CoinPostで今最も読まれています

史上最大規模のIPO予定の仮想通貨マイニング企業「ビットメイン」の上場申請が却下される可能性が浮上|日経新聞が報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「ビットメイン」の上場申請が却下される可能性
日経新聞によると、世界最大のマイニング企業「ビットメイン」社の株式上場申請が却下される可能性が浮上した。史上最大のIPOと期待された案件に、仮想通貨ビットコイン市場など相場環境の急悪化で逆風が吹いている。

「ビットメイン」の上場申請が却下される可能性

日本経済新聞が報じたところによると、香港でマイニング大手の上場審査が難航している。今年夏に目論見書を提出し、史上最大規模のIPO(Initial Public Offering)案件になり得るとして騒がれた、世界最大のマイニング企業「ビットメイン」社が苦境に立たされている。

すでに申請を却下された香港企業2社に関しては、昨今の仮想通貨市況の暗転を受け、ビットコイン価格は昨年末に記録した最高値(約220万円)から約80%下落しており、マイニング事業の採算が急悪化。

ビットコイン価格の現在レートでは、市場の”想定損益分岐点”を大幅に下回るとされており、「マイニング事業の安定性や持続性に疑問を抱いている」との見方が市場で大勢を占めるという。

最大手マイニング企業は、効率の良い最新マシンやコストを抑えた電力のある立地などの環境を備える。マイニングマシンが大々的に停止される状況を受け、マイニング難易度が下がるため、廃業せずに続行を選択したマイナーは、さらに収益が上がる可能性もあるという見方もあった。

しかし、ビットメイン社は今月11日、イスラエルに置く傘下の開発センターを閉鎖することを明らかにしており、中小マイニング業者が事業撤退を余儀なくされる中、最新鋭の設備と環境によるマイニング効率化で採算を取りやすいとされる大手も、決して例外でないことを如実に示していると言える。

環境激変による影響が直撃

世界最大の仮想通貨マイニング企業ビットメインは、満を持して株式市場へのIPO(新規株式公開)申請に向け、香港証券取引所(HKEX)へ目論見書を提出。

史上最大規模の資金調達額になるとされ、「巨額の資本を上手く運用できれば、中・長期にわたって株主還元を行う、上場企業のレジェンドになる可能性もある」と期待されていた。

実際に仮想通貨市況の良かった2017年には、極めて高い利益率で巨額の利益を生み出していたが、相場環境が激変した2018年以降は、競合も増えたことでもあり、状況が一変。

今年9月時点で判明している情報では、売上総利益率が、48%から36%へ大幅下落。BitMEXの試算によると、ビットコインキャッシュ価格の下落に伴って、ビットメイン社は約3億ドル(330億円)の評価損になっていると算出されている。

さらに、今年11月中旬に行われた、仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークでは、ビットメイン社のジハン・ウーやロジャー・バー率いるBitcoin ABCと、クレイグ率いるBitcoin SVの主導権争いが激化。これに伴う「ハッシュ戦争」の影響により、仮想通貨市場の全体時価総額が数十兆円規模で減少するなど、相場環境は急速に冷え込んでいる。

この影響で、ビットコイン(BTC)価格は、2018年以降何度も反発していた生命線「65〜69万円の底値ライン」を一気に割り込み、年初来安値を更新するなど大暴落した(下図参照)。

仮想通貨全体の市場価値は暴落の一途をたどっている現状があり、ビットメイン社のIPO案件に対して関係者は、「業界の浮き沈みが激しく、1~2年後に業者が存在しているかすら分からない」と懐疑的なスタンスを強めるなど、予断を許さない状況にある。

実際に、中国の最大手仮想通貨取引所だったBTCCが「ビジネス上の理由(景気調整)」で、11月末日から4年間運営していたマイニングプールを”無期限閉鎖”すると発表するなど、業界全体で事業縮小・撤退の動きも相次ぐ。

会計処理で損失隠し疑惑も

また、今年9月には、米ニュースサイト「Tech Crunch」の報道によれば、2018年第2四半期の追加損失「約4億ドル」分を隠していた疑いがあるとしてと批判を浴びている。

仮想通貨建て資産をコストとして計上するなど、誤解を招く財務会計で評価額を上乗せした可能性があるという。

今年夏に公表された報告書によると、同社の仮想通貨保有額は、2018年3月の17億ドル(約1880億円)から、2018年8月末の8.2億ドル(約910億円)にまで半減。

大きな理由として、仮想通貨市場全体の下落だけでなく、Bitmainがビットコイン(BTC)よりもビットコインキャッシュ(BCH)に焦点を当てていくことを決断し、2017年のキャッシュフローの67%をビットコインキャッシュの購入に使用したとしていたが、現在のBCH価格は、当時の1/4以下に目減りしている。

日本のマイニング事業者も厳しい情勢

日本でも、マイニング事業は厳しい局面で窮地に立たされている現状にある。

マイニング事業への本格参入を表明していた東証1部上場企業の「GMOインターネット」株式会社は12月25日、「仮想通貨マイニング事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」と題した報告書を公開。

マイニング事業に関して、約350億円の特別損失を計上、事業規模の縮小を図り、再構築して立て直すことを明らかにしている。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者9,000名突破。

CoinPostの関連記事

GMOが仮想通貨マイニング事業の収益悪化に伴い「355億円の特別損失」を計上|採掘事業がなぜ厳しい状況にあるかを解説
GMO インターネット株式会社は25日、「仮想通貨マイニング事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」と題した報告書を公開。マイニング事業に関して特別損失を計上することが明らかになったほか、マイニングマシンの開発・製造・販売事業は中止する旨が報告された。
ビットメインは(仮想通貨関連)上場企業の”レジェンド”になる可能性を秘めている
香港証券取引所への上場を目指す、世界最大の仮想通貨マイニング企業ビットメイン。仮想通貨取引所BitMEXは調査書で、「巨額の資本を上手く運用できれば、中長期にわたって株主還元を行う、上場企業のレジェンドになる可能性もある」と期待を込めた。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/13 月曜日
15:05
リップルCEO「米国政府は、ステーブルコインUSDT発行企業のテザー社を標的にしている」
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOはインタビューで、米国政府がステーブルコインUSDTの発行企業テザーに監視の目を強めていることを注視していると語った。
14:32
ユニスワップ創設者ら、SECの仮想通貨規制はバイデンの大統領選に悪影響と指摘
ユニスワップの創設者らは仮想通貨業界に対する米SECの姿勢を批判し、大統領選で現職バイデン氏の再選に不利になる可能性を示唆した。
12:18
JPモルガン、ビットコイン現物ETFの保有が明らかに
米JPモルガンはSECへ提出した書類の中で複数社のビットコイン現物ETFへの投資を報告した。ダイモンCEOはBTCに対して懐疑的な姿勢を保っている。
12:17
冴えない動きの続くビットコイン、15日にCPI控え様子見基調
暗号資産(仮想通貨)相場では、15日にCPI(米消費者物価指数)を控える中、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)相場の様子見基調が強まっている。売り優勢の局面を打開できずにいる。
05/12 日曜日
11:24
来週のビットコイン相場はPPIとCPIに注目、ネガティブならチャネル下限試すシナリオも|bitbankアナリスト寄稿
GW明けのビットコイン(BTC)相場をbitbankのアナリスト長谷川氏が分析。ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ前大統領の異例発言に高い関心
今週は、米フランクリン・テンプルトンによる仮想通貨ソラナのレポート発表、ビットコインの累積トランザクション数の10億件到達、ドナルド・トランプ氏による異例の発言に関する記事が最も関心を集めた。
05/11 土曜日
15:00
ビットコイン上のステーブルコイン発行計画 Taproot Assetsのテストが進行
Lightning LabsのCEOエリザベス・スターク氏が、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのブロックチェーンにステーブルコインを導入する新技術「Taproot Assetsプロトコル」について解説。ライトニングネットワークを使った即時、低手数料の国際取引が可能に。
14:00
「Friend.TechなどでBaseがイーサリアムL2を主導」フランクリン・テンプルトン分析
フランクリン・テンプルトンは、仮想通貨ブロックチェーン「Base」がFriend.Techなどソーシャルファイに牽引され、今後も代表的なイーサリアムL2であり続けると予想した。
12:45
日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる
平将明氏および加納裕三氏を含む日本の代表団がDFINITY本部を訪問。DFINITYが推進するInternet Computerは、高速で広範なブロックチェーンベースのプラットフォームで、スマートコントラクトとデータシャーディングにより、効率的なWeb3アプリの開発を可能にする。
11:20
米SEC、コインベースの仮抗告を却下するよう申し立て
米SECは仮想通貨取引所コインベースとの裁判で新たな書類を提出。コインベースが証券性をめぐり求める仮抗告を退けるべきだと申し立てている。
10:00
著名投資家マーク・キューバン氏、SECゲンスラー委員長を批判
著名投資家マーク・キューバン氏は米大統領選挙で仮想通貨も争点の一つになると意見した。また米SECのゲンスラー委員長に批判を向けた。
09:00
米大手銀ウェルズ・ファーゴ、複数のビットコイン現物ETF銘柄を保有
ウェルズ・ファーゴを含むいくつかの金融大手はビットコインETFが1月にデビューしたのち、それらの取り扱いを開始した経緯がある。
08:00
米ARK、イーサリアム現物ETFの申請からステーキング要素取り除く
現在、5月中に仮想通貨イーサリアムの現物ETFが承認される期待はすでに大幅に後退。専門家らはその可能性を2ヶ月前の約70%から25%に引き下げた。
07:30
J・ドーシー氏「2030年のBTC価格は100万ドル超へ」
2030年のBTC価格は100万ドル超まで上昇する可能性があると強気な見方を示すなど、ジャック・ドーシー氏が仮想通貨ビットコインの魅力を語った。同氏は以前からビットコインを支持している。
07:00
ソラナJupiter、モバイルアプリのリリース時期発表
モバイル版の最新情報のほか、Jupiterは第三回のLFG投票の予定についても情報を公開。来週あたりに新たなローンチパッド候補の仮想通貨プロジェクトを公開し、5月22日から投票を開始する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア