米CFTCの仮想通貨に対する姿勢
米CFTC(商品先物取引委員会)のロスティン・ベーナム委員長は12日、CNBCの「Squawk Box」に出演し、改めて「現行法の下では、暗号資産(仮想通貨)トークンの多くは商品(コモディティ)だ」と強調した。
"It is figuring out how existing, decades-old law, fits into this new technology that seems to be changing and ultimately needs a new way of thinking around policy and legislating," says @CFTCbehnam on #crypto. "Under existing law, many of the tokens constitute commodities." pic.twitter.com/F3JPjWq3wG
— Squawk Box (@SquawkCNBC) December 12, 2023
多くのトークンを「証券」だとみなす米証券取引委員会(SEC)とは対照的な見方を変えていないと示した格好だ。米国で仮想通貨に対する規制が不明確となっている理由の一つは、こうした水面下でのCFTCとSECの管轄権争いにもあるとされる。
このことについて、ベーナム氏は「以前より私は、規制体制に不足があり、そのことに議会が対処しようとしている」と述べた。
米国では、複数の仮想通貨法案が進められているが、特に規制の明確さを打ち出すものはシンシア・ルミス議員らが提案した「責任ある金融革新法(RFIA)」である。この法案は、仮想通貨をコモディティとして規制し、CFTCにより大きな監督権限を与えようとするものだ。
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また、パトリック・マクヘンリー議員らも6月、ある仮想通貨トークンが、証券としてみなされる場合と、コモディティとしてみなされる場合の線引きを明確にする法案の草稿を発表している。
また、ベーナム氏はSECとの不仲説を否定し、SECとCFTCは前向きな協力関係を築いており、米国の市場、金融エコシステム、消費者を保護するという点で同じ関心を共有していると話した。
さらに、現在仮想通貨規制については、主にマネロン・テロ資金調達防止、ステーブルコイン規制、市場構造の3つがトピックになっていると指摘。この中で注目が最も高いのはマネロン規制だが、ベーナム氏は市場構造の問題に関心があるとしている。
ゲンスラー委員長と異なる見解
CFTCのベーナム委員長は、仮想通貨規制を新たに整備する必要性を唱えており、この点でもSECのゲーリー・ゲンスラー委員長とは異なる姿勢を示している。
ベーナム氏は10月、DeFi(分散型金融)、AI(人工知能)など新テクノロジーに対応するためには、古い法律では不十分だとの見解を述べ、明確で現実的な規制フレームワークを整備して仮想通貨市場を適切に監督するべきだと話した。
一方でゲンスラー氏は、仮想通貨に対応するためには現行の証券法で十分だとしている。
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垂直統合を承認
CFTCは13日、シカゴを拠点とする仮想通貨デリバティブ取引所・ブローカーであるBitnomialに、清算機関としてのライセンスも与えた。垂直統合型の企業構造に許可を与えた事例となる。
垂直統合型とは一般的に、ある一つの企業が事業プロセスの複数段階を行うことである。Bitnomialは、取引所・仲介・清算という過程を自社で展開できるようになった。
この際、ベーナム氏は、「我々はすべての登録者に公平かつ平等にルールを適用しなければならない」とコメントしている。ある企業が取り扱う技術に関係なくルールを当てはめるべきとの姿勢を示した形だ。
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CFTC(商品先物取引委員会)とは
商品取引所に上場する商品や金利、デリバティブ全般など、米国の先物取引市場を監督する機関。「CFTC」は「Commodity Futures Trading Commission」の略。
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