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米SEC委員長、オンチェーン金融に「規制の道筋」明示

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • SEC委員長、オンチェーン規制を提示
  • 取引所定義の見直し検討を表明

4つの規制方針

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は5月8日、米シンクタンクSCSP(Special Competitive Studies Project)が主催する「AI+ Expo」での講演で、オンチェーン金融市場に関するSECの規制方針を具体的に示した。

同氏は、現行の規制枠組みがブローカー、ディーラー、取引所、清算機関、トランスファーエージェントといった機能別カテゴリーで市場機能を識別している点を指摘したうえで、4つの領域における規制明確化の必要性を表明した。

アトキンス委員長は第1に、オンチェーン取引システムが規制の境界内でどのように運用できるかを市場参加者に明確化する必要があると述べた。同氏は、近い将来にSECが「限定的なイノベーションパスウェイ」を検討するとの見通しを示すとともに、より長期的にはノーティス・アンド・コメント(公告・意見公募)方式のルールメイキングを通じて、オンチェーン取引システムに対する「取引所」定義の適用を整理することが望ましいとの考えを示している。

2点目に、ソフトウェアインターフェースに関するSECスタッフの最近の声明で提起された論点を含め、ブローカー・ディーラーの定義およびその規制枠組みのオンチェーン活動への適用について、ルールメイキングを通じて整理を進める方針を示した。

3点目として、同委員長はオンチェーンの清算・決済を促進する者に関する「清算機関(clearing agency)」の定義についても、最終的にはルールメイキングで対応すべきであると言及した。同氏は「決済が即時に近く、カウンターパーティリスクがアルゴリズムで管理されている場合、伝統的な清算機関モデルは新たな分析を必要とする」と指摘した。

さらに4点目では、ユーザーが資産をオンチェーンの利回り獲得機会に投じることで受動的に利回りを得られるソフトウェアアプリケーション「クリプト・ボールト(crypto vaults)」について、証券法および投資顧問業法との接点に関する明確化を進めるべきだとの考えを示している。

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AI規制では既存原則を維持

アトキンス委員長は規制アプローチの参考事例として、1990年代後半に当時のアーサー・レビット委員長が代替取引システム(ATS)に対して整備した規制枠組み「Reg ATS」を引用した。同フレームワークでは、ATSが本格的な全国証券取引所として規制されるのではなく、ブローカー・ディーラーとして規制される選択肢が認められた。

同氏は、SECが当時イノベーションを最初から硬直的な枠組みに押し込まず、発展のための余地を残し、対象を絞ったガイダンスを発出し、市場の成熟に応じて目的に適合した規制アーキテクチャを構築したことが、米国市場が世界で最も流動性が高く強靱であり続けている理由の一つであると説明した。

人工知能(AI)に関してアトキンス委員長は、AIが電信、ティッカーテープ、電子注文板に続く「能力拡張ツール」の系譜に連なるものであり、規制レジームを全面的に新設する必要があるとの見方には誤解があると指摘した。一方で、AIは運用の規模と速度の点で独自性を持ち、モデルの不透明性、業界全体での同時採用に伴う誤りの伝播、悪意ある主体によるアクセスといった脆弱性を生む可能性があると認めている。

SECの方針として、企業はAIツールの結果に責任を持ち、その利用方法を投資家に開示する義務を負うとしたうえで、SEC自体は使用すべきモデルを指定したり現在の技術を将来の標準として固定化したりはしないと明言した。

アトキンス委員長は、講演を通じて議会に対して仮想通貨市場の規制枠組みを定める「クラリティー法」を成立させ、トランプ大統領の署名に送るよう改めて呼びかけ、「将来を見据える最も強力な方法は、健全な法令文言を法律に書き込むことだ」と強調した。

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