仮想通貨業界の混乱
米連邦準備制度(FRB)のジェローム・パウエル議長は7日、上院銀行・住宅・都市問題委員会の公聴会で証言。暗号資産(仮想通貨)領域には「多くの混乱が見られる」ため、銀行は関与することに慎重になるべきだと述べた。
FRBは仮想通貨関連活動をどのように評価しているかとの質問に対し、パウエル氏は「我々は詐欺、透明性の欠如、取り付けリスクのように、非常に大きな混乱を目にしている」と答えた。
そのため、FRBが監督・規制する金融機関に対し、「全ての仮想通貨空間とどのように関わりを持つかには慎重に、細心の注意を払うよう」確認していると同氏は述べた。
一方、経済全般にとってイノベーションは非常に重要であるため、イノベーションを阻害することは避けたい考えを示した。
規制によって既存の企業に有利になるだけような方法で、イノベーションを阻害することを、我々は望んではいない。
FRBは今年1月、米通貨監督庁(OCC)と米連邦預金保険公社(FDIC)とともに共同声明を発表。この声明では、2022年に仮想通貨分野において「大きな変動と脆弱性の露呈」があったとして、銀行にもたらす様々なリスクについて注意を促している。
米規制当局は、これらのリスクを踏まえて「仮想通貨を発行または保有することは、安全で健全な銀行業務と矛盾する可能性が高い」との認識を示し、「銀行の仮想通貨関連エクスポージャーを注意深く監視していく」と結んだ。
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同じ活動、同じ規制
規制が及ばない領域についての懸念を指摘されると、パウエル氏は「同じ活動、同じ規制」の原則が、仮想通貨関連活動にも適用されるべきだ主張し、ステーブルコインの問題点を取り上げた。
人々は、マネーマーケット・ファンドのように見えるものを扱うとき、それがマネーマーケット・ファンドや銀行預金と同じ規制を受けているとみなすだろう。その意味で、ステーブルコインには注意をはらうべきだ。
その後、仮想通貨法支持派のシンシア・ルミス議員が、先述の共同声明で示唆されたステーブルコインに関するリスクについて質問。声明では「銀行がオープン、パブリックまたは分散化されたブロックチェーンでステーブルコインを発行することは、健全な銀行業務と一致する可能性は全くありそうにない」と書かれていたとルミス議員。そのため、上記のような形で発行されたステーブルコインは銀行業務では使えないのかと尋ねた。
この点についてパウエル氏は、パーミッションレスのパブリックブロックチェーンに関しては、詐欺やマネーロンダリングの懸念があり、「健全な銀行業務」とは相容れないという認識を示した。
しかし、適切に規制されたステーブルコインに関してはどうかと、ルミスが再度確認すると、パウエル氏は許容できると示唆した。
「同じ活動、同じ規制」の原則に則った適切な規制環境、つまりステーブルコインが同等の製品と同じ規制を受ける環境下では、我々の金融システムにおいてステーブルコインの存在も認められる可能性がある。