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国際決済銀行の委員「エルサルバドルのビットコイン法定通貨化は興味深い実験」

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BISも意見

国際決済銀行(BIS)の委員は11日、エルサルバドル共和国が仮想通貨ビットコインを法定通貨として認めたことを受け、「興味深い実験」との見解を示した。ロイターが報道した。

BISはスイスのバーゼルに本部を置く、62ヵ国・地域の中央銀行をメンバーとする組織。「中央銀行間の協力促進のための場を提供しているほか、中央銀行からの預金の受入れ等の銀行業務も行っている。」(日銀参照

今回、BISのイノベーションハブ責任者兼執行委員会の委員を務めるBenoit Coeure氏はイギリス銀行でのイノベーションハブのローンチイベントにて、エルサルバドルの動きについて、「確かに興味深い実験だ」とコメントし、「BISとしては、ビットコイン(BTC)は投機アセットであり、決済手段に相応しくないと判断している。規制されるべきだ」と指摘した。

エルサルバドルでは多くの国民が国際送金に頼っており、ビットコインの法定通貨化はその課題を解消する手段としても採用されている。また、新法律は消費者がいつでもビットコインを使って支払えるよう、政府が決済用インフラを提供する必要があるとも規定している。

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国際的金融組織がエルサルバドルによるビットコインの採用に懸念を示したのはCoeure氏の発言が初めての事例ではない。10日、IMF(国際通貨基金)の代表者Gerry Rice氏はエルサルバドルの新たな法律が複数のマクロ経済・金融・リーガル問題を引き起こす可能性があると指摘していた。

なお、IMF側の発言が明らかになった後には、エルサルバドルのブケレ大統領はビットコイン法について、今後IMFと会議を行う予定があるとした。

ステーブルコインについて

BISのCoeure氏はエルサルバドルの事例のほか、ステーブルコインについてもコメントを行った。

2020年に始まったコロナの世界的感染を背景に、プライベートセクターにおける電子決済手段への採用が広く進んでおり、BISもデジタル決済、CBDCの領域に注力している状況だ。

Coeure氏はデジタル決済の技術について、「我々はプライベートセクターと連携し、常に最先端にいなければいけない」と語った。

そのために、今回BISはイギリス銀行(BoE)と協力しロンドンでイノベーションハブの立ち上げを発表した。このハブは、フェイスブックのDiemなど、民間企業によるステーブルコインに関する情報を中央銀行間で交換し、民間企業のイノベーションに対応するための規制・監督組織になる。

BoEのAndrew Bailey総裁はイノベーションハブの立ち上げに際し、規制当局や中央銀行がステーブルコインの金融の安定に及ぼす潜在的影響や独自のステーブルコインの開発について緊密に連携していると言及し、「仮にCBDCが実現すれば、中央銀行の歴史における最も根本的な革新となり、新時代に導いてくれるだろう」と話した。

追記:JPモルガンも懸念

米メガバンクJPモルガンのアナリストもビットコイン法定通貨化について懸念を表明している。

11日付けのクライアント向けのメモで、「エルサルバドルがビットコインを法定通貨化したことには、具体的なメリットは見えていない。第二の法定通貨にしたことは、IMFとの交渉を危うくするかもしれない」とコメントした。

エルサルバドルは多額の債務で、IMFから10億ドル以上の融資獲得を目指しているところだが、米大手銀行シティのアナリストもビットコインを採用したことが「IMFとの協議を複雑化するノイズだ」と類似した意見をクライアントメモで伝えた。

一方、JPモルガンのメモにはこのような見解も記されている。

一国でのビットコイン法定通貨化が、税法、バンキング、金融規制などの分野でより広範囲の経済的影響をどのように及ぼすか、現時点では明確ではない。

仮想通貨が法定通貨として採用されるのは予測されていない事態であり、既存の法律および規制は仮想通貨が発明される以前に制定されたものだが、仮に、エルサルバドルの国情に似た、多くの小国が同じようにビットコインを採用していけば、状況はより複雑になるだろう。

エルサルバドルの動きを受け、ブラジルやコロンビアなどの中南米国、そして南太平洋のトンガ王国の政治家もビットコインに関心を示し始めている。

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