- IMFの「世界経済見直し」報告
- 国際通貨基金(IMF)が新たな経済報告書を発表し、サイバーセキュリティーの重要性と仮想通貨に対する世界基準の規制の必要性を強調した。
- IMFとは
- 国際通貨基金(International Monetary Fund,IMF)は、国際金融、並びに、為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関である。
IMFの経済報告
国際通貨基金(IMF)は本日、最新の「世界経済見直し(WEO) 」報告を発表した。
今回のWEOのテーマは「安定な経済成長に対するチャレンジ」であり、以下が原文要旨となる。
「2016年半から続く安定した回復基調は今後も継続し、2018から2019年にかけての世界経済の成長率は、2017年と同じ水準を維持すると予測される。しかしその一方で成長にばらつきが見られるようになり、一部の主要経済国ではすでに成長率がピークに達した可能性がある。世界経済成長に対する下振れリスクが過去6カ月の間に強まっており、予期せぬ上振れの可能性は遠のいている。」
そして同じ報告書の『金融的不安状態』と題された部分では、
重要な金融インフラに対するサイバーセキュリティ違反とサイバー攻撃は国際間送金システムを損ない、商品とサービスの流動を妨害しうるため、より多くのリスクを伴う要素となる。
暗号資産の継続的急成長は国際金融システムに新たな脆弱性をもたらしかねない。
と仮想通貨に対して警鐘を鳴らした。
以上の内容はIMFが以前から示していた仮想通貨の世界進出に対する慎重な姿勢と一致しており、法定通貨に対する需要の減少と世界基準の法的規制を暗示していると思われる。
また、今回の警告が初めではなく、先週掲載された「国際金融安定性報告」でも、2008年に始まった世界金融危機が10年の節目を迎えた現在、経済的発展は顕著でありながらも、
規制監督当局は新たなリスクへの備えを怠ってはならない。サイバーセキュリティ、フィンテック、通常の健全性監督の対象から外れた組織や活動から生じる金融不安定化のリスクにも目を向けていく必要がある。
と記述してあり、つまりいまだ規制一貫性が欠如している仮想通貨・ブロックチェーン業界に対する警戒を示している。
IMFは仮想通貨の敵ではない
金融リスクの面においては、IMFはフィンテック全般に対して、慎重さを保つ一方、規制の面においては、IMFは昨年の報告では、
規制当局はこのような急激な変化において、安定と効率のバランスを慎重に保たなければならない。サイバー攻撃やマネーロンダリングのようなリスクを管理しながらイノベーションの育成を推進する必要がある。
とも言及した。
さらに、以前コインポストでも報じたように、今年の4月にはIMFの専務理事であるLagarde氏がブログを通じて、インドや、パキスタンを含む、最近の中央銀行の仮想通貨に対する敵対心に疑問を抱き、以下のように主張した。
「政策立案者は、リスクを最小限に抑え、創造性のある過程を尊重する公平な規制の枠組み作成に向けて取り組んでいくべきだ。」
先月には、イギリスの財務省は仮想通貨業界のことを『西部開拓時代』と例え、最低限の法的規制(消費者保護とマネーロンダリング対策)の必要性が差し迫っており、FSA(イギリスの金融庁)に置くべきだと呼びかけたこともある。