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バイナンス、一部顧客の担保資金を銀行に預ける仕組みを検討か=報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

取引担保となる現金を銀行で保管する案

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは、顧客となる機関投資家などの一部が取引担保を銀行に保管する仕組みを検討している。カウンターパーティリスクの軽減が目的の一つとみられる。ブルームバーグが30日に報じた。

事情に詳しい関係者4人によると、バイナンスは、一部の機関顧客とスポット取引やデリバティブ取引の担保として、銀行預金を利用することについて話し合っているところだという。

バイナンスが提案した方法の一つは、顧客の現金を銀行に保管して合意の下で他に動かせないようにしておき、バイナンスがマージン取引の担保としてステーブルコインを顧客に貸し出すというものだったとされる。

この場合、顧客は銀行に保管されている現金をマネーマーケットファンドに投資することで利息を得て、バイナンスから仮想通貨を借りるコストを補うこともできるという。

関係者によると、現金を預ける先としては、スイスに本拠を置くFlowBank、およびリヒテンシュタインに本拠を置くBank Frickの名前が挙がっていた。

バイナンスとBank Frickは、この件についてコメントを控えた。FlowBankも、バイナンスとの取り決めについてはコメントせず、同行のライセンスに仮想通貨取引は含まれていないと述べている。

仮想通貨取引所は、取引を仲介するだけでなく、取引の決済、資産保管、信用提供など様々な役割を果たしていることが多く、集中化リスクを指摘する声もある。特に大手仮想通貨取引所FTXが破綻した後、破綻した場合の顧客資産への影響などが取り沙汰されるようになった。

今回バイナンスが検討しているように、担保となる現金を、第三者の銀行へ預けることで、仮想通貨取引所の様々な機能の集中化は緩和されることになる。

バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは29日のインタビューで、バイナンスは一時、銀行買収を検討していたことがあったが、リスクや収益性の低さ、幅広い規則や規制準拠の必要性によって思いとどまったと述べた。

バイナンスとは

取扱銘柄や取引高、登録者数が非常に多い大手仮想通貨取引所を運営。他にもベンチャーキャピタル部門の活動や教育コンテンツの提供、慈善活動など幅広い事業を展開している。22年11月には、日本市場への進出を発表した。

▶️仮想通貨用語集

2022年11月にFTXが破綻した際には、預けられた資金が出金できなくなり、機関投資家や個人トレーダーに多大な損失を与えた。なお、FTXグループの中でも、FTX Japanは2月より顧客資産の出金を再開している。

FTXについては特に顧客資産とFTXの資産を分別管理せず、不正に顧客資産を姉妹会社アラメダリサーチへ流用していたことが問題視された。

FRBらは仮想通貨業界と銀行の関わりを注視

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)や国際通貨基金(IMF)などは、仮想通貨業界と銀行の関わりがもたらすリスクを注視しているところだ。

IMFは3月、G20参加国に対する報告書で、マクロ金融への仮想通貨の影響を論じ、銀行へ及ぼし得るリスクについても言及。金融機関が仮想通貨企業に信用供与などを行ったり、仮想通貨を融資担保として受け入れたりすることで、間接的なつながりが生じるとしている。

関連IMF、銀行に対する仮想通貨の影響を警告=G20報告書

また、FRBのジェローム・パウエル議長も3月に仮想通貨領域セクターには、透明性の欠如など「多くの混乱が見られる」ため、銀行は関与することに慎重になるべきだと話した。

関連パウエルFRB議長「銀行は仮想通貨との関わりに細心の注意を払うべき」

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