「仮想通貨も大統領選の争点に」
著名投資家マーク・キューバン氏は11日、米国の大統領選挙で暗号資産(仮想通貨)規制方針も争点の一つになるとの見方を示した。また、米証券取引委員会(SEC)委員長を批判している。
キューバン氏は、仮想通貨は若年層や無党派の有権者の間で普及が進んでおり、ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長やSECの政策は、現職バイデン氏の落選原因になりうると意見した。
ゲンスラー氏に対しては、次のように辛辣な批判を向けている。
ゲンスラー氏は投資家を一人も詐欺から守っていない。彼がやったことは、合法的な仮想通貨企業の運営をほぼ不可能にし、多くの企業や起業家を台無しにしたことだ。
また、「議会への警告」として、今回の選挙では仮想通貨を支持する有権者の票も、選挙を左右することになるだろうと意見した。
バイデン氏にとっては、他の業界と同様に仮想通貨業界に特化した登録制度などを定める法案を通過させることで、こうした層に対処できると続けている。
さらに良い選択肢は、すべての仮想通貨を米商品先物取引委員会(CFTC)の監督下に割り当てることだとも主張した。
これまでの動向によると、CFTCは、SECよりも概して仮想通貨に対して融和的である傾向がみられるところだ。
CFTCのロスティン・ベーナム委員長は、「現行法の下では、仮想通貨の多くは商品(コモディティ)」だと述べており、トークンの多くを証券とみなすSECと一線を画している。仮想通貨については、水面下でCFTCとSECの管轄権争いがあるという見方もされる。
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SEC(証券取引委員会)とは
株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。
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トランプ氏は仮想通貨支持の姿勢
キューバン氏の発言は、ドナルド・トランプ前大統領が仮想通貨業界を支持する姿勢に転じたことが背景にある。
トランプ氏は9日の選挙集会で、多くの仮想通貨起業家が米国を出ていることについて「現バイデン政権の敵対視が原因で、私はそれを止めたい」、「彼らが米国で安心して事業をできるように、仮想通貨技術を受け入れる必要はある」と述べた。
一方で、バイデン氏の民主党では仮想通貨に批判的な姿勢を保つ議員も目立つ。トランプ氏は8日、「ゲンスラーSEC委員長や民主党は仮想通貨に否定的」だとも話した。
ただ、民主党の全員が仮想通貨に批判的というわけではない。8日には、米国下院で、SECによる仮想通貨保管のガイドラインを覆す決議案が可決したが、この際には民主党議員21人も賛成票を投じている。
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