CoinPostで今最も読まれています

国際決済銀行、ステーブルコインの監視システムを開発

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコインのバランスシートを監視

国際決済銀行(BIS)のイノベーション・ハブ(IH)部門は2023年の優先課題を発表。今年の事業計画には、IHのロンドンセンターが立ち上げた、ステーブルコインの監視システムを開発する新たなプロジェクトも含まれている。

プロジェクトの名称は「Pyxtrial」。名前の由来は13世紀に英国で始まった「Trial of the Pyx」(Pyxの裁判)で、新たに英国で鋳造された硬貨が規格を満たすものかの厳密な検査を指す。今日でも毎年2月、ロンドンの高等法院が主宰し、儀礼として行われている。

Pyxtrialプロジェクトでは、ステーブルコインのバランスシートを監視するためのプラットフォームの開発を目指す。IHは「ほとんどの中央銀行には、ステーブルコインをシステム規模で監視し、資産と負債の不一致を回避するためのツールがない」と指摘。そのため、同プロジェクトは、規制当局がデータに基づく政策の枠組みを形成するのに役立つ技術ツールを調査するという。

ロイターの報道によると、BISはいくつかのステーブルコインとそのバランシスシートについて、様々な試験とシミュレーションを行い、年内には予備的な調査結果を発表する予定。ステーブルコインの裏付けとなる資産についての実態をより明確にすることが期待されている。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIのようなアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

▶️仮想通貨用語集

BISとステーブルコインの基準

BISの市場インフラ委員会(CPMI)と証券監督者国際機構(IOSCO)は昨年7月、ステーブルコインに対する規制ガイダンスを発表。ガイダンスでは、「同一リスク、同一規制」の原則を適用し、ステーブルコインの取り決めについて、支払・清算・決済システムに関する国際基準を遵守すべきとしている。

関連:国際決済銀行CPMIとIOSCO、ステーブルコインに関するガイダンス発行

また、BISの中央銀行総裁・監督責任者グループ(GHOS)は昨年12月に、銀行の暗号資産(仮想通貨)取り扱いに関する世界的な基準を発表。伝統的な銀行においては、仮想通貨の保有上限を資産総額の2%までと設定し、2025年1月1日までの実施を目指す。

新たな基準では、仮想通貨をグループ1とグループ2に分類。グループ1には、トークン化された伝統的な金融資産や、米ドルなどと紐づけられたステーブルコインが含まれる。ステーブルコインが、グループ1に分類される監督・規制要件やリスクテストも規定されており、「償還権やガバナンスが強固な、規制された主体が発行するステーブルコイン」のみが適格とされる。

裏付けのない仮想通貨や有効な価格安定のメカニズムを持たないステーブルコインはグループ2に分類される。

関連:国際決済銀行(BIS)、銀行の仮想通貨保有量上限を2%までに設定

ステーブルコイン規制の現状

時価総額で上位3位までのステーブルコイン(USDT、 USDC、 BUSD)だけでも、その市場規模は16兆円を上回る。また、その価値が法廷通貨に紐づけられており、金融安定性への影響も大きいため、各国の規制当局と中央銀行は、ステーブルコインの適切な規制の枠組みづくりを重要な課題として位置付けている。

日本では昨年6月に参議院でステーブルコインに関する規制法案が可決され、規制整備が進められている。

関連:改正資金決済法が参院本会議で可決、ステーブルコイン関連の規制導入へ

欧州では仮想通貨についての包括的な法案「MiCA」に、ステーブルコイン規制が含まれており、その最終投票が間近いと見られている。一方、米国では昨年からステーブルコインに関する法案が議論されているものの、まだ法案の提出には至っていない。

韓国の中央銀行は昨年12月、仮想通貨規制に関する報告書で、ステーブルコインに特別規制を設け、中銀がその監督の任を負うべきだと主張した。

関連:韓国中銀、ステーブルコインの監督権限を求める

そんな中、香港では今年1月31日に、金融管理局が仮想通貨とステーブルコインの規制に関する方針を発表。ステーブルコインについては、規制対象となる活動や包括的な規制の枠組みを示した。ステーブルコインの構造に応じたリスクを評価し、関連活動を行う団体に対しては、ライセンス所得を義務付ける予定。

同局が示した規制の原則では、ステーブルコインの完全な裏付けと額面での償還を求める。そのため、裁定取引やアルゴリズムで価値を安定させる無担保型のステーブルコインは不可となっている。

関連:香港当局、仮想通貨とステーブルコインの規制方針決定

なお、日本の金融庁も今後、アルゴリズム型ステーブルコインの規制を強化する可能性があることが、昨年12月に行われた講演のプレゼン資料から明らかになった。

関連:金融庁、アルゴリズム型ステーブルコインの規制を強化か

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/19 火曜日
11:35
CZ氏、世界の子どもに向けた「Giggleアカデミー」を立ち上げ
仮想通貨取引所バイナンスのCZ前CEOは、世界の子どもに基礎教育を無料で提供するプログラム「Giggle Academy」を立ち上げると発表した。
11:00
アバランチ財団、ミームコイン5種の保有を発表 
アバランチ財団が暗号資産(仮想通貨)AVAXのエコシステム支援のため、Coq InuやTechなど5種類のミームコイン保有を公表。コミュニティ活性化の一環として選ばれた。
10:20
ビットコイン現物ETFにさらなる資金流入可能性 CoinShares分析
仮想通貨投資企業CoinSharesのアナリストは、ビットコインには今後数か月の間に需要急増が起こる可能性があるとの見解を述べた。
08:20
ミームコイン熱狂でソラナのGoogle検索数急増、2018年ICOブームに類似との懸念も
次にヒットするミームコインを探すトレーダーや投資家は「BOME」プレセール型ローンチをはじめ、さまざまなプレセール型ミームコインに資金を流入させ、その多くが「出口詐欺」であることが確認されている。
07:15
SCB銀、イーサリアム現物ETF承認の影響を分析
仮想通貨イーサリアムの現物ETF承認なら最初の1年で6兆円超の資金が流入する可能性があると、英大手銀行のスタンダードチャータード銀行が分析。イーサリアムやビットコインの価格予想もしている。
06:20
OKX、欧州でUSDT通貨ペアを廃止 MiCA法準拠で
USDTはOKXやバイナンス、Bybitなど集権型取引所の出来高の根幹となっているためUSDTペアの廃止は取引所の収益に打撃を与えることになる。
05:50
AI・DePIN関連銘柄「Akash」、コインベースに新規上場
半導体大手エヌビディアが今週「NVIDIA GTC AI 2024」を開催することから、思惑買いで先週末にAKTやRender、ワールドコインなどのAI仮想通貨銘柄は一時的に値上がりしたが、その後反落。
03/18 月曜日
19:46
プライバシー保護と相互運用性に特化した「Partisia Blockchain」の魅力とは 専門家が動画解説|WebX STUDIO
企業や自治体からも注目される、秘匿マルチパーティ計算(MPC)を用いてプライバシー保護と相互運用性に特化したPartisia Blockchainとは。コミュニティサポーター「ぐぬぐぬたい」氏がCoinPost YouTube番組「WebX STUDIO」に出演し動画解説を行なった。
15:25
「Web3の未来をリードするのはアジアの国々」Parity Asia製品工学トップが見解示す
ブロックチェーンインフラ企業Parity Technologies Asiaは、日本で昨年開催されたWebX2023実績などを踏まえ、アジア太平洋地域の国々がWeb3の未来を形作る上で主導権を握るとの考えを明らかにした。
12:47
米検察、FTXのサム前CEOに懲役40年以上を求刑
米検察当局は、22年11月に破綻した仮想通貨取引所FTXの前サム・バンクマン=フリードCEOに懲役40年から50年の判決をくだすよう裁判所に要請した。弁護側は緩和を求めている。
12:35
イーサリアム現物ETFが5月までに承認される確率は? 海外アナリスト6名が見解述べる
米各社のアナリストら6名は、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム現物ETFが今年5月までに承認される見通しについて議論し見解を述べた。承認の上でのハードルなどについても意見している。
12:31
ビットコイン一時65000ドル割れも反発、ソラナは時価総額4位に浮上
暗号資産(仮想通貨)市場では週末にかけて急落していたビットコインが反発。前週比30%高のソラナ(SOL)はBNBを超え、時価総額4位に浮上した。
03/17 日曜日
11:00
週刊仮想通貨ニュース|ETHのDencunやBTCの7万ドル割れに高い関心
今週は仮想通貨イーサリアムの大型アップグレードDencunの完了、ビットコイン価格の急反落、米金融大手JPモルガンのビットコイン現物ETF分析に関する記事が最も関心を集めた。
03/16 土曜日
12:00
バイナンスのVC部門バイナンスラボ、グループから独立
大手仮想通貨取引所バイナンスのVC部門バイナンスラボが、今年初めにバイナンスグループから独立していたことが分かった。
11:05
「イーサリアムがコインベースの収益を後押し」JPモルガン分析
JPモルガンは、イーサリアムが米仮想通貨取引所コインベースの収益にプラスの影響を与えると分析した。背景にDencunアップグレードなどを挙げた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/03/22 18:30 ~ 21:00
東京 東京都江東区
2024/03/28 15:00 ~ 18:00
東京 東京日本橋タワーB2階
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
重要指標
一覧
新着指標
一覧