はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米銀救済でビットコイン反転上昇、インフレ高止まりには不透明感も|bitbankアナリスト寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

今週(3/11(土)〜3/17(金))の仮想通貨相場

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

BTC取引数

BTC取引数(月次)

アクティブアドレス数

アクティブアドレス数(月次)

BTCマイニングプールの送金先

取引所・その他サービス

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

3/11(土)〜3/17(金)の週次レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円相場は先週末から一転して上値を追う展開を繰り広げ、一時は9ヶ月ぶり高値を付けた。

先週はシルバーゲート銀行の任意清算やシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を受けて、米銀行システムの脆弱性への危機感からリスクオフムードが台頭し、270万円周辺まで押していたBTC相場だったが、週末に米財務省(MoF)と米連邦準備制度理事会(FRB)が共同声明を発表し、SVBに預けられていた預金を全額保護し、緊急のレンディング・ファシリティ「Bank Term Lending Program」の設立を発表すると、相場は反転上昇を開始し、今週は300万円周辺から取引が始まった。

ただ、金融市場では米中堅銀行の経営への不信感が燻り、安全資産とされる米国債に資金が流入すると、利回りの低下がBTCの追い風となり、相場は週明けから320万円台に戻した。さらに、2月の米消費者物価指数(CPI)が前年比で上昇ペースを鈍化させ、相場は一時、9ヶ月ぶりに350万円台に乗せた。

一方、価格変動の激しい食品やエネルギーを除いたCPIのコア指数が前月比で僅かに加速したこともあり、米国債利回りが直後に上昇。この日は金融危機への懸念も後退し始めたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続観測が台頭し、相場は上げ幅を縮小した。

さらに、週央に差し掛かると、クリディ・スイスの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンクが同行への追加出資を見送ったと報じられ、世界的な金融危機への懸念が台頭し、BTCは320万円まで押した。

しかし、再び金融危機のリスクが台頭したことで、FRBの利上げ継続観測が後退。これによりBTCは320万円で下げ止まると、スイス中銀がクレディ・スイスの支援を発表し、同行からは最大で7兆1000億円の調達計画が発表された他、複数の米大手銀行が米中堅銀行のファースト・リパブリック・バンクへの支援に向け動いているとの報道により、リスク選好度が上向いた。

17日朝方には、米銀支援のためにFRBのバランスシートが拡大し、実質的に量的引き締め(QT)が終わったとの期待感で、BTC相場は340万円台を回復している。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

先週のBTC対ドルは、上昇トレンドラインを下抜け200日移動平均線割れを試し、苦境に陥っていたが、米国債利回りの急低下、延いては米政府、MoF、FRBによる支援でSVB破産によるシステミックリスクが抑制され、足元では、これまで相場にとって強いレジスタンスとなっていた昨年8月高値を上回って取引されている(第2図)。

BTC相場は火曜日に同水準の終値でのブレイクに失敗したが、仮に成功すればおよそ10ヶ月間に及ぶ安値圏からのブレイクアウトとなり、ダウ理論の観点からは相場の上昇トレンド入りと判断できる。

【第2図:BTC対ドルチャート(日足)】出所:Glassnodeより作成

今週は金融セクターに加え、エネルギーや製造業など景気の先行きに左右されやすいセクターの株価指数が強く押したが、足元ではこうした懸念間の巻き戻しでリスク選好度が上向いている。加えて、昨年から始まったFRBのバランスシート縮小も逆転し、流動性の改善も目先のBTC相場には追い風となろう。

ただ、今週のコアCPIからも明らかな通り、インフレは引き続き高止まりしている。また、今週は欧州中央銀行(ECB)がクレディ・スイスの一件を受けてもインフレ抑制を優先し、50ベーシスポイント(bp)の利上げを敢行しており、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)はこれまで以上に見通しが立て難くなっている。

利上げ幅に関しては、慎重にならざるを得ない状況と言え、50bp引き上げの公算は非常に低いと言えるが、ドットチャートやパウエル議長の記者会見で年内利下げの手掛かり掴めなければ、市場予想に修正が入り(現状、6月から利下げが大勢の予想)、BTC相場には重石となろう。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:米金融機関の経営危機でビットコイン大幅続落、苦境続くか

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/31 水曜日
14:00
ブラックロックの2026年投資展望 AI投資が米株式市場を牽引、ステーブルコインは金融の架け橋に
ブラックロックの2026年投資展望レポートでは、AI関連投資が米国株式市場を牽引し、生産性向上で171兆円の経済効果が見込まれると分析した。また、38兆円規模に成長したステーブルコイン市場について決済システムへの統合が進み、トークン化された金融システムへの第一歩となると見ている。
12:00
2026年末のビットコイン価格はどうなる?有識者7人に予想を聞いた
ビットコイン2026年末価格予想を暗号資産(仮想通貨)業界の著名人7人が回答した。平均は12.3万ドルで約40%の上昇見込み。FRB政策、機関投資家参入、半減期アノマリー崩壊など注目ポイントを分析。強気派と慎重派の見解を比較し、相場の行方を占う。
11:00
仮想通貨TOP20と国内発トークン、25年の騰落率は
ドナルド・トランプ氏の米大統領就任やビットコインの最高値更新があった2025年。本記事では同年の時価総額上位銘柄と国内発プロジェクトのトークンの年間騰落率をまとめている。
10:00
激動の2025年 仮想通貨の時価総額トップ20、過去8年間における順位変動は
2025年はビットコインが12万ドルを突破した。仮想通貨に肯定的な米トランプ政権が始動した1年を終えるにあたり過去8年間において仮想通貨の時価総額の順位がどのように変動してきたかを振り返る。
12/30 火曜日
14:00
米カリフォルニア州の超富裕層への「5%資産税」に業界猛反発 仮想通貨起業家流出の懸念も
米カリフォルニア州で純資産10億ドル超の富裕層に5%課税する提案が行われ、Kraken創業者やBitwise CEOをはじめとする仮想通貨・テック業界リーダーが強く反発し、警告を発した。株式、不動産、仮想通貨などを対象とし、未実現の含み益にも課税される点が問題視されている。
14:00
コインベース・ベンチャーズが注目する2026年の仮想通貨4大トレンドとは
米最大手コインベースの投資部門コインベース・ベンチャーズが2026年に積極投資する4分野を発表した。RWA永久先物、専門取引所、次世代DeFi、AIとロボット技術など、次のブレイクアウトが期待される仮想通貨領域について紹介。
12:32
ビットマイン、イーサリアム買い増し 独自のステーキング・インフラも準備中 
ビットマインの仮想通貨イーサリアム保有量が411万枚に到達した。年末の価格下落を好機と捉え買い増しを行っている。2026年には独自ステーキング基盤も公開予定だ。
10:00
2025年の仮想通貨市場を重要ニュースから振り返る
2025年は仮想通貨を支持するドナルド・トランプ氏が米大統領に就任し、相場は米国の動向から大きな影響を受けた。本記事では、ビットコインの最高値更新など1年間の重要ニュースを振り返る。
09:50
仮想通貨投資商品、先週700億円超の純流出 XRP・ソラナは好調維持=CoinShares
仮想通貨投資商品から先週700億円超が流出した。CoinSharesは投資家心理がまだ完全に回復していないと分析した。一方で資産別ではXRPとソラナへの流入は好調だった。
12/29 月曜日
14:23
ビットコインは持続的上昇局面に?4年サイクル論争と機関投資家の影響力
Bitwise CIOマット・ホーガン氏が「ビットコインの4年サイクルは終焉し、持続的上昇局面に入った」と主張した。ハーバード大学など大手機関がBTCを保有し、個人投資家から機関への資産移転が進行。ボラティリティ低下の理由と、「階段を上りエレベーターで降りる」値動きパターンを専門家2人が詳しく解説。
13:35
AIや仮想通貨のショッピング活用進む Z世代が牽引か=Visaレポート
決済大手ビザの調査で、ショッピングにAIツールや仮想通貨を利用する消費者が増加していることが判明。特にZ世代が牽引していた。ステーブルコイン送金への関心も高まっている。
09:44
スベルバンク銀、ロシア初の仮想通貨担保ローン発行
ロシア最大の銀行スベルバンクが同国初の仮想通貨担保ローンを発行した。ビットコインマイニング企業に融資し、デジタル資産担保の仕組みを検証している。
12/28 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、MTGOXハッキング容疑者関連のBTC送金やearnXRPローンチなど
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン年末相場、値頃感から買い戻し期待も|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコインは方向感に欠け1400万円周辺で推移。26日のオプションカット通過後の動向が注目される。底入れには12月高値9.4万ドルの回復が条件だが、割安感から買い戻されやすいとbitbankアナリストが分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|Bybitの日本居住者向けサービス終了発表に高い関心
今週は、大手仮想通貨取引所Bybitの日本居住者向けサービス終了の発表、仮想通貨市場の調整局面、日銀の植田和男総裁の講演に関する記事が関心を集めた。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧