり得る。「同じビットコインでも、国内取引所に置いてあるものと海外ウォレットにあるものは別物という扱いになる」(八木橋氏)と、実務上の複雑化を警告した。

関連:仮想通貨の申告分離課税が実現したら?押さえておきたい税務のポイント

取得時期を問わず分離課税が適用されるか「現時点では決まっていない」

(写真左から)荒澤文寛氏、井林たつのり氏、八木橋泰仁氏、村上裕一氏

会場から特に注目を集めたのが「長期保有分の含み益は、分離課税の対象になるのか」という質問だ。2028年の制度施行を見越して利確を待っている投資家も多い中、村上氏は「おそらく対象になるとは思うが、まだ確定事項ではない」と慎重な姿勢を示した。

八木橋氏はより踏み込んで、「分離課税になると決めてかからないよう、お客様には伝えている」と述べた。過去に株式で総合課税から申告分離課税へ移行した際には、特定口座への移管のタイミングで「みなし譲渡」が適用されたケースがあることを挙げ、同様の措置が講じられる可能性を示唆した。

後半に登壇した井林議員も「普通に考えると、取得時期で税を分けることはしないのではないか」との見方を示しつつ、詳細については現時点で確認中とし、制度の細部がなお検討段階にあることを認めた。

金商法への移行が分離課税実現の前提

井林議員は分離課税実現の背景を、「仮想通貨を金商法(金融商品取引法)の世界に移すことが大前提だ」と説明した。現在の資金決済法の枠組みでは、インサイダー取引規制などが整備されておらず、「金商法に移った上で、それでもなおユーザー向けに分離課税にしたいという意向でこういう形になった」と経緯を語った。

業界がまとまって金商法移行を決断したことが、今回の改正実現につながったと強調。業界の結束が最後のボトルネック解消につながったと振り返った。

自民党内での理解醸成については、「暗号資産(仮想通貨)取引所の口座数はすでに1,300万もの規模に達し、ユーザーの7割が年収700万円以下というデータが示されたことが最大のポイントだった。安定的な資産形成のツールとして認知されたことが大きな一歩だった」と語った。

関連:片山金融相インタビュー「暗号資産20%分離課税」2028年施行へ、ステーブルコインで日米協力

ステーブルコイン課税の論点も浮上

後半では、日本円や米ドルなど法定通貨連動型「ステーブルコイン」特有の税務論点も議論された。八木橋氏は3点の課題を提起した。

1つ目は、法人税・所得税上の取り扱いの未明確さ。消費税については整理済みだが、「法定通貨と同じですよ、と明示してくれれば議論がシンプルになる」と訴えた。

2つ目は、送金時のガス代の損益計算の要否。日常的な少額決済でステーブルコインが普及した場合、1日10回の買い物ごとにガス代の損益計算を求めるのは現実的でないとし、一定額以下は所得計算不要とする措置の必要性を指摘した。

3つ目は、仮想通貨からステーブルコインへの交換時に損益が発生することによる普及阻害リスクだ。「今一番親和性が高い仮想通貨保有者がステーブルコインに乗り換えようとすると、また所得が発生してしまう。日本円建てステーブルコインへの交換時に課税繰延や所得控除を認めることで、普及促進につながるのではないか」と提言した。

会計上はすでにJPYCなどの法定通貨連動型ステーブルコインを「現金同等物」と扱う暫定基準が整備されているものの、税務上の明示的な規定はなく、登壇者らは早急な整備の必要性を訴えた。

BCCC Collaborative Day

「第9回 BCCC Collaborative Day」は、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)が設立10周年を記念して開催したカンファレンス。2026年4月21日(火)、東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスにて開催された。「実社会へのWeb3実装」をテーマに、関係省庁・政策関係者・先進企業が一堂に会し、ステーブルコインやWeb3技術が切り拓く「次の10年」について議論が交わされた。

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