CoinPostで今最も読まれています

Kyber NetworkCEOが語る:今、分散型取引所に注目が集まる訳

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Kyber NetworkのCEOロイ・ルー氏にインタビュー
Kyber Networkは分散型取引所(DEXまたは非中央集権型取引所)で、セキュリティーとユーザビリティーに重点をおいた取引所です。そのCEOロイ・ルー氏に創設に至ったきっかけや、これからのKyber Networkについてお話をしてくださいました。
分散型取引所について
中央集権型と分散型の違いについてや、分散型のメリット・デメリットやその改善策などについて、お話をしてくださいました。
分散型取引所とは
分散型取引所とは、中央管理者がいなくても仮想通貨の取引が可能な取引所の事です。 中央管理者が存在していないということは、自ら秘密鍵を管理しながら取引を行うことが出来ますので、秘密鍵を持っている中央管理者へのハッキングリスクが無くなります。

分散型取引所、Kyber Network

ロイ・ルー (Loi Luu)
分散型仮想通貨取引所「Kyber Network」の共同創設者兼CEO。シンガポール国立大学でコンピュータサイエンスの博士号取得。イーサリアムのスマートコントラクト用のオープンソースのセキュリティ分析ツール「Oyente」を開発。既存の仮想通貨の基盤層を保護するためのオープンソースプロジェクト「SmartPool」を共同開発した後、現在の「Kyber Network」の開発に至る。

-Q.カイバーネットワークのサービスについて教えてください。

カイバーネットワークは分散型取引所(DEX)です。

セキュリティーとユーザビリティーを重点的に考慮したDEXです。

我々の重要視しているところは以下の2点です。

1つ目はセキュリティに関してです。

現在は全てon-chainスマートコントラクト上で実装されています。

ですのでハッキングはほとんど不可能となっております。

2つ目はユーザビリティーです。

ユーザーがより使いやすくより簡単にサービスを使えるようにサービスの展開をすることにとても重点を置いています。

今まではテックに詳しい人しか使えないよ、と言われていましたが、そこを我々が変えていきたいと考えています。

ユーザーフレンドリーにして行きたいです。

また、今後の我々の取り組みとして2点あります。

まず1つ目にトレードが素早く行えるようにして行きます

つまりトランジッションが行われ次第送金がされ、トレードできるような仕組みが出来るようになります。

2つ目は流動性を保証する仕組みです。

この場合での流動性とは売買が素早く行えるということです。

現在あるたくさんのDEXは流動性が乏しいことで問題視されています。

我々のサービスはそこのメカニズムがしっかりとしており、誰もがトレードをしたい時にトレード出来る相手が見つかるようになっております。

仮想通貨Kyber Network(カイバーネットワーク)とは?
Kyber Networkとは、スマートコントラクトを利用し、より利用価値の高い分散型取引所の構築を目指すプロジェクトです。

-Q.なぜ、カイバーネットワークを立ち上げようと思ったのでしょうか?きっかけを教えてください。

分散型がブロックチェーンの良さだと唱えられていますが、実際に見てみると中央集権的な場所も多く見られます。

そこで私は分散型のプラットフォームを作りたいと思い、分散型的ソリューション、DEXを作りました。

-Q.どの国で活動し、現在のプロダクトをローンチする/していくのでしょうか?

シンガポールで現在企業登録(登記)をしておりますが、オフィス展開をイスラエル(テクニカルチーム)、ベトナム(テクニカルチーム)、シンガポール(マーケティング/サービス管理など)で行なっております。

-Q.スタッフは何人ほどいらっしゃいますか?

去年の9月頃7人ではじめ、現在では、32人ほどいます。

多くの方はエンジニアの方々です。

-Q.現在、どの企業と提携をしていますか?または一緒に事業を進めていますか?

現在、サービスをさらによくするためにたくさんのプラットフォーム、ウォレットの方々と提携をしております。

なぜなら、たくさんの企業さんと関係を持つことにより、それぞれのサービスを使っているユーザーがカイバーネットワークを利用してくれるようになるからです。

-Q.どの企業がカイバーネットワークのライバルに当たると思いますか?

もちろん中央集権型の取引所でしょう。

ただし、おそらく今現状DEXは新しいシステムであるので彼らは我々のことをライバルだとは思ってはいないでしょう。

-Q.現状いくつくらいのDEXが存在するのでしょうか?

20~30以上のDEXが存在するでしょう。

しかしその中でも有名でよく知られているDEXは以下の5つではないでしょうか?

・EtherDelta

・OX

・raidex

・paradex

・IDEX(分散型と言っていますが現状中央集権のようなところもあります。)

-Q.企業としてのゴール/ミッションはなんでしょうか?

新しいトレーディング環境を作ることです。

安全で使いやすいDEXを作り上げることです。

-Q.ここでもう一度中央集権型取引所と分散型取引所(DEX)の違いを教えていただいてもよろしいでしょうか?

「中央集権型取引所」

中央集権的サービス=コントロール

オペレーションが全て一人の監督によって管理されていると言うことです。

ユーザーは管理者を信頼して利用する必要があります。

コインチェック事件のように管理者がハッキングにあったらそのサービスを使っているユーザーまでがその被害にあってしまいます。

「分散型取引所」

我々カイバーネットワークが目指すプラットフォームは全ての機能において非中央集権でやっていくと言うことです。

セントラルポイントがない取引所のことです。

ユーザーが我々を信用、信頼することが必要ないことがもっともの特徴でしょう。

-Q.分散型取引所(DEX)のメリット、デメリットを教えていただけますでしょうか?

(簡単にまとめさせていただきました。)

メリット

・セキュリティー

・透明性

・トラストレス

デメリット

・まだ新しいプラットフォームであること

・中央集権取引所に比べてUIがまだまだ乏しい

・スピードが遅い

・取引量が低いこと

-Q.どのようにこのデメリットを改善出来るとお考えですか?

より多くの人にDEXを使ってもらうようになるには多くの時間がかかるでしょう。

さらには教育も必要になってくると思います。

例えばなぜ、DEXが中央集権取引所より優れているのかをユーザーに知ってもらう必要があります。

3~5年は普及するには時間がかかると思います。

-Q.どの仮想通貨/どのような仮想通貨のタイプが上場する予定でしょうか?

イーサリアム、ERC20トークンがまず上場する予定です。

しかし、現在より多くの通貨を上場出来るようなソリューションを考えています。

例えば、ビットコイン、MONERO、ライトコインなどです。

-Q.通貨上場の基準はなんでしょうか?

取引量の高さ、コミュニティーが大きな通貨などで選定していきます。

-Q.ボラティリティ減少のためデリバティブ提供の詳細を教えてください。

これについてはさらにサービスが改善された後の話になると思います。

理想としましてはマーケットがすごくボラティリティが高い時、通貨の価値が一気に下がるとします。

future contractや前もって通貨の売買が可能にするサービスや、この価格で売買をする人をマッチさせるサービスを充実させることでしょう。

これに関しては現在我々が重点を置いてる点ではありませんが、将来的にはこのようなサービス提供を進めていく予定です。

-Q.Binance社など中央集権型なのにDEXの提供も開始しようとしています。

なぜそのような中央集権型取引所がさらにDEXに参入してきているのだと思いますか?

私が考えるに、セキュリティートラップ、政府からのたくさんの質問などに直面しているからではないでしょうか?

透明性を保ち、安全に取引所を運営していくことはかなり難しいです。

実際にBinanceでもこの前ハッキング事件がありましたし、実際一つのペアーの仮想通貨に影響を与えました。

ですから、より安全なDEXの必要性は感じているのではないでしょうか?

-Q.コインチェックのような中央集権型で資産が大量に流出したと思いますが、流動性やセキュリティ問題への解決策は?どうすべきだと思いますか?

さらに問題があると考えています。

それは価格操作です。

理由のない突然の価格/取引量の上下などです。

しかし非中央集権では全てが透明性を保ちパブリックブロックチェーンに繋がっているため誰もが確認することができます。

DEXが鍵になってくるでしょう。

-Q.どのように規制に柔軟に対応していく予定でしょうか?

とても良い質問ですね。

政府も遅かれ早かれDEXに対しても規制していくことでしょう。

現在世界中の政府関係者と話をし、我々の規制に関する提案や見方について話しています。

また、KYCなどをどのようにDEXが行うかなどを話しています。

coincheckのような中央集権ではハッキングなどの被害が起る可能性がある一方で我々にはそのリスクが限りなく低いことを説明したら政府もわかってくれると考えております。

-Q.DEXは流動性が少ないです。

それにはイーサリアムのスケーラビリティーも影響するでしょう。

イーサのブロックチェーンのスケーラビリティー問題の影響回避はどのようにするのでしょうか?

スケーラビリティーはパブリックブロックチェーンのメインの問題の一つでしょう。

ある意味このような問題に直面しているということは良いことでもあると考えております。

なぜなら、多くの需要が存在するということだからです。

我々はスケーラビリティーに関して独自の解決策を模索しております。

様々なテクニックを使っており、例えばステートチャネルをつかったり自分たちでスケーラビリティーをチェックできるようにしたりしています。

また将来的にはplasma、pos、sharding などが解決策になると思っております。

カイバーネットワークはイーサリアムの創設者ヴィタリック・ブテリン氏(Vitalik Buterin)が2つだけアドバイザーとして入っているプロジェクトの1つです。

-Q.なぜVitalik氏がアドバイザーになったのでしょうか?

vitalikは2015イーサリアムのリサーチをしていた時に我々は初めてのアカデミックペーパー(イーサリアムについて)を書きました。

そこで、Vitalik氏にフィードバックを頼んだのです。

とても優しい方でフィードバックをいただくことができました。

その後、カイバーネットワーク立ち上げの際にアドバイサーになって欲しいと訪ね、プロジェクトをみてアドバイサーになっても良いと言っていただきました。

-Q.ブロックチェーンや仮想通貨についていえば、シンガポール市場はどうでしょうか?

また、この市場ではどのような変化が見込まれますか?

シンガポールでの仮想通貨、ブロックチェーンに関する環境はとても良いでしょう。

政府も規制をせずにまだ、現状を見ている段階にあります。

現状まだ、規制は考えていない傾向も感じられます。

私が思うにメインの理由としましてはシンガポールは人口も少ない国ですし、仮装通貨のような最新技術が国にとっても良き影響を与えるものと考えているのではないでしょうか。

2つ目の理由はスキャムプロジェクトをシンガポールでは見たことがありません。

その考えられる理由としましては、エコシステムがセルフレギュレーションとなっていることではないでしょうか。

例えば弁護士がスキャムの可能性があるプロジェクトとは仕事をしないなど。

また、必ずKYCチェックをすることなでではないでしょうか。

コミュニティーがこの良き環境を作っていると考えております。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。
07:15
米SEC、イーサリアム現物ETF申請を非承認する可能性高まる
イーサリアム現物ETFの米国での承認は不透明。SECとの一方的な会合や訴訟の影響で、2024年後半までの承認延期が予想されETH今後の価格に下落圧力がかかっている状況だ。
06:50
米Stripe、ソラナやイーサリアムでUSDC決済を導入予定
Stripeは2014年に初めて仮想通貨ビットコインの決済を導入した経緯がある。しかしその4年後の2018年にビットコインのバブル崩壊を受け同社はその取り組みを中止した。
05:50
モルガン・スタンレー、ブローカーによるビットコインETF勧誘を検討
最近の仮想通貨ビットコインETF資金流入状況に関しては昨日、ブラックロックのIBITが1月11日ローンチ以来初めて資金流入がゼロとなり、71日連続の流入記録が終了したことが確認された。
04/25 木曜日
17:42
ワールドコイン、仮想通貨WLDのトークンセールを計画
Worldcoinが個人認証に基づくベーシックインカムプロジェクトの拡大へ、機関投資家限定で暗号資産(仮想通貨)WLDのプライベートセールを計画。市場価格に近い価格で提供し、転売禁止やロックアップ措置を導入する。
15:00
ビットコイン強気相場継続の根拠、アーサー・ヘイズ氏語る
仮想通貨取引所BitMEXの創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏は、世界各国で法定通貨の供給量が拡大し続ける中、ビットコインをはじめとする仮想通貨の強気相場は今後も継続するとの考えを示した。
13:20
2028年の半減期に向けてビットコイン価格など5つの予測=Bitwise
Bitwiseの最高投資責任者は次の半減期までにビットコインに起こる5つのことを予想。ビットコイン価格は約3,880万円以上になるとする予測も含まれる。
10:25
ビットコインの供給インフレ率、金を下回る=レポート
Glassnodeは4回目の半減期についてレポートを発表。ビットコインの供給インフレ率がゴールドよりも低くなり、希少性が増したと述べた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧