CoinPostで今最も読まれています

なぜ78%の仮想通貨ICOトークンが取引所上場できずにいるのか?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

<
ICOが乗り越えなければならない関門
Bitcoin.comは、ICOトークンは成功に向けて、ICOにて全発行通貨を売り切る必要があること、取引所に対する莫大な手数料が支払えること、取引所によるセキュリティなどの基準をクリアする必要があることから、非常に狭き門である現状を明らかにした。
ICOとは
「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のこと。資金調達したい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。 ハイリスクハイリターンで投機的側面が強い反面、各国の法整備が追い付いていないことで、詐欺まがいのICOが横行するなど問題点も多く、国際的な規制強化が協調路線にある。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

ICOトークンの取引所上場が困難な理由

格付けサービスの「ICORating」によると、2018年の第一四半期では、把握されているだけで約400以上ものプロジェクトでICOが行われ、10万ドル(約1,000万円)以上調達を行なったプロジェクトはその約半数にあたる200プロジェクトありました。

しかし、その中で取引所に上場できたトークンは、全体の僅か22%の89トークンしかなかったことが報告されています。

現時点で、CoinMarketCap上に登録されているだけでも、1,600近くの仮想通貨が存在しているとされており、未だ把握されていないICOも含めると、さらに多くの仮想通貨、トークンが存在していると言えるでしょう。

そんな中、Bitcoin.comは、ICOの取引所への上場の難しさおよび、上場後も安泰でない悲惨な現状を分析した記事を公開しました。

第1の関門

記事によると、現時点で250以上の国際的な仮想通貨取引所が存在する中で、ICOトークンがその取引所に上場するには、トークン発行者が多大な額を支払わなければならないことが明らかになっており、多くのトークンが流動性の低く、人気のない非中央集権的取引所にしか上場していない現状が明らかになりました。

ICOトークンにおける「成功の前提条件」として、そのICOが成功していることが挙げられます。

もし、そのICO(第一市場)において、全ての発行トークンを売り切ることができなかった場合、余ったトークンを破棄(バーン)したとしても、第二市場となる仮想通貨取引所は、(需要が低くなるため)興味を示さない傾向にあることが記述されました。

第2の関門

次に、第2の関門として、取引所上場における手数料が非常に高価であることが挙げられました。

Bitcoin.comによると、仮想通貨取引所によって手数料の差はあるものの、上場時に要求される手数料は「10万ドル(約1,100万円)〜300万ドル(約3.3億円)にも及ぶ」と記述され、世界有数の仮想通貨取引所であるBinanceは、700万ドル(約7.7億円)徴収する場合もあることが言及されました。

2018年第一四半期において、 10万ドル(約1,100万円)以上を調達することに成功したICOが僅か半数ほどであったことを考えると、ほとんどのICOトークンが仮想通貨取引所に上場さえ出来ない現状が浮かび上がってきます。

仮想通貨取引所は、手数料だけでなく、自身の取引所の信用を損ねないために、「ICOトークンが詐欺でないか、セキュリティの基準を満たしているか」など、平均20日以上にも渡る綿密な調査(デューデリジェンス)を行うことから、そのICOトークンが一定以上の基準を満たしている必要があると言えるでしょう。

上場廃止のリスク

最後に記事内では、既述の”数々の関門”を乗り越えたとして、仮想通貨取引所に無事上場されたとしても、なんの警告もなしに上場廃止されるリスクもあることが言及されています。

このリスクについては、ここ数ヶ月で仮想通貨業界の規制や基準の整備が整ってきており、仮想通貨取引所の競争も激化してきていることを考慮すれば、取引所が自身の評判(信憑性)を守るための当たり前の行動であると言えるでしょう。

実際に先月5月には、日本の仮想通貨取引所であるCoincheckが、6月18日にマネーロンダリング対策の一環として、モネロ(XMR)、ジーキャッシュ(ZEC)、ダッシュ(DASH)、オーガー(REP)の取り扱いを停止しています。

このように、ICO業界が激化し、供給過多になっていることから、売り手側の力が弱まってきていると考えられ、今後、大手企業や業界内で名の通った人物による支援、または注目される技術革新、ユースケースなしでは、無名のICOトークンが、飛躍的に成長する可能性は低いのではないかとされています。

CoinPostの関連記事

コインチェック明日(6/18)に4通貨上場廃止|対象通貨の強制売却に注意
6月18日(月)、仮想通貨取引所コインチェックにおいて、一部の仮想通貨の取り扱いが廃止。廃止日時にコインチェック内にある該当通貨は強制的に売却の対象になる可能性があるため、注意が必要です。
米シカゴ・オプション取引所代表:来たる規制の波はICO市場に大きな衝撃を与える
SECがICOトークンを有価証券であると示唆したことを受け、CBOE代表のChris Concannon氏は、「今後SECの規制が入れば、ICO市場に大きな混乱をもたらす可能性がある」と警鐘を鳴らした。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/08 水曜日
20:31
日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」、先着順の読者限定割引コードを配布開始
国内最大手暗号資産(仮想通貨)メディアCoinPostが企画・運営するWeb3カンファレンス「WebX2024」。先着順の読者限定割引コードを配布開始しました。
15:06
EVM互換のZKロールアップとして関心を集める「Zircuit(ザーキット)」とは
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム財団からL2研究助成金を獲得し、大手VCのPantera Capitalなどから出資を受ける「Zircuit(ザーキット)」について解説。ステーキングプロトコルは約2ヶ月で30億ドル以上を集めた。
14:35
懸念強まる仮想通貨業界へのSEC執行範囲、民主党と共和党議員が激論交わす
米国下院金融サービス委員会は、SECの暗号資産(仮想通貨)を念頭にした執行活動に関する公聴会を開催。民主党と共和党議員のスタンスの違いが鮮明となった。
12:50
FTXが再建計画書提出、すべてのユーザーに100%以上弁済の見込み
破綻した仮想通貨取引所FTXは、米破産裁判所に再編計画の修正版を提出した。すべての債権者が請求額の100%を受け取れるとしている。
11:25
米金融大手サスケハナ、1500億円相当のGBTCを保有
米大手投資・トレーディング会社サスケハナが約10億ドル相当の仮想通貨ビットコイン現物ETF「GBTC」を保有していることが確認された。
10:40
イーサリアムは穏やかなインフレ傾向に ETH焼却量減少で
仮想通貨イーサリアムは、主に取引手数料の低下により、焼却されるETHの量が大幅に減少している。DencunアップグレードやL2の活発化が背景にある。
09:30
「BTC相場は回復に転じた可能性」SCB銀が分析
「仮想通貨ビットコインの相場は回復に転じた可能性がある」とスタンダードチャータード銀行が分析。米大統領選の影響や今後の価格も分析している。
08:10
トレーダーに利回り提供へ、BybitがUSDeを取引担保に採用 
ENAトークン一時急騰 仮想通貨(暗号資産)取引所Bybitは7日、新しいステーブルコイン「USDe」をデリバティブ取引の担保資産に追加すると発表した。トレーダーに利回りを提供…
07:25
「仮想通貨市場には詐欺や問題が多い」ゲンスラー委員長
米SECのゲンスラー委員長は、仮想通貨の投資家保護の必要性を改めて強調。一方、イーサリアムの証券性については明言しなかった。
06:45
ワールドコイン過去一週間で35%上昇、その背景は
OpenAIのライバルであるGoogleは、5月15日に大規模な開発者カンファレンス「Google I/O」を開催する予定だがこれに先駆けChatGPTの検索エンジンを発表する観測だ。
06:10
米ビットコイン現物ETFに330億円純流入、2日連続プラスに
米ビットコインETFに回復の兆し。米月曜日、すべての仮想通貨ビットコイン現物ETFはプラスの資金流入を記録した。
05/07 火曜日
17:54
米決済大手Visa「ステーブルコイン取引高の約9割はbotによるもの」
決済大手Visaは、仮想通貨ステーブルコインについての記事を発表。ステーブルコイン取引活動の90%はボットなどによるものだと分析している。
14:32
米SEC、Invescoの「イーサリアム現物ETF」の可否判断を最終期日まで再延期
米国証券取引委員会は、InvescoとGalaxy Digitalが共同で申請した イーサリアム現物ETFの可否判断をさらに延期すると発表。次回の期限は7月5日で、これが最終期限となる。
14:22
米マラソンデジタル、ケニア政府とビットコインマイニングで協議
米上場ビットコインマイニング企業マラソン・デジタルは、ケニア政府と、仮想通貨政策やデーターセンター開発などで話し合っていると述べた。
12:30
前週末にかけてビットコイン大幅反発、ETFフローに好転の兆し
暗号資産(仮想通貨)相場は前週末にかけてビットコインが大幅反発し、暴落していたアルトコイン値を持ち直した。グレースケールGBTCへの資金流入など、ビットコイン(BTC)現物ETFのフローにも好転の兆しが見られる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア