CoinPostで今最も読まれています

ライトニングネットワークとNFCの融合|新時代のビットコイン決済へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ライトニングネットワークとNFCの組み合わせを提案
開発者である「Igor Cota」氏は、ライトニングネットワークNFCと組み合わせたPrestoという名前の決済システムの提案を行いました。この決済システムにより、スマートフォンを決済端末にかざすだけで、ビットコイン決済が可能になるとされています。
NFCとライトニングネットワークへの対応
店舗側が領収書やクーポン券などの情報を追加しにくい「QRコード」に比べ、NFCであれば情報の追加が容易であり、より優れた顧客体験を提供できると考えられています。

ライトニングネットワークとNFCの融合

まず、1秒間に何百万回ものビットコイン決済を行える手段を想像してみてください。

次に、魅力の少ないインターフェースを想像してみてください。

今想像した2つの差は、未だ適応されていない最高のスケーリング解決法である「ライトニングネットワーク」のビジョンと、現時点でのビットコインの状態の差です。

多くの開発者は、決済システムの構成を向上させるために、この難しい挑戦に取り組んでいます。

最近になって、開発者の一人は、「ライトニングネットワークと既存の決済技術を融合させた革新的な方法」を提案しました。

既存の決済技術は「近接通信(NFC)」と呼ばれるもので、日本だとSuicaやおサイフケータイなどで導入されている技術で、対応デバイスにスマートフォンをかざすだけで簡単に支払いを行うことができます。

NFCチップを使用した支払いはスマホだけでなく、すでにアジアやヨーロッパ全域の決済カードとして普及しています。

アメリカでは、NFCの普及が遅れていることからも、ビットコインの早期導入者がこのターゲットとして適切であると考えられています。

開発者である「Igor Cota」氏(以下、Cota氏)によって行われた提案は、「ライトニングネットワークをNFCを接続するための規格」を標準化させる方法を模索しています。

Cota氏はCoinDeskに対し、NFCを使用したライトニングネットワークウォレットを『Presto』と命名したことを明らかにしました。

ヨーロッパで使われているNFC(近接通信)カードのように、即座に支払いできるようにしたい。ユーザーが、決済端末にタップするだけで済むように。

さらにCota氏は、29ドル(約3100円)のUSB端末をコンピュータに接続することで、あらゆるコンピュータをライトニングネットワークPOS端末として使用可能にする発想を掲げており、自身のテストでは、この取り組みは既に成功しているようです。

QRコードの代替となるか

このテストの成功により、Cota氏の提案は、彼が構築したものに対してどのように標準となる規則を追加し、ライトニングネットワークソフトウェアの組み込みを行っていくかなどの、基準化を残すのみとなりました。

多くのビットコイン決済は、スマートフォンで手軽にスキャンして送金を行う「QRコード」を使用しています。

「Presto」は、NFCだけでなくQRコードもサポートしていますが、NFCの方がより良い顧客体験を作り出すことができると考えています。

Cota氏は、QRコードの好き嫌いではなく、情報を追加する際に”扱いにくい”側面もあると言及しました。

加盟店は、QRコードに領収書やクーポンなど多くの情報を追加することができないのです。

NFCであれば、このような障害はありません。

Cota氏は、「商品の総額や消費税だけでなく、将来的には店舗のロゴ、使用可能なクーポン券、食料品の買い物リストなどが記載された”HTMLレシート”を顧客が送付できるようなシステムを目指している。」と述べました。

これにより、詳細な消費傾向を記録・提供。家計管理など経済状況をより把握しやすくなると考えています。

Cota氏は、「例えば、あなたが先月どれほどの額をブロッコリーに費やしたかを教えてくれるウォレットの存在を想像してみて欲しい。」と語り、このように付け加えました。

「仮想通貨を使用する際、このデジタルレシートを活用することで、自分たちの経済状況をより把握・管理しやすくなるはずだ。」

ライトニングネットワークのBOLTS

Cota氏は、NFCの組み込みをライトニングネットワークの開発者が作成した規格に追加することで、実装に互換性を持たせなければなりません。

この規格は”BOLTS”と呼ばれており、各個人がどれほどの額の支払い義務を有しているかを暗号化、ユーザーに表示する”請求書”について言及されている「BOLT 11」にNFCを追加する必要があると考えています。

例えるなら、スターバックスでモカラテを購入する際に、クレジットカード決済端末に「4.5ドルの支払い義務があることを表示」する過程と同様です。

しかし現時点で「BOLT 11」は、QRコード規格のみを記述しています。

そのため、Cota氏は、データ送信フォーマットである「多目的インターネットメール拡張(MIME)」及び、ライトニングネットワークでの支払い方法となる「NFCアプリケーションID」と「ソケットデータを転送する非常にシンプルなプロトコル」を組み合わせるという大まかな基準を検討しています。

この部分はさほど困難な仕様ではありませんが、Cota氏はNFC対応のPOS端末において、あらゆるNFC基盤のライトニングネットワーク決済を許容する基準作成が大切であるとし、

業界で一歩抜きん出るために、NFC基盤のライトニングネットワーク決済は実現されるべきだ。NFCとの”相互運用性”を実現するため、新しい規格に対する合意を得られたらと考えている。

と説明しています。

すでに公開されているフィードバックは肯定的なものが大半を占めており、ライトニングネットワークの開発者である「ZmnSCPxj」氏や「Corné Plooy」氏もその提案に対し、好意的な見解を示しています。

ただ、Bitrefillのライトニングネットワーク開発者「Justin Camarena」氏は、決断を渋っており、以下のように意見を述べました。

「将来的に普及する決済方法だとは思うが、現時点ではライトニングネットワーク対応のPOS端末自体も開発されていないという現状もあり、時期尚早なのではないか。」

それでも、Cota氏はプロジェクトを前進させるため、日々取り組み続けています。

「見てわかる通り、(Prestoのユーザーインターフェースは)まだまだ課題が山積みだ。」と語り、「現在、決済端末においてオフラインでもNFC決済が行えるようなプロトコル作成に取り組んでいる。」と明かしました。

Cota氏は、この仕組みを完成させ次第、オープンソース開発として”プルリクエストの提出”を行い、他の開発者にレビューを行なってもらう予定です。

CoinPostの関連記事

BTCライトニングネットワーク:メインネット初期ver公式リリース間近か
ビットコイン(BTC)のスケーラビティ問題を解決するため、スピーディーかつ安価な取引を実現するライトニングネットワーク。一部の評論家は、直近の進捗状況から公式リリースが近いことを予想しています。先日公開されたニュースでは、中部電力が、ライトニングネットワークを活用した電気自動車の料金支払いの仕組みに関する実証実験を行っていることがわかりました。

Lightning + NFC? The New Plan to Bring Bitcoin to Retail

Apr 17, 2018 by Alyssa Hertig

参考記事はこちらから
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/27 土曜日
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。
07:15
米SEC、イーサリアム現物ETF申請を非承認する可能性高まる
イーサリアム現物ETFの米国での承認は不透明。SECとの一方的な会合や訴訟の影響で、2024年後半までの承認延期が予想されETH今後の価格に下落圧力がかかっている状況だ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア