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MiCA全面施行、EUでポーランドのみ未対応 仮想通貨企業2000社が認可なしで窮地に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • ポーランド大統領が3度目の拒否権行使
  • EU全体のMiCA認可取得は244社のみ

大統領が国内法を拒否

2026年7月1日、欧州連合(EU)の包括的な暗号資産(仮想通貨)規制の枠組み「MiCA」が全面施行された。これにより、各加盟国の既存制度の下で事業継続が認められていた移行期間が終了。仮想通貨サービスプロバイダー(CASP)向けのライセンス制度が、EU全域で本格的に運用開始された。

現在、ポーランドを除くすべてのEU加盟国が、すでにMiCAを国内法化している。CASP認可を取得した事業者は、単一のライセンスでEU27カ国に加え、欧州経済領域(EEA)加盟国であるアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーでもサービスを提供できる。

一方、ポーランドでは、カロル・ナヴロツキ大統領が6月11日、議会で可決されていた仮想通貨規制法案に対し、3度目となる拒否権を行使した。同法案は、MiCAを国内法として導入するためのものだが、大統領は自身が提起した異議が法案に反映されていないことを理由に署名を見送った。

報道によると、ナヴロツキ大統領は、過度な規制や透明性の欠如、中小企業への負担といった懸念を挙げ、拒否権行使の正当性を主張している。しかし、同国におけるMiCAの法制化プロセスは進展を見せないまま、7月1日の全面施行の期限を迎えることとなった。

ポーランドには約2,000社の登録済み仮想資産サービスプロバイダーが存在するが、同国はEU加盟国の中で唯一、国内の申請・ライセンス制度が未整備のまま、MiCAの枠組みから取り残されている。

ポーランド金融監督局の広報担当者は、電子マネートークン(EMT)の発行者を除き、MiCA規制の対象活動を監督する政府機関は存在しないと明かした(EMTは別の規制で管理)。

現状、ポーランドの仮想通貨事業者は、自国でCASP認可を取得する手段そのものをもたない。これらの企業が合法的にサービスを提供し続けるためには、他のEU加盟国でCASP認可を取得した上で、「パスポート(相互承認制度)」を利用してポーランド国内で事業を運営する必要がある。しかし、自国での申請手続きと比較してそのプロセスは煩雑であり、より多くの時間を要することは避けられない。

ロンドンに本社を置くMorphic Financial Groupのマテウス・カラCEOは、ポーランドではMiCA認可の取得コストや規制整備の遅れにより、多くの仮想通貨事業者が市場からの撤退を余儀なくされるだろうと語った。現時点で、ポーランドでMiCA認可を取得している事業者は、同社だけだという。

MiCAとは

英語で『Markets in Crypto-Assets Regulation』の略。欧州連合が導入した仮想通貨に関する包括的な法的枠組み。仮想通貨の発行体や取引所などのサービスプロバイダーに統一された厳格なルールを課すことで、投資家保護と市場の透明性向上を目的としている。

関連記事:bitFlyer、日本発の取引所として初のMiCA認可取得

暗号資産取引所bitFlyer Holdingsの欧州子会社がEUのMiCA規制下でCASP認可を取得し、加盟27カ国でのサービス提供が可能になった。

選択を迫られるポーランドの仮想通貨ユーザー

規制の先行きが不透明な中、ポーランド国内の仮想通貨ユーザーが取れる対処法は限られる。

主な選択肢は二つある。他のEU加盟国でMiCA準拠のCASP認可を取得した取引所に資産や口座を移転するか、利用中の国内取引所から資産を引き出し、ハードウェアウォレットを用いて秘密鍵を自身で管理する「セルフカストディ(自己管理)」へ切り替えるかだ。

セルフカストディなら、資産を直接保有できる。取引所に預ける場合は、あくまでも資産に対する請求権を持つに過ぎない。ただし、将来的に取引や法定通貨への出金を行う際には、ライセンスを保有する取引所などの外部サービスを経由する必要がある。

関連記事:セルフカストディ時代の入出金とは|CryptoBridgeが描く、資産を「自分で持ち、そのまま使う」かたち

はじめに|暗号資産を「持つ」と「使う」のあいだにある壁暗号資産を保有している人なら、一度はこう感じたことがあるのではないだろうか。資産は増えたり減ったりしているが、いざ日常で使おうとすると、とたんに手間が増える。取引所から出金し、銀行口座へ

EUの状況

MiCA導入以前の2024年時点で、欧州では3,000社以上が仮想資産サービスプロバイダーとして登録していたと見られる。一方、2026年6月30日時点でMiCAに基づく認可を取得した仮想通貨関連事業者はEU全体で244社にとどまっている。

OKXヨーロッパを率いるエラルド・グース(Erald Ghoos)CEOは「MiCA導入後、仮想通貨関連企業の80%は生き残れないだろう」と予測する。同氏によると、欧州市場で事業を展開するにはMiCA認可の取得のみにとどまらず、ステーブルコインを扱う場合には決済機関(PI)や電子マネー機関(EMI)としてのライセンスも別途必要となるなど、事業者に課される規制対応の負担は極めて大きい。

またグース氏は、莫大なコンプライアンス費用を負担しきれなくなった事業者の中には、自力での存続を諦め、すでにライセンスを持つOKXに買収を持ちかけたケースもあると明かした。

前出のカラ氏は、小規模な仮想通貨企業が生き残る余地は限られており、新規参入も困難になるとの見解を示した。

私の見立てでは、欧州市場は大手プレイヤーによる集約が進むだろう。その動きはすでに現実のものとなりつつある。

関連記事:MiCA施行でバイナンス撤退へ、コインベースやOKXは好機を狙う

EUの仮想通貨規制MiCA施行の下、ライセンス未取得のバイナンスが欧州サービスを停止する一方、コインベースやOKXは移行ユーザー獲得のキャンペーンを展開している。

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