DCG、資産管理部門を今月末閉鎖
米暗号資産(仮想通貨)コングロマリットのデジタルカレンシーグループ(DCG)は、資産管理部門を閉鎖することを決定した。The Informationなどが5日に報じた。
DCGの広報担当者は、次のように述べている。
マクロ経済環境と、長引く仮想通貨業界の低迷から、私たちは2023年1月31日を持って資産管理部門を閉鎖することを決めた。
The Informationによると、DCGの資産管理部門は、起業家や投資家のために資産管理を行っており、12月の時点では約4,600億円(35億ドル)相当を運用していた。今回の閉鎖決定は、資産管理サービスの利用者にとっても突然のものだったとされる。
ジェミナイに対する債務
DCGは、大手仮想通貨取引所ジェミナイから債務返済について呼びかけられているところだ。ジェミナイの共同創設者は、DCGがジェミナイに対して「約1,200億円(9億ドル)の債務を負って」おり、この資金返済の交渉に応じるよう求めている。
背景としては、FTX破綻の影響を受けて、DCG子会社の仮想通貨ブローカーであるジェネシスが出金停止。ジェネシスのローン機能を利用していたとされるジェミナイの利回りサービスもユーザー資金の償還を停止している状況がある。
ジェミナイは、DCGが関係企業間融資で、子会社ジェネシスから約2,200億円を借りており、これを自社株買いや、流動性の低いベンチャー投資などに使ったとも批判した。
なお、DCGのシルバートCEOは、2,200億円は借りていないと額面を否定。次の償還期限は2023年5月で、まだ先だとも指摘した。
関連:ジェミナイ創設者、DCGを批判 1,200億円の顧客資金返済を求める
DCGは、2015年に設立された大手仮想通貨系企業の持株会社。グレースケールやコインデスク、ジェネシスなどの親会社として機能しており、傘下企業は2022年4月時点で累計1,000名以上の従業員を抱えていた。
苦境に陥っている子会社ジェネシスは、2回に渡るリストラを実施しており、従業員を260人から145人まで減らしている。ウォールストリートジャーナルによると、チャプターイレブンによる破産申請も可能性の一つに入れていると伝えられるところだ。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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流動性に問題か
オランダの仮想通貨取引所Bitvavoによると、DCGは流動性問題を抱えているとみられる。
Bitvavoは、DCGのサービスを利用して、ユーザーにオフチェーンのステーキングサービスを提供していたが、DCGからBitvavoへの償還が現在停止されていると説明した。DCGは現在、「仮想通貨市場の乱高下により流動性に問題が生じて」おり、これが解決するまで資金の償還を停止している形だという。
DCGは今後数週間のうちに計画を提示し、未払い残高を返還する予定だ。また、Bitvavoは、Bitvavo自体は顧客資産の引き出しをいつでも処理できるようにしているため、同取引所ユーザーはDCGの流動性問題に影響を受けないとしている。