証券性めぐる抗告却下求める
米証券取引委員会(SEC)は10日、米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースとの裁判で新たな書類を提出した。コインベースが一部の論点について求めている中間控訴を退けるべきだと地方裁判所に申し立てている。
コインベースは4月13日、仮抗告により、SECが仮想通貨取引を証券性のある「投資契約」とみなして規制できるかどうかという点について、高等裁判所の意見を仰ごうとしていた。
この際にコインベースは、ある資産が有価証券かどうか判断するためにSECが頻繁に引用するハウィーテストをめぐる意見の相違を指摘していたところだ。
このテストの解釈については、SEC委員や議員、判事の間でも意見が分かれているとしており、また仮想通貨取引に適用しようとする場合、様々な問題が生じるとも述べていた。
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ハウィーテストとは
ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。1946年のHowey社訴訟事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めた。
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しかし今回SECは、「意見の相違は実質的な根拠があって生まれているものではない」としており、次のように反論した。
コインベースは、既存の法律を遵守するのにコストがかかるような方法で事業運営を行うことにしている。このために、コインベースがハウィーテストや現在の証券規制の枠組みを好んでいないことは明らかだ。
しかし、そうしたコインベースの事業方針や、定着した判例(ハウィーテスト)の解釈を自社の目標やニーズに合わせて書き換えたいという願望は、時期尚早な仮抗告を支持する説得力ある理由にはならない。
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ファイラ判事の見方
コインベースが仮抗告を進めるには、キャサリン・ポーク・ファイラ判事がそれを認める必要がある。ただし専門家によると、地裁で最終判決が下される前に、控訴裁判所への中間控訴が認められることは少ないとされる。
判事は4月、SECによる提訴棄却を求めるコインベースの申し立てのほとんどを却下していた。
コインベースの「経営努力」がハウィーテストに照らして、証券性を構成する可能性があると意見し、SECはコインベースのステーキングサービスなどについての申し立てをこのまま続行してよいとしている。
ファイラ判事は、コインベースが証券法の一部に違反しているというSECの主張には説得力があると述べた。一方で、SECの主張の一部にも異議を唱えている。
SECは、ウォレットサービスを提供することで、コインベースが未登録のブローカーとして他人のために有価証券取引を行う事業を運営していたと申し立てていたがこれには根拠がないとした形だ。
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