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セイラー氏、ビットコインのコンセンサスルールは「憲法」 プロトコル変更に警鐘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

内部からの腐敗が最大のリスク

米ストラテジー会長のマイケル・セイラー氏は28日、X(旧Twitter)への一連の投稿で、ビットコインのコンセンサスルールを「憲法」に準え、ルール変更を試みる動きを「経済的権利への攻撃」と強く批判した。

今回の投稿は、同氏が18日に公表したビットコインのソフトフォーク提案「BIP-110」に反対する論考「BIP-110が悪手である110の理由」で示した問題意識を、より包括的なビットコインのガバナンス論へと発展させた内容となっている。

セイラー氏は、「ビットコインは勝利を収めた。だが今はその勝利の先を生き抜かねばならない。」と切り出し、「最大の脅威は外部の敵ではなく、内部からの腐敗」だと主張。「一部の勢力が口実を作り出し、ルールを書き換え、経済的権利を奪うことで、自由は許可制に、法は略奪の道具へと変質していく。」と述べた。

文明が特定勢力による「法の乗っ取り」によって内部から衰退するように、ビットコインも特定の派閥がコンセンサス(合意形成)を掌握すれば、同様に腐敗していくと、同氏は危機感をにじませる。

セイラー氏は今回の投稿で、議論の対象をBIP-110だけでなく、コベナンツ(利用条件を制限できるスクリプト機能)やブロックサイズ拡大の提案にまで広げた。これらはいずれも手法こそ異なるものの、本質的にはビットコインの憲法に違反する行為だと位置付け、「特定の勢力がビットコインのルールを書き換え、自らの目的やコスト、リスクをネットワーク参加者全体に押し付けている」と批判した。

関連記事:セイラー氏、ビットコインBIP-110に「110の理由」で全面反対

米ストラテジー社のセイラー会長が、ビットコインのソフトフォーク提案BIP-110に反対する論考を投稿した。「ルールは失効しても前例は残る」と警鐘を鳴らし、中立的なルールを維持する重要性を訴えた。

マイナー保護の重要性

セイラー氏は、手数料市場の重要性も強調している。

ビットコインでは約21万ブロックごとにマイニング報酬が半減するため、長期的には取引手数料がネットワークの安全性を支える主要な収益源となる。

正当な手数料を支払う取引をコンセンサスルールによって排除することは、将来的なセキュリティ予算の縮小につながるとセイラー氏は指摘し、「それは保護ではなく、武装解除だ」と切り捨てた。

さらに、こうした経済的権利の侵害は、マイナーだけにとどまらず、取引所、カストディアン、アプリケーション、投資家、そして保有者にまで及ぶと同氏は主張する。一度でもコンセンサスルールを政治的な力で変更する前例が生まれれば、各勢力が市場競争ではなく政治的手段によってルール変更を求めるようになり、「プロトコルを巡る争い」が常態化すると、セイラー氏は警鐘を鳴らす。

そうした事態に陥れば、資本は流出し、イノベーションは停滞し、ネットワークの安全性は徐々に損なわれていく。その結果、ビットコインは本来の潜在能力の1%しか発揮できなくなるというのが、セイラー氏の見立てだ。

ビットコインのあるべき姿

セイラー氏は最後に「ビットコインのベースレイヤーは、シンプルかつ中立的であり、希少性と安全性を維持すべきだ」との立場を改めて強調した。イノベーションは参加が任意で、失敗の影響も局所にとどまる「周辺領域(エッジ)」で進めるべきであり、プロトコル変更は野心ではなく真の必要性に基づき、極めて稀かつ慎重に行われるべきだと訴えた。

この考え方は、同氏が6月16日に投稿した「現代デジタル資産スタック(The Modern Digital Asset Stack)」とも一貫している。

セイラー氏は、ビットコインを「デジタル資本(Digital Capital)」と位置づけ、その上にビットコインを担保とした信用商品(Digital Credit)、法定通貨建てで安定価値を持つ利回り型商品(Digital Money)、レバレッジや金融工学を活用した高リターン商品(Digital Yield)、そしてMSTR型の普通株式を含むデジタル株式(Digital Equity)といった複数の層を構築するという構想を示している。

重要なのは「ビットコイン自体を変更する必要はない」という点にある。ステーキングやインフレ、大幅なプロトコル変更に頼ることなく、ビットコインの中立性を保ったまま、上位層でイノベーションを進めるという考えが、同氏の構想の核を成している。

セイラー氏が今回の投稿で批判対象の一つとして挙げたBIP-110は、現在のところ十分な支持を得られていない。BIP-110のシグナリング・ダッシュボードによると、マイナーの支持シグナルは2.64%にとどまり、有効化条件である55%を大きく下回っている。

関連記事:セイラー氏、ビットコイン上に信用・通貨・株式を積む新金融構造を提唱

ストラテジー会長のマイケル・セイラー氏が6月16日、ビットコインをデジタル資本の基盤層と位置づけ、その上にデジタルクレジット・デジタルマネー・デジタルイールド・デジタルエクイティを積み上げる5層構造の資本市場論をXで発表した。STRCやMSTRの役割も解説している。

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