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イーサリアム開発者、プライバシー送金機能の次期アップグレード「ヘゴタ」搭載を提案

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • EIP-8182、シールドプールをプロトコルに直接構築
  • ETH取引の匿名化、現在1万件に1件未満

匿名送金機能のプロトコル組み込み目指す

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)開発者のトム・レーマン氏は、プライバシー送金を可能にするイーサリアム改善提案EIP-8182を、次期アップグレード「ヘゴタ」に組み込むことを正式に提案したと述べた。

レーマン氏は、イーサリアムでは年間数千億ドルもの取引が行われているが、ほぼすべての取引が公開されていると指摘。2025年時点で、イーサリアムのトランザクションのうちプライベートなものは1万件に1件未満にとどまっていると続けた。

他の金融システムでは、このような規模で取引が公開されておらず、イーサリアムも例外であってはならないとしている。

EIP-8182は、イーサリアムのプロトコルに共有のシールドプール(共有の匿名セット)をシステムコントラクトとして直接構築するものだ。レーマン氏は、すべてのウォレットやアプリが同じプールを共有することで、強力な匿名性を提供し、アプリ層の開発者はUXやツール開発に集中できるようになると述べた。

関連記事:イーサリアムのオンチェーン取引がより公平に、次期アプデ「ヘゴタ」で注目される新技術FOCILとは

仮想通貨イーサリアムで2026年に予定されるアップグレード「ヘゴタ」に主要機能として「FOCIL」を導入することが提案された。公平な取引処理に貢献するものだ。

EIP-8182の仕組み

レーマン氏は、既存アドレスやウォレットを使って匿名送信ができるようになると説明する。まず、特殊なアドレス形式は不要で、既存のイーサリアムアドレスやENS名(短縮アドレス)に対してプライベートな送信が可能になるとしている。

また、ゼロ知識証明の生成を署名と証明生成に分離することで、計算能力の限られた一般的なデバイスでもリモートプロバー(外部サーバー)を利用して取引が可能。既存ウォレットでも署名の部分のみを行うことでプライバシー送金が可能となる。

ゼロ知識証明とは

証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。例えば、送金者、受取人、送金額などの取引内容を第三者に明かすことなく、その取引が不正でないことを証明することができる。

さらに、EIP-8182はアカウント抽象化をサポートし、ユーザーはパスキー、マルチシグ、ソーシャルリカバリなどの多様な認証方法を、匿名性を保ったまま利用できるようになる見込みだ。

プライバシーの仕組みとしては、シールドプールへの資金預け入れと引き出しの際は、トークンの種類と金額、および預け入れ・引き出し先のユーザーアドレスが公開される。資金をプールで受け取る者の新しいノート(資産の所有権と金額を記録するデータ)は非公開だ。また、プール内での送金に関しては、トークンの種類、金額、送金相手がすべて非公開となる。

このため、資金をどのアドレスからいくら受け取ったか、どのアドレスにいくら送金したかなどは外部からは分からない仕組みだ。デフォルトでは無条件のプライバシーを提供するが、アプリケーション層で不正資金ではないことを証明するツールを構築することも可能だとされる。

このプライバシープロトコル独自の追加手数料は発生せず、ユーザーは通常のガス代(取引手数料)のみを支払う。今回の改善提案は、今後イーサリアムの開発者会議で議論され採用の有無が決定されるとみられる。

イーサリアム財団はプライバシーの構築に力を入れているところだ。昨年9月には包括的なプライバシーを構築するためのロードマップを公開した。

イーサリアムは、グローバルなデジタルコマース、価値のインターネットなど中核インフラとなるにふさわしい存在だが、これはプライベートなデータや取引なしでは実現できないとしている。

プライバシーがなければ機関や一般ユーザーを他の場所に追いやるとも述べており、企業や機関投資家のイーサリアム採用を考える上でも、プライバシーを重視する姿勢を示した。

関連記事:イーサリアム財団がプライバシー強化ロードマップ発表 3つの重点分野で取り組みへ

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